チョコ大佐のゲーム三昧8

初版 2019/12/31 13:39

改訂 2020/03/15 13:32

【オマエの好きを5つ言え!】SF篇


…と言うことで、好きなSFゲームを5つ言います。甲乙つけられないので順位はつけません。


『インぺリウム』(GDW 1977/国際通信社 2001)

https://muuseo.com/simulationgame/items/208

初版も購入しましたが、残念ながら手放してしまいました。現在所有しているのは国際通信社から再販された第二版です。デザインはマーク・ミラー。

初版がGDWから発売された頃は、SFゲームは日本ではあまり人気はありませんでした。が、その中でもこの『インぺリウム』は、その面白さによりかなり流行ったと思います(少なくとも私の周りでは)。それを成り立たせていたのは、簡潔なルールながら展開の面白さ、絶妙なバランスでした。特にマップのレイアウトが絶妙で、独特な移動方法と合わせて面白さを演出していました。また、短距離武器のレーザーが主力の地球軍、遠距離武器のミサイルが主力の帝国軍と、異なる特徴の部隊が戦うという面白い戦いの基本を押さえています。更にキャンペーンゲームは1回の戦いではなく、停戦ルールがあり何度も戦争と平和を繰り返してその勢力図を塗り替えていくという、正に宇宙規模のスケールを体感できるシステムになっています。

独特の移動方法は、恒星それぞれがジャンプルートで繋がれており、各ユニットには移動力という概念が無く、ジャンプルートが繋がっている限りはそれに沿ってハイパースペースジャンプで敵にぶつかるまでは移動できるというシステムです。これにより複数ルートの拠点となる恒星、いわゆる地勢上の戦略拠点は常に奪い合いになり、戦場のメリハリを演出しています。また、ルートが繋がれば一気に敵本陣まで侵攻できるため、先を見越した戦略的な移動が重要になります。更に、やろうと思えば亜光速移動と言ってジャンプルートが無いところでも移動可能で、これが移動戦略に深みを与えます。但し、亜光速移動は1ターンに1へクスしか移動できないため、一旦ジャンプルートから外れるととてつもなく移動に時間がかかります。これも相反する移動方法を提示してプレイヤーに選ばせるという、ゲーム全体に深みを持たせています。BGGで6.9の名作、是非ともプレイして欲しい一品です。



『ステラ―・コンクエスト』(メタゲーミング 1975/AH 1984)

https://muuseo.com/simulationgame/items/74

4人までプレイできるマルチプレイゲームです。デザインはハワード・トンプソン。

銀河開発系の古典ゲームで、プレイヤーは母星(マップの四隅)から出発し、広大な宇宙空間を探査船を飛ばして探索し、新しい恒星を発見したら恒星カードを引きます。恒星カードには、その恒星が抱える惑星が居住可能か可能かどうか、どのくらいの居住規模が見込めるかが書いてあり、それを基にして移住計画を立てます。恒星カードはオープンデータではなく、探索したプレイヤーしか見られないため、他のプレイヤーがどんな状況なのかは全く分かりません。そのため、ゲーム序盤はプレイヤー間での接触が全くなく、個々が黙々と探索、移住、開発を行う多人数ソロプレイとなります。これが気に入らない方もいるでしょうが、私にとってはこれがまた楽しく、全く邪魔が入らず自分の領土が拡大していき、発展していって人口が増えていくのは何とも言えません。ここでゲームが終わってもいいくらいです。

(恒星カード。左の37番のカードは、スペクトルカラーがイエローで、第三惑星が居住不向(Barren)、第四惑星が地球型(Terran)で6千万人居住可能。右の48番のカードはカラーがオレンジで、第三惑星が準地球型(Sub Terran)で4千万人居住可能、第四惑星がかろうじて住める(Minimal Terran)、1千万人居住可能でミネラル資源が豊富、ということです)


また、やることは探索と移住だけでなく、技術も発展させなければなりません。技術には航行、軍事、テクノロジーの3種があり、航行技術を伸ばせば航行速度が速まり、他のプレイヤーに先んじて未開の恒星を探索することができます。軍事技術を発展させれば敵惑星への攻撃は勿論、大切な自分の惑星を守ることができます。テクノロジーを発展させれば経済発展に拍車がかかります。そうしていくうちに、広い銀河も各プレイヤーの開拓により未開の惑星が減り、国境が他プレイヤーと隣接することになり、十分に育った帝国同士で決戦をして銀河の覇者を目指すのです。

