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Trimerus delphinocephalus
体が大きく、表面がなめらかなホマロノタス(Homalonotinae)の仲間は世界中で見つかります。層序範囲がシルル紀後半からデボン紀初期と狭いため、地層の年代を計測するのに役立った種類です。 標本を見ても、他の種類の三葉虫と区別がつき易いです。ホマロノタスの仲間は、このトリメラス以外に、ディプレウラ、ブルメステリア、パラホマロノタスなどがいます。
Middle Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Trimerus delphinocephalustatsutoy
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Arctinurus boltoni
New York州 Middleport近くで採れ、その大きさや姿で人気の三葉虫です。この標本は標準サイズで、大きなものはこれの倍以上の体長になり、比較的長命な種であると考えられています。海底を這う生活をしていたとされていますが、否定する論文もあります。標本サイズが大きい事と、商業採掘された事でサンプル数が多く、研究に適していたのではないかと想像します。
Middle Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Arctinurus boltonitatsutoy
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Calymene niagarensis
New York州Rochester Shaleに於いて、ダルマニテスほど幅広くは見つからないものの、場所によっては多産するカリメネです。標本本体、母岩共にしっかりしているので、見栄えが良くお勧めの化石です。採石場閉鎖に伴い新規はないものの、相当数の標本が一般コレクターに渡っているので、入手機会のチャンスはあると思います。
Middle Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Calymene niagarensistatsutoy
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Radnoria bretti
こちらもNew York, Rochester Shaleからです。この地層で一番多く産出されるのは尻尾のあるDalmanitesです。また人気のArctinurusも産出され、NYはシルル紀三葉虫代表の地です。その中で、地味な種類がこちらRadnoriaです。公表日付が2005年となっているので、発見後、長い間放置されていたのでしょうか。産出する数が少ない事が幸いし、更に研究が新しいため、NYのシルル紀海底の地形を算出するのに利用された様子です。詳しくはわからないのですが、示準化石である三葉虫は地質研究に貢献しているのでしょう。
Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Radnoria brettitatsutoy
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Bumastus ioxus
俗称でIllaenusと共に"smooth trilobite"(つるんとした三葉虫)と呼ばれる、ブマスタスです。19世紀始め、New Yorkエリー運河建設時に発見された種類の1つです。本当の話しかはっきりしないのですがこの三葉虫には逸話があります。イギリスでも同じ時期にブマスタスが発見され、19世紀半ばの地質学に於いてシルル紀の時代、New Yorkとイギリスの地層は相関している、との理論の根拠だったそうです。プレートテクトニクス理論のはしりでしょうか。この標本は2006年頃、商業採掘を行っていたPrimitive Worldより直接入手したのですが、インターネットとクレジットカードの便利さを教えてくれた思い出がある化石です。昔は欲しい化石を見つけるルートがわからず大変でした。 (補足)海底プレート概念は1960年代の理論なので、NYとイギリスがシルル紀に於いて、海底で同じ三葉虫が住んでいた、という意味の相関であると考えます。
Lower Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Bumastus ioxustatsutoy