-
Olenoides vali
ユタ州のマージャム累層 (Marjum fm) より産出する、オレノイデス・バリ (Olenoides vali) です。 オレノイデスの中でも、全体的に長い棘を持つ事が特徴的で、頬棘、尾部の対の棘及び、額環 (Occipital ring) や第8胸節の中軸から伸びる棘は、長くて目立ちます。 各所の標本を見るに、マージャム累層産とされるものと、マージャム下層のウィーラー累層産とされるものがあって混乱するのですが、ウィーラー累層の上部110m近辺層 (本種の産出層) を、マージャムに分類するかどうかで判断が分かれるようです。公式にはウィーラーが正しいようですが、差し当たり、入手時記載の累層のままとしております。 また、この標本は、元々、オレノイデス・ルークシ (Olenoides rooksi) の名で入手しましたが、コメント頂いた方々のご協力により、現状はやはりバリであると思い直し、この名で登録しております。 実際本種は、棘の長さにかなりのバリエーションがあり、ルークシは特に尾棘の長い種に非公式に適応されます。ルークシは現在のところ、裸名 (nomen nodum) の範疇ですが、将来的には、亜種〜新種として記載される可能性はあるようです。
Middle Cambrian (Miaolingian, Drumian) Marjum Delta, Millard county, Utah, USA Olenoides valitrilobite.person (orm)
-
Olenoides superbus
北米マージャム (Marjum) 産の三葉虫、オレノイデス・スペルブス (Olenoides superbus) です。 オレノイデスは、三葉虫コレクターにとって憧れの種の一つであります。中でもこのスペルブスという種は、巨大な体躯、盛り上がった頭鞍、太くしっかりした軸葉や胸尾部の棘などの要素が揃っており、さらに表面には艶があってとても格好の良い見栄えがする種です。 種小名のスペルブス ("素晴らしい"の意) の名に恥じぬ種かと思います。 この標本は、頭鞍や頬棘のしわ模様などの微細な構造が明瞭に確認できるほか、左胸部上方には治癒痕があります。治癒痕の辺縁は微妙に盛り上がっており、損傷後の治癒過程は、三葉虫でも現生生物と同じなんだなという、ある意味、当たり前のことが確認出来てそれも興味深いです。 提供者からの標本ラベルには、"Long spined" superbusとありましたが、通常のスペルブスと比較して長い棘とは何なのか、今ひとつ私には理解できておりません。
Middle Cambrian (Series3, Drumian) Marjum Millard county, Utah, US Olenoides superubustrilobite.person (orm)