現在のドイツゲームに慣れた人には、序盤の退屈さは我慢できないかもしれません。が、おのおのが黙々と自分の理想の帝国を作っていく、それは当時の私にはとても幸せな時間でした。何分古いゲームなのでプレイアビリティも悪く、そのせいかBGGでは評価6.4、微妙な数字です。万人にはお勧めできませんが、探索発見、拡大生産のゲームが好きな方にはお勧めです。



『ダモクレスミッション』(SPI 1983)

https://muuseo.com/simulationgame/items/154

パラグラフ形式の探索型ゲーム。ソリティアゲームです。デザイナーはGerard Christopher Klug。

SPI社が発行していたSFゲーム専門誌『アレス』13号付録のゲームです。

ある日、地球の衛星軌道上に謎のエイリアンクラフトが出現し、人類は果敢にもこの宇宙船に接舷、乗り込んで調査を開始、この宇宙船が一体何なのか?何の目的で地球に来たのか?などの謎を解くというシチュエーションです。謎はパラグラフ形式で表され、調査隊の行動結果によって指示されたパラグラフを読み、謎を少しずつ解いていくわけです。

侵入にあたってプレイヤーは調査チームを組みますが、調査チームは3~6人の間で編成し、それぞれ調査用のアイテムを持つことができます。メンバーには宇宙飛行士、言語学者、生物学者、エンジニアなどがいて、それぞれ得意分野が異なります。また、持っていけるアイテムにも目視からガイガーカウンター、無線機、録音機、温度計などがあり、それぞれ調査に重要な役割を果たします。

マップは無く、移動するたびに各部屋を模したタイルを引き、シャトル内部の構造を把握していきます。タイルにはシャトルの動力をつかさどる動力タイル、謎の部分を解明する情報タイル、他のタイルを操作するコントロールタイルの3つの系統があり、それぞれ危険度が違います。動力タイルは起動させるのが難しく、成功すれば他のタイルにも動力が伝わりその後の調査がたやすくなりますが、失敗すると致命的なダメージを受けてしまいます。コントロールタイルの起動に成功すれば他のタイルの遠隔操作なども可能になります。最終的には情報タイルにより謎の部分を解明していきます。

システム的にはまず侵入しようとするタイルが裏向きで引かれ、目視や無線機による調査を行い、成功するとそのタイルが表向きになり侵入することができます。侵入したら更にその内部にある謎の機器に対して目視やガイガーカウンターなど調査機器を選択し、調査を試みます。調査に成功したら指示されたパラグラフを読み、情報を得ます。失敗するとバックファイアが起こり、そのタイルは機能停止してしまい、他のタイルに移動することになります。移動も各タイルを繋ぐ通路があり、通過するたびに数字以下を出さないとその通路は通行不可になってしまいます。

一度のプレイで完全制覇するのはかなり難しく、調査隊全滅はざらです。トライ&エラーを繰り返して少しずつ謎が解明されていく、というゲームになっています。SPI社はこういったパラグラフ形式のゲームのパイオニアであり、「パンドラ号の航海」によって始まり、「ステンレススチールラット」により昇華し、この「ダモクレスミッション」によって遂に完成した、SPI渾身のパラグラフ形式の謎解きゲーム、SFファンなら必プレイの傑作です。BGG評価は6.3、ちょっと低いのが悲しいです。



『銀河革命』(SPI 1979/AH 1981)

https://muuseo.com/simulationgame/items/139

デザインはハワード・パラシュとおなじみバターフィールド。

宇宙を支配する帝国軍と反乱軍の戦いを再現しています。特筆すべきは、戦略的規模で銀河大戦を戦いながら、なおかつキャラクターがいて、その戦術的な個人的戦いも再現している点です。これはすごいことで、普通ならば両立できず無理やり再現すると『Fire in the East』のようなビッグゲームになってしまうでしょう。それを成り立たせているのは独創的なシステム。SPIの面目躍如です。

更に凄いのは何といってもこの独創的なマップでしょう。

(マップは左上の恒星にある中心部分の数字が41番の恒星Erwindを現わし、周りの円が恒星の周りを回る惑星の軌道を現わします。Erwindには2つの同心円があり、2つの居住惑星があることがわかります。内側の惑星は惑星番号411のTroliso、統治体制は統合府(CAPITAL)、政治状態は愛国派(Patriotic)2、忠誠(Loyal)1、中立(Newtral)0、反対派(Dissent)1、不満(Unrest)2と、社会が両極端に二分されている状況です。居住可能地域の形状は都市で規模は6,Rhonesという種族が住んでおり資源富裕度は8、そしてSEKEKERSという動物が生息しています。これだけの細かい情報をこの斬新なマップに詰め込んでいるのです。)

