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金紅石 ルチル単結晶
金紅石は同じ二酸化チタンの組成を持つ板チタン石(ブロッカイト)と鋭錐石(アナテーズ)等、5種類の同質異像の鉱物の一つです。 いずれもアルプス型の変成作用を受けた熱水鉱床やペグマタイト鉱床に産しますが、生成時の温度や圧力の違いにより硬度、比重、結晶系の異なる別種の鉱物となります。 金紅石の和名は、金色や濃赤褐色の色合いに因みます。”Rutile"の名もラテン語の "rutilus : 赤味を帯びた” に因みます。 結晶は柱状、ピラミッド状、更に正方膝型接合双晶、正方輪座三連晶など、魅力的な姿の連晶で産出することもあります。 金紅石は鉱物の中では最も高い屈折率(2.616-903)と複屈折(0.287)と分散値(0.300)を持つ鉱物です。 即ち透明な結晶はダイアモンド*をはるかに凌ぐ煌きとファイアを放ちます。 従って1948年に登場した透明な合成ルチルの結晶はチタニアの名称で手頃な値段のダイアモンドの代替品として一世を風靡したものです。 しかしながら余りにもぎらぎらと光りすぎて如何にもダイアモンドの贋物の印象が強く10年足らずの短命に終わりました。 金紅石が宝石として脚光を浴びるのは、その針状結晶が水晶に包有物として含まれる場合です。(ルチルクオーツ) *ダイヤモンド屈折率2.419分散値0.044 4.6×4.5×3.2mm
鉱物 ルース TiO2 0.520ctネルママ
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カーレトン石
カーレトン石は、カナダのケベック州にある有名なペグマタイト鉱床、モンサンチラールで見つかる大変に美しい、青い結晶鉱物。 写真の標本は、内部が青色で、結晶面は無色透明、アイスキャンデーのような四角柱状結晶。 うっかり結晶を落としてしまったら、スライス状で剥離、小さくなってしまいました。 カーレトン石はカリウム・ナトリウム・カルシウムの水和・珪酸・炭酸・水酸(フッ酸)塩です。 そんなゴタゴタした組成の鉱物はやはり特殊な産状(熱水生成)のもので、モンサンチラールを原産地に1971年に記載されたが、今に至るも他所からの報告はないよう。 主にプードレット採石場の露頭で発見されており、霞石閃長岩の破砕帯や、これに捕獲された大理石中に産するそうです。
鉱物 結晶 KNa 4 Ca 4 Si 8 O 18 (CO 3 ) 4 (OF,F)・8H 2 O 0.4ct以下ネルママ
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ファンシーカラーゾイサイト
灰簾石 (黝簾石:Zoisite) 淡いグリーンのゾイサイトですが両端がほんのり青いお石さんです。 カットにより、さらに複雑な色を呈します。 多色性を示す石の中でもゾイサイトはピカイチの魅力あふれる石です。 ゾイサイトの中でクロムとヴァナジウムを含み青〜青紫の色をしたものを産地にちなんでタンザナイトと呼びます。ティファニーがつけたコマーシャルネームです。
鉱物 ルース Ca2Al3[O/OH/SiO4/Si2O7] 2.88ctネルママ
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桜色のジルコン
化学組成から分かるようにジルコニウムと言う金属が主成分になっている宝石です。 ジルコンは珪酸とジルコニウムの化合物で正方晶系の結晶として産出します。 ジルコンは結晶軸の方向により大きく密度が異なり、そのために結晶内部を進む光の速度が異なるために大きな副屈折を示します。 このために上面から底面方向を見たときにカットされた稜面の線が顕著に二重に見えるため識別は容易です。
鉱物 ルース 39800円 Zr(SiO4)ネルママ
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グリーンジルコン
