-
Calymene niagarensis with Trimerus delphinocephalus (cephalon) and Caryocrinites ornatus
有名産地ロチェスター頁岩 (Rochester Shale) から、カリメネ・ニアガレンシス(Calymene niagarensis) の標本です。 ニアガレンシスはかつては、アメリカン三葉虫の中でも、トップ5入りするほど市場に出回っていた種だそうです。しかし、私がコレクションを始めた10年近く前には既にその数はけして多くなく、今でも入手は可能ではありますが、明らかに一層著減しております。 特に、某高級化石ストアの最上級の標本ともなると、 (この種にしては) 驚くべき価格が付いています。標本に貴賎なしと言いたくも、かつてのありふれた種がこうなるとは、否が応でも時の流れを感じずにはいれません。 なんのかんのと書きましたが、黒く艶やかなボディが美しい標準的カリメネで、好きな種であります。 三葉虫は見ての通り、巨大なトリメルス・デルフィノケファルス (Trimerus delphinocephalus)の頭部と、サッカーボール然としたウミリンゴ (Caryocrinites ornatus) に挟まれており、いかにも肩身が狭そうです。特にウミリンゴの保存は素晴らしく、表面の幾何学模様がよく残っています。 あとは実は、母岩の裏にはスピリファーが何匹が付いています (写真なし) 。 主役のわからない、面白い共産プレートです。
Middle silurian Rochester Middleport, NewYork, USA Calymene niagarensistrilobite.person (orm)
-
Dalmanites caudatus
英国三葉虫のダルマニテス・カウダトゥス (Dalmanites caudatus) です。詳細産地は不詳ですが、おそらくマルヴァン (Malvern) 産なのではないかと思います。 全体が残る良品ではありますが、比較的古い時代に採取されたものなのか、表面の状態はやや荒れており保存状態は最良というほどではありません。複眼も潰れてしまっていて、残念ながら残っていないようです。 英国ダルマニテスには、代表的には本種以外に、ダルマニテス・ミオプス (Dalmanites myops) とダルマニテス・グリンドロディアヌス (Dalmanites grindrodianus) という種がいます。これらは、頭部の吻の出っ張りのある無しや尾剣の長さなどで分けられると思うのですが、特にカウダトゥスとグリンドロディアヌスの違いは微妙な気がします。 この標本名は、差し当たりご提供元に準拠していますが、調査の結果、また標本名を変更するかもしれません。悪しからず。 他の地域の類似種としては、米国NY州のダルマニテス・リムルルス (Dalmanites limulurus) が有名で、色合い以外は瓜二つです。 本種はダドリー・バグの一つですが、他のバグと比較すると、市場で見かける機会はやや多い印象があります。灰色の母岩に、茶色の標本本体と落ち着いた色合いの、年季を感じる標本です。
Middle Silurian - Worcestershire, UK Dalmanites caudatustrilobite.person (orm)
-
Calymene blumenbachii
こちらはイギリスの代表的なカリメネ、カリメネ・ブルメンバキ (Calymene blumenbachii) 。 産地はダドリー (Dudley)。英国の代表的な古典的産地であり、18世紀の産業革命期、鉱石採掘に伴い発展した町でもあります。鉱石資源の採掘の傍ら、本種含め多くのシルル紀化石が一緒に産出し、それら化石は研究者やコレクターの手に渡りました。中でもこのカリメネは、その愛らしい見た目から人気を博したようです。Balizomaの説明でも言及したダドリー・バグの一種であります。 現在、同産地は保護の対象となっており、新規に標本を入手することは出来ません。ありし日には大量に産出したとも聞く本種ですが、蒐集家のキャビネットの中に仕舞い込まれており、コレクション市場に出回る事はけして多くありません。 派手こそ皆無ですが、シンプルな見た目にシックな色合いの本種は、いつまで眺めていても飽きることはありません。
Middle Silurian Much Wenlock Limestone Dudley, England Calymene blumenbachiitrilobite.person (orm)