プレイはまず銀河ステージターンがあり、次に反乱軍プレイヤーターン、帝国軍プレイヤーターンを行い、もう一度反乱軍、帝国軍のターンを行って1ターンが終了します。

銀河ステージターンは事件フェイズ、資源フェイズ、帝国戦略フェイズに分かれており、事件フェイズには反乱軍が事件カードを引きます。事件カードには銀河的に起こる事件が書かれており、ある星系での疫病の発生、宇宙海賊との接触、帝国中央政府の命令による帝国艦隊撤退などが発生します。資源フェイズはいわゆる収入・軍備フェイズで、帝国は星管区から税収を得ます。また両軍は資源を使って艦隊編成やPDB(惑星防御要塞)の整備を行います。帝国戦略フェイスには、帝国軍が戦略区カードを引きます。帝国軍は広大な銀河帝国を大規模な艦隊群で統治するためにスケジュールに従って行動しています。これは帝国政府が決めたことであり、破ることができません。戦略区カードには、どの星管区からどの星管区へ移動することができるかの指令が書かれていて、このターンでは帝国軍それ以外の星管区移動ができません。尤も、反乱軍の秘密基地が発見された場合はこの命令は解除されます。


両軍の各プレイヤーターンは作戦フェイズ、探索フェイズ、任務フェイズに分かれており、作戦フェイズには惑星間移動、恒星間移動、キャラクター移動を行い、敵と遭遇したら戦闘を行います。探索フェイズには、自分のキャラクターか部隊がいるエリア内で敵がいるかどうか探索を行うことができます。敵を発見したら攻撃することができます。任務フェイズには任務カードを引き、任務を行うことができます。任務には、外交交渉、新しい仲間をスカウト、暗殺指令、クーデターの煽動などがあり、その任務に就くキャラクターもしくは部隊を決めたら結果カードを引き、結果を適用します。任務の結果いかんでクーデターが発生したり、帝国軍が撤退したりして帝国の支配が弱まります。

こうして反乱軍は各恒星を回り、惑星に降り立ち、反乱を起こさせ、それを全銀河に

波及して帝国の転覆を狙い、帝国軍はそれを阻止するのがゲームの目的です。

また、キャンペーンゲームでは特定の惑星に秘密が隠されており、それを解明するのも反乱軍の楽しみのひとつです。これらは登場するキャラクターと相まってスペースオペラに必要な細かなSF的ギミック満載です。これ以上スター・ウォーズの世界を再現しているゲームは過去も未来も現れないでしょう。間違いなくSPI全盛期の傑作のひとつです。キャンペーンゲームはあまりに複雑なのでプレイは大変ですが是非とも一度プレイして欲しい傑作です。BGG評価は6.7です。


『べルター』(GDW 1979)

https://muuseo.com/simulationgame/items/293


持っていたけど手放してしまいました…。いつかは買い戻したいと思っています。

内容は探索拡大生産型のマルチゲームです。プレイヤーはアステロイドベルトに調査に赴き、小惑星の資源の量を調査します。採掘に見合うだけの埋蔵量がありそうなら採掘を開始し、毎日コツコツと鉱石を採掘し、それをマーケットで売りさばいて金を稼ぎます。資金が貯まったらより輸送量が多い輸送船を購入したり、採掘設備を大規模なものにして更に事業を拡大していきます。いわば採掘事業によって宇宙一の商人を目指す、いや、宇宙一の事業家を目指すゲームと言えるでしょう。勿論プレイヤー間の戦闘も行えますが、それは二の次で自分の事業者としての才能を開花させるのが一番の目的です。実際のプレイ中は戦闘どころではなく、綿密な事業計画によって採算を立て、従業員の健康に留意し給料にも気を配りながら設備も新しくしていく、という、帳簿と睨めっこをする公認会計士かい!とったプレイが求められます。

BGG評価は6.1、さもありなんといった感じですが、こればっかりは好き嫌いの問題なので…。万人には勧められませんが、コツコツと苦労するのが好きな人にはお勧めです。



※2020年3月15日、買い戻しました(^^)/。


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ひとりこつこつとヒストリカルSLGをやっています。

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