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(500)日のサマー(2009/アメリカ)
原題:(500) DAYS OF SUMMER 監督:マーク・ウェブ 出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット ズーイー・デシャネル ジェフリー・エアンド ジャンル:ラヴ 時間:96分 【STORY】 グリーティングカード会社で働くトムは、ある日、アシスタントとして入社してきたサマーに一目ボレする。トムは運命の恋を信じている夢見る男、一方のサマーは「恋なんて絵空事よ」と言い切るエキセントリックな女の子。しかし好きな音楽をきっかけに意気投合したふたりはデートを重ねていき・・・。片想いと両想いの間で揺れ動く、楽しくも切ない新世代ラブ・ストーリー! 【COMMENT】 マーク・ウェブ監督の初長編映画作品になります。ミュージックビデオ出身の監督だけにあって、映像のセンスがホントシャレてます。恋に舞い上がるトムの心境を突然ミュージカル風に演出したり、トムの期待と現実を画面2分割にして対比したりと映像が凝りに凝っています。この作品をみて一気にマーク・ウェブ監督が好きになってしまいました。そりゃ、後に『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの監督に大抜擢されるわけだ。 この作品は、冒頭でもでているように恋愛映画ではありません。トムとサマーが出会い別れるまでの(あるいはトムがサマーにふりまわされた)500日間を描いたロマンティック・コメディです。その500日間の時系列がバラバラに構成されていて状況が分かりにくいだけど、恋愛ハネムーン期の有頂天のトムから一転して倦怠期や失恋した時のどん底のトムになったりとその反動が観ていて面白いです。そして、時系列を頭で整理するために何度も観たくなちゃいますね。 【私的評価】 75/100
映画ソフト 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント ¥2381 (税別)take
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スリー・ビルボード(2017/イギリス)
原題:THREE BILLBOARDS OUTSIDE EDDING,MISSOURI 監督:マーティン・マクドナー 出演:フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソン サム・ロックウェル ジャンル:クライム・サスペンス 時間:115分 【STORY】 アメリカのミズーリ州の田舎町を貫く道路に並ぶ、3枚の広告看板。そこには、地元警察への批判メッセージが書かれていた。7か月前に何者かに娘を殺されたミルドレッドが、何の進展もない捜査状況に腹を立て、警察署長にケンカを売ったのだ。署長を敬愛する部下や、町の人々から抗議を受けるも、一歩も引かないミルドレッド。町中が彼女を敵視するなか、次々と不穏な事件が起こり始め、事態は予想外の方向へと向かい始める・・・。 【COMMENT】 『怒りは怒りを来す』by チャーリー(ミルドレッドの元夫) この『スリー・ビルボード』は怒りと許しをテーマとしたメッセージ性の強い作品です。怒りは憎しみを生むだけ。娘をレイプされ殺された母ミルドレッドの怒りもよく分かる、敬愛するウィロビー署長を看板で批判するミルドレッド達に対するディクソンの怒りもよく分かる。でも、怒りの矛先が違うんだよぉ。憎むべきはレイプ犯なのに、お互いが現実を受け入れる事ができず憎しみあい、その結果事態が思わぬ悪い方向に向かってしまう、まさに喜劇のような映画でした。そして、ラストはお互いがようやく現実を受け入れ許しあい、ある意味ハッピーエンドではあるんだけど、なんだこのモヤモヤとした終わり方は!こういう演出は蛇足なのかもしれないけど、結局レイプ犯が捕まらないから観ているこちらはなんか気持ちがスッキリしない終わり方でなんか歯がゆかったな。 さすがアカデミー賞主演女優賞や助演男優賞を受賞するだけにあって、フランシス・マクドーマンドやサム・ロックウェルの迫真の演技は見事でした。めちゃくちゃ見応えのある作品だけにアカデミー賞作品賞や監督賞が獲得できなかったのは残念でしたね。 あと、やっぱりウッディ・ハレルソンはいい役者だねえ。この作品でもミルドレッドとディクソンとの関係性を動かすターニングポイントとなる重要なウィロビー署長を演じています。出演シーンは他の役者に比べ断然少ないだけど、かなりのインパクトを残しています。愛する妻と子供を残してある選択をしたことは勝手すぎると思ったけど、それまでの彼の苦悩や後の行動を考えるとなにか熱いものを感じウルっときましたね。 【私的評価】 75/100
映画ソフト 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント ¥4,700 (税別)take
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017/アメリカ)
