-
ロージルコン/風信子石
ジルコンはジルコニウムを主成分とする宝石鉱物ですが,不純物としてウランやトリウムを含みます。 そのため放射線測定器に感応し,放射性崩壊によるα線やβ線の放出が活発に行われていることが判ります。 ウランおよびトリウムの崩壊により放出される放射線はなんとジルコン自身を侵し,さながら内部被曝を受けているかのように結晶構造を破壊します。 この現象をメタミクト化と呼び,すなわち原子配列が失われガラス同然の物質に変異してしまうのです。 こうして結晶構造が蝕まれたジルコンは光学特性が変化し,例えば屈折率は低下し,宝石として光り輝く力が失われてしまうのです。 さらに耐久性にも難が生じ,このように性質が低下したジルコンのことをロータイプと呼び区別されます。 思えば輝きが鈍ることは宝石として極めて致命的であり,このジルコンという鉱物には哀愁すら感じてしまいます。 ですが私はこの重大な欠陥を抱えた幸薄いロージルコン結晶が堪らなく好きです。 派手さとは無縁な,しかし光に透かすと見るものを引き込む暗緑色。 水磨作用により擦り切れているものの正方晶系らしさを残した結晶形。 イイです実に素敵です。 傷みを知る者にしか出せない味ってあると思うんですよね。
宝石 鉱物標本 7.5 2021年テッツァライト
-
ロシアンアレクサンドライト化したバルタン星人
ミューゼオ随一の怪獣消しゴムペインター、Reirei Paint Art様よりお譲りして頂いたアイテム。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/items/372 遠い空の向こうからやって来た美しき侵略者です。 彼らは元々「バルタン星人宝石化計画」で製作された作品で、クリアブルー素材へのペイントにより宝石の美しさを再現。 何れもReirei様の技術力が光る逸品となっております。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/diaries/27 怪獣フィギュアと鉱物 ―。 ジャンルの異なる二つの世界が、このミューゼオにおいて邂逅を果たし化学反応。 例えば地球深部でマグマが岩石と接触し、その高温・高圧がもたらす変成作用により新たな鉱物が形成されるように彼らは誕生したのです。 モデルとなった石は当館の『ロシアンアレクサンドライト』というアイテムです。 https://muuseo.com/tezzarite/items/89 アレクサンドライトはベリリアとアルミナを主成分とする鉱物で、別名を「変彩金緑石」とも称される貴石。 その名のとおり不純物として含まれるCrイオンにより変色性が備わっており、太陽光や蛍光灯では青緑色、そして白熱灯や火灯の下では赤紫色へとカラーチェンジする不思議な石です。 そんな生彩豊かな宝石が、何とも不思議な縁でバルタン星人と化合。 まず目を惹くのが《青色》のカラーリング。 これは私のアレクサンドライト本来の色である、ピーコックブルーをイメージしたものとなっております。 涼やかで深みのある色調が鮮やかで、もうこれだけでテッツァライトの好みに刺さる刺さる… そしてこの宝石の見所であるカラーチェンジは、上半身部分を《赤~紫色》に塗装することで表現されていました。 ご覧ください、透明感のあるワインレッドが本物さながらでとても情熱的。 極めつけにブラックライトで照らすと、まるで赤熱したように灯り出すのが最高にアツいです。 また、私が撮影でよく使用する白熱灯の光をイメージしてかボディの端々が《黄~橙色》で彩られており、モデル画像を徹底的に再現しようとするこだわりも伺い知ることができました。 総じて各色のコントラストが実に見事であり、ひと目見た瞬間、心の隅々まで染み渡ったことを覚えています。 特に夕焼け空を背景に透かして眺めた時の感動は忘れられません。 透明で美しいことに加え、世界にこれ1体のみという稀少性を備えたこの技巧の結晶は、もはや宝石の新たなスタイルと言えましょう。
フィギュア 宝石 鉱物アイテム 2021年テッツァライト
-
ゴールドシーンサファイア化したバルタン星人
ミューゼオ随一の怪獣消しゴムペインター、Reirei Paint Art様よりお譲りして頂いたアイテム。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/items/371 遠い空の向こうからやって来た美しき侵略者です。 当アイテムは元々「バルタン星人宝石化計画」で製作された宝石バルタンの一体で、クリアブルー素材へのペイントにより宝石の美しさを再現。 何れもReirei様の技術力が光る逸品となっております。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/diaries/27 モデルとなった石は当館の『ゴールドシーンサファイア』というアイテム。 https://muuseo.com/tezzarite/items/62 ミッドナイトブルーに金色の金属酸化物を包有するアフリカ産の新種です。 最大の特徴であるゴールドは主に右鋏と右下半身に使用。 さり気なく頭部にも施されており、まるで兜の前立てのような装飾が最高にカッコイイです。 ゴールドとしての輝きもラメによってしっかり表現されており、その光学特性が忠実に再現されていました。 その絢爛な煌きと、静謐なブルーから生み出されるコントラストのなんと見事なこと… 敢えて残された素体のクリアブルーとも絶妙に調和しています。 また、反射光だけでなく透過光で眺める色相も格別。 特に画像3枚目の角度から観測できる小宇宙が個人的なお気に入りであります。
フィギュア 宝石 鉱物アイテム 2021年テッツァライト