UKとドイツの12inchなCheer Down
初版 2023/06/05 17:10
改訂 2024/11/20 00:24
ちょうど1年前にハマった、12inchシングル沼。
そのきっかけとなったのが、
「サイトの説明ではUK盤ってなってたのに、届いてみたらドイツ盤」だった、ジョージの
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Cheer Down (Germany 12inch Single)
https://muuseo.com/r0046/items/236
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Cheer Down
集めているUK盤でなかったのは残念だけれど、鳴らしてみたら物凄く音が良く
12"シングルの威力に完全ノックアウト☆
その後無事に同じUK盤も手に入り一安心。
で、安心しちゃってそれらを比べたりとかして来なかったんですが、
先日US7"のCheer Downを聴いた流れでこの12"も聴きたくなり、この2枚を引っ張り出した際、
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何かレーベル周りの無音地帯(ランアウト)、やたら面積違くない?
となりまして。
そういえばこの2枚をちゃんと並べて比べた事も無かったので、
今回、色んな角度から見比べてみたいと思います!
***
まず、何はともあれ外見から見ていきましょう。
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表側だけだと、若干UKの方が青みが強いものの、パッと見どちらも同じデザインなので、
正直、この写真だけでは見分けつかないと思います。
が、このジャケ、裏を見ると結構違う箇所がありまして、
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こちらはパッと見て分かる違いが何箇所もあります。
まず目立つ所からですと、
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記載されている事項、ドイツは全て一色なのに対し、UKは曲のタイトルやロゴ等が所々金色になっています。写真だとこの金色、ちょっと暗くて見にくいと思うんですが、実物のそれは背景のブルーに映える金色で、とても美しいんです。
ちなみにドイツ盤の方は一番下の記載事項が一行多く、そこに「MANUFACTURED IN GERMANY」の文字も確認出来ますので、裏ジャケさえ見れれば、ドイツ盤と判定するのは容易かと思います。
そして次に目が行くのは、裏ジャケ右上のバーコード下の記載事項。
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ドイツの方はFranceの文字が見えますがUKの方はその手の記載はありません。英国製なのかな?この辺は書いてないので断言は出来ないんですが、
私が好きなのはその文字のフォント。
ドイツのはここだけゴシック体なんですが、UKのそれは他の文字と同じフォントなんですよね。
所々差し色が入ったり、全て同じフォントで統一されていたり…ちょっとした事ですけど、UK盤ジャケのこういう所も、わたし的には集めたくなっちゃうポイントです🎵
またこれは手に取れば一目瞭然なんですが、
UKは折り返しジャケ。
一方ドイツのそれは普通のLPのジャケと同じ形をしていて、
取り出し口の位置も、UKが上開きなのに対し、ドイツのそれはサイド。そして
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ドイツの方には「背」もあります。
また、半光沢なドイツジャケに対し、UKのジャケには全体的に光沢があります。
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ラミネート加工のあの鏡のようなツヤまでは及びませんが、なかなかどうして、艶やか✨なんかね、こういうジャケ、UKっぽくて好きなんです💕
***
さて、お次はいよいよ盤を見ていきます。
まずはレーベルを見比べてみましょう。
(上がUK,下がGER)
レーベルのデザインや記載事項が全然違うので、この2枚とても見分けやすいんですが、
中でも一目瞭然で気が付くのが、ドイツ盤にある四角で囲まれた「GAMA/BIEM」という表記。
もうこれがドイツ盤である事の証なので、とてもとても分かり易い(笑)
あと、各々レーベルの下の方に
「Manufactured in the UK」
「MADE IN GERMANY」
とあからさまに生産国が記載されているので、英語さえ読めれば誰でも判別出来る仕様になってます。
(なので、このドイツ盤を「UK盤」と表示して販売していたレコード屋さんの目は、相当節穴だと思います笑)
*
さて、お次は盤面。
最初の方で触れた通り、この2枚のマキシシングル、全く同じカップリングなのですが、
盤の使い方に個性がありまして、
(上UK,下がGER)
比較しやすくする為にくっ付けてみますと
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(こちらも上UK,下がGER)
12インチの盤を贅沢に使うUKに対して、
12インチで一番美味しい、音質の良い外側に重きを置くドイツ盤。
UKのように盤面を贅沢に使う方法だと、
隣り合う音溝の間隔に余裕を持たせることができるので
より幅広い周波数帯を、音圧高く収録する事が出来ます。
溝の幅が特に必要となるのは低音成分。音楽を支える低音の迫力を犠牲にすることなく収録ができるわけです。
一方ドイツ盤の盤面の使い方のメリットは、
音質の良い盤の外周をメインで使うという事で、言い換えるならば、音質の劣る内周は敢えて使わない、という事。
レコードというのは、円周の長い外周へ近い方が情報量も豊かで音質が良く、円周の短い内周へ行く程 情報量を短い距離に収めなければならず、また音の歪みも出やすくなります。
なのでレコードは、物理的に12inchの外側というのが最も音質が良いとされていて、そこを45回転で針が駆け抜けていくので、この仕様のシングルは高音質が望める訳です。
同じシングルなのに、お国柄なのか それぞれこだわるポイントが違うというのがまた面白くて大好きなんです!
