ちょこ大佐のゲーム三昧9

初版 2020/01/02 09:56

【フライヤー観察】

今はどうだか知りませんが、昔はBOXゲームを購入したら、必ず中にゲーム広告のチラシが入っていたもんでした。当時は不必要で真っ先に捨てていましたが、今改めて見直してみると、当時の状況が分かるとても大事な資料だと今更ながらに気づくのです。

上記は1982年度のホビージャパンのカタログチラシです。82年と言えば、同社のウォーゲーム専門誌「タクティクス」が刊行された翌年で、日本でウォーゲーム全盛期の頃です。

上は表1(右ページ)と表4(左ページ)です。表4の左上から順に『太平洋の覇者』『独ソ戦』『戦艦ビスマルクの戦い』『史上最大の作戦』『パンツァーブリッツ』『ナチ・ドイツ空軍』『第2次世界大戦の外交戦』『リヒトホーフェン』『パンツァーリーダー』『第三帝国』『バラ戦争』『ディプロマシー』『宇宙の戦士』『アラブイスラエル戦』『戦闘指揮官』『クロスオブアイアン』。右ページには左上から『電撃ドイツ戦車隊』『クレタ島降下作戦』『戦争と平和』『ヨーロッパ要塞』『激突マジノ線』『トブルク戦車隊』『ヨーロッパ上空の戦い』『マキャベリ』『ベンハー』『日本武将の戦い』『ギリシア・ローマ海戦』。すべてアバロンヒルのゲーム日本語訳ルール付きですが、バラエティに富んでいます。また、表1右側にはタクコンの広告記事も見られます。

(タクコンの紹介。当時ウォーゲームを発売していた大手3社のエポック、ツクダホビー、ホビージャパンが共催で開催していた。東京は勿論、大阪、名古屋など全国各地で開催しており、それなりの参加者が集まっていて盛況だった。主催3社が扱わないゲームはプレイしてると注意された。バンダイとか。)

(当時HJが輸入して日本語RBを付けて売っていたAHのゲームは結構高かった。平均5,800円ぐらい。それに比べてエポックが出していたワールドウォーゲームは3,800円ぐらいで、2,000円差は当時の学生には非常に大きかった。それでも本場はアメリカという印象があり、人気はAH製品の方が高かった記憶がある。貧乏学生はエポック、余裕がある社会人はAHと分かれていた。)

上記写真は表2と表3の見開きです。紹介されているゲームは、表2には『野球』『バスケット』『フットボール』などスポーツゲームが紹介されており、左下にはファミリーゲームとして『UFO』『インターン』『アウトドアサバイバル』などが紹介されています。そう、当時のAHは決してウォーゲーム専門の会社ではなく、大人が、家族が遊べるゲームを発売する会社でした。ウォーゲームの割合は5割ぐらいでしょう。

表3には、『米国南北戦争』『タクテクスⅡ』『Dデイ』『ワーテルローの戦い』『スターリングラード攻防戦』『ドイツアフリカ軍団』『ミッドウェイ海戦』『電撃作戦』『ジュトランド沖海戦』『アンツィオ上陸作戦』『英独大西洋上の戦い』『シーザー皇帝』『サブマリン』『アレキサンダー大王』『帆船の戦い』が紹介されています。AHクラッシックの勢揃いです。

見開きにはホビージャパンが取り扱っていた日本語ルールブックが紹介されています。最初はしていませんでしたが、後期には別売で200~500円ぐらいで郵便注文を受け付けていました。大々的には宣伝していませんでしたが。

同じく見開きの記事。日本語RBの交換対応、タクティクスの紹介、タクコンの宣伝、ルール改訂への対応、エキスパンションの紹介、日本AHゲーム協会会員募集、トレーの宣伝が紹介されています。


ホビージャパンの日本語RBは、初版は誤訳が多いのが有名で、すぐさま第二版が制作されました。それの無料交換記事ですね。有名な例ではconbat engineerを戦う技術者と訳していたRBでしょうか。勿論正解は戦闘工兵です。当時の訳者は、ウォーゲームを知らない人に依頼していたパターンが多かったようです。


タクティクスの紹介記事を見ると3号までの表紙が掲載されています。タクティクス3号の発売が1982年4月なので、このチラシは4月以降の発行でしょう。


タクコンの紹介記事を見ると、プレイできるのはエポック、ツクダ、アバロン、SPI、GDW、ホビージャパンのみとあります。音頭を取っていたのはホビージャパンなので最後の列記、最初にエポックとあるのは当時資本が一番大きい会社というのが読み取れます。また、バンダイがつまはじきされています。タクコンを3社共催にするときに弾かれたので村八分にされているのがわかります。勿論、タクティクス本誌でも絶対バンダイのゲームは取り扱いませんでした。大人の事情ですね。


ルール改訂への対応記事は、当時AHのゲームを並行輸入していた木屋通商対策でしょう。AHのゲームは、ホビージャパンが日本独占販売権を取得していましたが、並行輸入は防ぎようがありません。ですので、日本語ルールブックの質とその後のサポートで差を付けようとしたのですね。確かに、木屋通商のRBはペラペラで簡易翻訳と言って差し支えありませんでした。これでプレイするのはなかなか大変でした。かといってHJのRBができがいいとは決して言えない状況でしたので、志あるプレイヤーは英語RBを直接読めるように英語の勉強をしたもんです。そうして、私のように英語はしゃべれないけど英文RBは読めるという偏った翻訳者が生まれたのですw。


エキスパンションの紹介では、『スコードリーダー』のエキスパンションとして『クロスオブアイアン』と『電撃ドイツ戦車隊』が、『ヨーロッパ上空の戦い(エアフォース)』のエキスパンションとして『ドーントレス』が紹介されています。


日本AHゲーム協会会員募集では、JAHGA(ジャガァ)会員を募集しています。ちょっと無理くりですがJapan AH Game Associationの略ですね。入会方法は、HJ発売のAHゲームについてくるHJシールを2枚集めて協会に送ると入会できます。会員特典は、

1:駒、パーツの入手

>別途AHから普通に直接パーツ買いはできる。

2:ウォーゲーム大会のご招待

>普通に会場に行けば入場できる。

3:HJ制作日本語RBの別途入手

>普通に別途購入できた。

ということで、とっても魅力がない会員でしたw。


最後に、トレーの宣伝が紹介されています。でもこのトレーは割れるし潰れるし箱に入れると上蓋が閉まらないパターンが多く、後にジップロックに変わっていきました。


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