ジルコンにはロー・ジルコンとハイ・ジルコンとその中間の異なるタイプがあります。 ジルコンの主要元素であるジルコニウムはしばしば一部がウランやトリウムなどの放射性元素によって置き換えられています。 これらの放射性元素は、核分裂を起こし、鉛へと変って行きますが、その過程で放射されるアルファ線やガンマ線等が長い期間にはジルコンの結晶格子を傷つけて格子欠陥を引き起こします。 更に,例えばウラン235の分裂で生成されたセシウム137、ネオジウム147、ルテニウム106,ストロンチウム90等の質量の大きな原子核や中性子は高いエネルギーでジルコンの結晶内を走って、フィッション・トラックと呼ばれる長い傷跡を残します。 数億年~30億年もの長い間、こうした高エネルギーの放射に曝されつづけたジルコンの中には結晶構造が殆ど破壊されてしまいますが、そのようなジルコンはメタミクトジルコンと呼ばれます。 結晶構造が破壊されているために比重,屈折率等が著しく小さくなるので、これらの価が低いためにロー・ジルコンとも呼ばれます。 緑色はメタミクト(metamict)可されたジルコンです。結晶構造が破壊されているために、光が内部で乱反射されるため、透明度にかける潤んだような光沢を示します。
鉱物 ルース Zr(SiO4) 2.60ctネルママ
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ピンクカラーのジルコン
近年アフリカが重要なジルコンの産地として台頭してきました。 他の産地のジルコンと同じく、いずれも加熱処理により宝石質に変わりますが、ナイジェリアとケニアからは無色透明なルースが、またタンザニアからは赤紫、赤、金色と、ジルコンらしからぬ魅力的な色合いの石が続々と姿を現し始めました。 このルースも深いピンクのガーネットの様なお色です。
鉱物 ルース 29500円 Zr(SiO4)ネルママ
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カラーチェンジジルコン
ジルコンのリバースカラーチェンジでは、紫~青からグリーンへと色変わりします。 この現象は寒色から暖色にチェンジするカラーチェンジの定義には当てはまらないので、リバースカラーチェンジと呼ばれています。
鉱物 ルース 23210円 Zr(SiO4)ネルママ
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ブルージルコン
カンボジア ラタナキリ産のブルージルコンです。 こんにち、宝石店でジルコンを見かけるとすれば、それは青いジルコンです。 これは加熱処理により魅力的な青い色に変貌したものですが、どこの産地のジルコンも加熱すれば全てが青くなるわけではなく、唯一カンボジア産のみが宝石に相応しい青に変わります。 その理由は不明ですが、ラタナキリのジルコンの大半はテネブレッセンス(可逆的光互変性)を示します。 即ちカンボジアのジルコンには他の産地とは異なる元素が高い濃度で不純物として含まれていて、それがテネブレッセンスや青い色の発色の原因ではないかと考えられます。
Zr(SiO4) カンボジア ラタナキリ 正方晶系ネルママ
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風信子鉱(Zircon)キャッツアイジルコン
ジルコンの名はアラビア語やペルシア語の ”ザルグン=金色・朱色” に由来し、2000年以上昔の紀元前からスリランカ産が広くアラビアやペルシアにまで伝わっていたことを物語ります。 かつては強い煌きを示す無色透明なジルコンがダイアモンドの代用品として珍重されたこともありました。 しかし今日では合成宝石のキュービック・ジルコニアや、より鮮やかな色彩の宝石がいくらでもあるため、青い色以外のジルコンはコレクターの宝石となってしまいました。 こちらのキャッツアイカボションは荒いチューブインクルージョンが全体に広がり美しいシャトヤンシーを観察できます。 宝石としてカットされるルースは全て不透明な結晶を熱処理して得られたものだそうです。 青い色を発色させるためには還元雰囲気中で1000℃の温度で2時間程度加熱します。 金色は酸化雰囲気中にて加熱すると得られます。 無色透明なものはいずれの条件でもある程度の割合で得られるとのことです。
鉱物カボション Zr(SiO4) 2.62ctネルママ