ちょこ大佐のゲーム三昧4

初版 2019/10/29 06:54

『ゲームなのに遊べない?』


ヒストリカルゲームの中には、ゲームなのに実質遊べないゲームのジャンルがあります。正確には、頑張れば遊べるけど普通人は普通遊ばない、ですかね。

それは、ビッグゲームと言われるものと、精密すぎるシミュレーションのゲームです。今回は私の独断と偏見に満ちた感想なので気にしないでください。環境が違えばあなたにはプレイ可能かも知れないのです。おすすめはしませんがw。


ビッグゲームは、その名の通りマップ巨大、ユニット数千、プレイ時間数十時間というゲーム達を指し、日本の住宅事情を鑑みるとプレイはとっても無理、12畳一間を1週間独占してやっとプレイできるかな?というレベルのゲームですので、大金持ちで部屋がいくらでも余っているよフフンという人か、家族がゲームに尋常なる理解を示してくれる家庭ぐらいしかプレイできまへん。では、メーカーは何故そんなプレイできそうもないビッグゲームを作るのか?それは大きな戦い、長期間の戦いをシミュレートする場合、どうしてもスケール設定が1ユニット軍や軍団規模になってしまいます。軍は兵士5万人、軍団でも3万人の集団ですので、この規模だと細かい戦場の再現が望めないんですよね。戦闘の機微を再現するには、最低限師団以下、できれば旅団クラスのスケールだと私は考えています。師団は1万人、旅団は2千人規模の戦闘集団となります。

となると、細かい戦場の再現を目指してゲームを作るとなると、バルバロッサ作戦でのドイツ軍戦力は200万なので旅団規模だと1,000個、ドイツ軍だけで1,000個のユニットでっせ!1ユニット10秒で移動させたとしても全部移動させるのに2.7時間かかる計算で、とてもプレイできるとは思えません。これがモスクワ攻防戦となると両軍合わせて700万人が戦闘に参加していますから3,500個のユニットがマップ上を駆け回ることになります。こうしてビッグゲームが作られるわけですね。ですので、ビックゲームの役割はプレイにあらず、その価値が戦闘序列(その戦いに参加した軍の部隊編制)にあり、歴史資料的価値にあるわけです。


広すぎてオラには無理だゲーム

「War in Europe(第二次欧州大戦)」(SPI/HJ 1976)

第二次世界大戦のヨーロッパ戦線をシミュレートしたゲーム。フルマップ(A1サイズ)9枚は、畳6畳を埋め尽くします。その他チャート類も多数あり、全部広げると12畳ぐらい必要となります。マップを広げるだけでも住宅事情を選ぶモンスター級のゲームです。更にマップを広げたとしても中央部分に手が届かないという罠が待ち受けています。


「The Longest Day」(AH 1980)

ノルマンディー上陸作戦をシミュレートしたゲームです。

1ユニットが大隊規模(300人程度の戦闘集団)、1ターン1日、1へクス2㎞のスケールで巨大作戦を超細密に再現しています。ビッグゲームはSPIの独壇場でしたが、やっとアバロンがやってくれました。ユニット数1,600個、セットアップに2時間、キャンペーンゲームのプレイ時間が100時間以上の堂々たるビッグゲームです



多すぎてオラには無理だゲーム

「Atlantic Wall(大西洋の壁)」(SPI/HJ 1978)

ノルマンディー上陸作戦をフルマップ5枚で再現したゲームです。第二次欧州大戦のマップ9枚と比べると小さいですが、なんとユニットが連隊規模(500人程度の戦闘集団)なのでユニットの総数が2000個以上になります。


「War in the Pacific(太平洋戦争)」(SPI/HJ 1978)

日本VSアメリカの太平洋戦争を再現したゲームです。

マップは太平洋全域を現わし、フルマップ7枚ですが、巡洋艦以上の艦船は1隻1ユニットで表しているため、また、補給に重点を置いたシステムのためマーカー類が多く、「大西洋の壁」を上回るユニット数で艦船ユニット、マーカー合わせて3200個になります。ユニット切るだけでも数日かかって音を上げるレベル。しかも、ルールブックにはさりげなくプレイ時間が6~200時間って書いてあります…。



精密すぎてオラには無理だゲーム

「Air War(空戦マッハの戦い)」(SPI/HJ 1977)

1950年の朝鮮戦争から70年代までのジェット機が登場する作戦を再現するフライトシミュレーターもびっくりの精密ゲームです。二次元のマップ上で3次元の立体飛行を再現するとこうなるよ、というのを体現しています。1ターン2.5秒のスケールなのですが、常人で1機、プロ(プロってなんだ?)でも3機同時に飛ばせるか飛ばせないかというレベル。とても編隊戦などできません。正面から接敵してすれ違った後、敵機の後ろを取るのは至難の業です。友人曰く、これは各戦闘機の能力チャートを見て楽しむゲームであり、1機ずつ飛ばしてその旋回半径を確かめてニヤニヤするゲームだそうですw。


「撃墜王」(ツクダホビー 1985)

1944年~45年の太平洋における戦闘機同士の空中戦を詳細にシミュレートしたゲームです。精密なシミュレート大好きツクダホビーが満を持して発売した超精密フライトシミュレーターです。練習機”赤とんぼ”で挫折した私はパイロットには向いていませんw。


「航空母艦」(ツクダホビー 198x)

日本で最もモンスターな空母戦ゲーム。

空母戦のすべての要素を詰め込もうとして詰め込んだが、実際プレイしてみるとバランスが悪く、とても史実通りの結果を導き出せない。特に対空砲火が強力で、航空戦力で空母を撃沈できません。ゲームデザインとは、すべてを再現するのではなく、どこを削るか、どこを抽象化するかが仕事だということを教えてくれるゲームです。待望の国産空母戦ゲームだったので、海戦ファンは涙して購入しましたが、購入後別の意味で涙した人多数という罪作りなゲームでした。


「バトルオブブリテン」(エポック 1986)

どうしたエポック。どうしたクロちゃん。ワールドウォーゲームシリーズは初心者に優しいシリーズではなかったのか?これも詰めるだけ詰め込んでしまってやっちまったゲームです。まるでツクダに下請けに出したように細密になってしまったルール。ツクダの怨念だろうか?というゲームです。敵重要拠点を狙って爆撃計画を練る戦略級ゲームの部分まではいいのですが、実際爆撃するときにいきなり戦術級となり、迎撃側と空戦を繰り広げるというゲームinゲームの形を取ってしまったがため、キャンペーンゲームのプレイ時間がとんでもないことになります。

(現在持っているゲームで唯一プレイ不可と思われるゲーム。記入チャート類が多いです。左上に見切れているのが、メインマップとは別に空戦が発生したら使用する別マップです。)


#ゲーム三昧

#ビッグゲーム

#プレイ不可能なゲーム

ひとりこつこつとヒストリカルSLGをやっています。

Default