原題:THE SHAPE OF WATER 監督:ギレルモ・デル・トロ 出演:サリー・ホーキンス マイケル・シャノン リチャード・ジェンキンス ジャンル:ラブ・ファンタジー 時間:124分 【STORY】 1962年、アメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く口がきけないイライザはある日、施設に運び込まれた不思議な生きものと出会う。”彼”の奇妙だが、どこか魅惑的な姿にひかれ、心を通わせていくイライザだったが、間もなく”彼”が実験の犠牲になることを知ってしまうーー。 【COMMENT】 アカデミー賞作品賞を加え4冠を受賞した本作品『シェイプ・オブ・ウォーター』賞獲得に違わぬ素晴らしい映画でした。純粋に、半魚人と口がきけない主人公の禁断の恋愛映画かと思いきや、黒人差別やLGBT・格差社会・米ソ間の冷戦・動物虐待など様々な社会的問題の風刺を盛り込んだ作品に仕上がってました。個人的に好きだったギレルモ・デル・トロ監督、正直アカデミー賞とは縁のない監督かなと思ってましたが、ここまでやればそりゃアカデミー賞が獲れても不思議じゃないですね。納得。 ただ、ストーリーは普通すぎるかな。よくあるパターンで異形の姿をした怪物と人との王道な恋愛ファンタジーストーリーは、ラストはやっぱり感動したけれど、なぜか泣けなかった。 主人公イライザ演じるサリー・ホーキンスの演技が素晴らしい。ホントに話せないのではないかと思えるほどの演技力です。ぶっちゃけ若くて美人な女優とはいえないけれど、半漁人と障害のある女性お互い社会から孤独を感じ惹かれ合っていく過程として作品のリアリティをだすなら適役と言えますね。これで若くて美女のハリウッドスターがイライザを演じたらなんだか興ざめしてしまいますよ。 全体的に深緑を基調とした映像も美しくてよかったですね。そして、イライザの心境を表すかのように時折靴や口紅などピンポイントに赤を使ったりと映像へのこだわりも強く感じます。ギレルモ・デル・トロ監督の最高傑作といっても過言ではありません。ただ、個人的には『パシフィック・リム』のようにオタクに振り切った作品をもっと作ってほしいなと思いますね。 【私的評価】 80/100
映画ソフト 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント ¥3990 (税別)take
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28日後...(2002/イギリス)
原題:28 DAYS LATER... 監督:ダニー・ボイル 出演:キリアン・マーフィ ナオミ・ハリス クリストファー・エクルストン ジャンル:サバイバル・ホラー 時間:114分 【STORY】 たった1滴の血液で感染し、人間の精神を数秒で破壊する新種のウイルスが発生した。彷徨い歩いたジムは、女一人、男一人の生存者たちと遭遇した。わずかな未来を求めて、生き残りの旅を始めた3人。だがそのとき、死のウイルスよりも恐ろしい存在に彼らはまだ気づいていなかった・・・・。 【COMMENT】 『トレインスポッティング』が大ヒットし一躍脚光をあびたダニー・ボイル監督のデジタルカメラで撮影したスタイリッシュな映像と新たなゾンビの概念を生み出した名作『28日後...』特にゾンビの概念については、後のゾンビ映画に大きく影響を与えました。 これまでのゾンビ映画といえばノロノロと動き人を襲っていたゾンビでしたが、この『28日後...』のゾンビでは全速力で人を襲ってきます。これは恐怖でしかなく、ゾンビ映画としては画期的で最高の発想で演出なのかもしれません。ゾンビを走らせることによって、いつどこからか襲ってくるのかわからない日常の緊張感と、そしてゾンビとの必死の鬼ごっこは観ている者も恐怖におののくでしょう。本作では思ったよりゾンビの登場シーンは少なくグロ描写も控えめだけど、ゾンビの印象としてはかなりのインパクトを残しており、ゾンビを走らせたことは大成功だったのでしょうね。 ゾンビ映画のテーマとして共通で言えることは、『本質的にはゾンビよりも人間の方が怖い存在』ということです。秩序がなくなった世界において如何に人間は愚かな生き物なのか、ゾンビ映画を観るたびに考えさせられます。本作も後半から軍隊が登場し胸糞展開へと観るに堪えなくなってきます。それが好きか嫌いかで評価がわかれてくるかもしれませんね。しかし、主人公のジムは前半ではゾンビの子供を殺したことさえも悔いている誠実な青年だったのに、軍隊が登場してからの終盤のジムはまるで復讐の鬼化とした凶暴さを晒し、感染していないに感染者のようになっていましたね。人間ってホント怖い ゾンビへのこだわりがなく、グロ描写は苦手だけどゾンビ映画は観てみたいという初心者にはオススメの映画です👍ただし、胸糞耐性がないとキツイかも 【私的評価】 70 / 100
映画ソフト 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント ¥1905 (税別)take
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クロニクル(2012/アメリカ)
原題:CHRONICLE 監督:ジョシュ・トランク 出演:デイン・デハーン アレックス・ラッセル マイケル・B・ジョーダン ジャンル:SF・アクション 時間:84分 【STORY】 平凡で退屈な日常生活を送る3人の高校生のアンドリュー、マット、スティーブは、ある日特殊な能力を手に入れる。手を触れずに女の子のスカートをめくったり、雲の上でアメフトをしたり。3人の退屈な日常は刺激的な日々へと一変する。しかし、そんなある時、後ろから煽ってきた車に苛立った。アンドリューが能力を使って事故を起こさせたことから、3人は次第に自らの能力に翻弄され始め、事態は予期せぬ方向へと向かう・・・。 【COMMENT】 この映画はまさにハリウッド実写版の『AKIRA』だ!アル中でDVの父に病床に伏せる母、学校では誰からも相手にされずいじめられと鬱屈し居場所のないアンドリューが超能力を手に入れ、暴走していく様は鉄雄そのもの。 本作は、アンドリューのビデオカメラを通して、時には防犯カメラや報道カメラなどアンドリュー以外のカメラ映像も加えながら全編POV風いわゆるモキュメンタリー方式でストーリーが展開していきます。POV方式では、臨場感や緊張感があり同じ世界観を共有しているような感じがして観ていて面白いのだけど、急に暗転や映像の乱れがあったりと状況がわかりにくかったり見にくかったりするのが難点かな。正直、ラストバトルまでPOVにこだわらなくてもよかったのかなと思います。シンプルに超能力バトルが観たかったな。 【私的評価】 70/100
映画ソフト 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント ¥1905 (税別)take