ペツォッタイト・キャッツアイ/ペツォッタ石
2002年にアンバトヴィタのサカヴァラナ鉱山で発見され、その翌年に晴れて新種として認定されたピンク色の宝石です。
発見された当初はエメラルドやモルガナイトらと同じ緑柱石の一種で、単なるピンクに発色したベリルであると見做されていました。
成分的にもBeとAlを含むケイ酸塩鉱物で、結晶の形状も六角形に成長する点は確かに両者ともよく似ています。
セシウムを含み、ピンクの源が微量のマンガン由来である点もモルガナイトと共通です。
しかし分析の結果、種々の特性が緑柱石とは異なることが判明しました。
大きな差異はやはり化学組成です。
緑柱石はBeとAlのケイ酸塩鉱物ですが、ペツォッタ石はこのうちBeの一部をCsやLiと置き換えた構造を持っていました。
特にセシウムの含有量においては、モルガナイトのそれを優に上回る数値誇っているとされます。
これが決定打となったのでしょう。
“ラズベリル”と呼ばれていたはその石は、既存のベリルとは物性を異にする独立種として認知されるに至りました。
この特徴的な鉱物名は、サンプルを分析した『フェデリコ・ペツォッタ』博士に因んで銘打たれたものです。
同氏はミラノ自然史博物館のキュレーターを務めていた人物で、さらにマダガスカルのペグマタイト鉱床の研究にも深く携わっていました。
そしてペツォッタイトは丁度この花崗岩質の濃集帯から出でた鉱物です。
博士が心を傾けたマダガスカルの地で、氏のこれまでの熱意や努力が美しい結晶となって地上に顕現したものが、このペツォッタイトなのではないかと夢想せずにはいられません。
宝石
鉱物標本
8
2013年
テッツァライト