という訳で、そんな事を頭の片隅に置きながら、聴き比べてみましょう!
A-1 : Cheer Down
■UK盤
全体を通して、音に厚みがある。
バックでずっとリズムを刻んでいるギターの音がとても心地よく、
またこの曲の聴きどころである、最後のジョージのスライドギターも、全ての楽器の音と一体になって胸に迫ってくるので、とても迫力がある。
■ドイツ盤
とても明るい印象。中高音域がくっきりしているので、ジョージのギターも艶やか。
B-1 : Poor Little Girl
■UK盤
ギターやボーカルの中高音域が丸い感じがします。
低音域の押し出しが強い分 下からの迫力はあるので、
もう少し中高音域も尖ってた方が私は好み。
サビの部分の裏でアルペジオっぽい動きをしているギターの音が私はとても好きなので、もっと聴こえたら良いのにな🎵と思う。
■ドイツ盤
全体的にボーカルとギターの音が垢抜けていて強め。
UKのえぐみのあるホーンセクションも捨て難いけれど、こちらは低音を攻めてない分、曲全体としてとてもスッキリした印象。
ギターの音もくっきりしていて、とても心地よい🔥
B-2 : Crackerbox Palace
■UK盤
まず出だしのドラムの音からして力強く、そしてそれに続いて始まるイントロの後ろで鳴っているホーン(多分バリトンサックス)の低音のゴリゴリ具合が本当に楽しくて仕方ない。
ギターの音もその低音に押し潰される事なく、輪郭もしっかりしていて、身体の芯からウキウキしてくる音。
このUK盤の音を聴いて、私はこの曲が大好きになりました🎵
■ドイツ盤
この曲も中高音域強めな明るい音に仕上がっているので、曲が持つ楽しい雰囲気には合ってると思う。
ただ、この曲はサックスの音も含め、低音域の動きが非常に独特で面白い曲でもあるので、
それがゴリゴリ聴こえるUK盤の音を聴いてしまうと、こちらのはちょっと物足りなく感じてしまうかも。
***
まとめ
同じシングルなのに、音は勿論、盤作りからこんなに違うかと思うくらい別モノな、面白いレコードの聴き比べでした!
色々主観的な感想も書きましたが、一つ言えるのは
【どちらもめっちゃ音がいい!】
という事です🔥
アルバムは勿論、7inchなシングルとも比べ物にならない位、音質が良いです。
以前音楽関係のお仕事をしている方のお話を聞く機会がありまして、その方曰く
「技術的にレコードの音は80年代にピークを迎える」
と仰ってましたが、
その頃の技術で作られた、レコードとしては最も音質が良いとされる45回転な12inchレコードの威力、
本当に凄いです。
高音質な12inchシングルの欠点を挙げるとすれば…
大きいので、増えると仕舞うの大変って事かしら😅
我が家のレコード棚のストレージを間違いなく圧迫しています。
ただ、ジョージの12inchシングルに関しては先日コンプリートしたので、これ以上増える心配はありません(笑)
という訳で、ひとまず今回の聴き比べはこれで
おーしーまい!
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Cheer Down (UK 12inch Single)
https://muuseo.com/r0046/items/336
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MATHEW STREET 1962
2023/06/05 - 編集済みこんな較べ方が利右衛門さん流で楽しいですね。
4人がいいね!と言っています。
利右衛門
2023/06/05Mathewさん、ありがとうございます。
私の主観に満ちた比べ方なので、誰の参考にもならないのかポイントです(笑)
屁理屈も合っている保証はありませんが、
私がレコードのどういう所に興味持っているのか伝わったらいいな〜くらいの日記です
3人がいいね!と言っています。
MATHEW STREET 1962
2023/06/05「私がレコードのどういう所に興味持っているのか伝ったらいいな〜くらいの日記です」
こう言うのが大切だと思います。
3人がいいね!と言っています。
利右衛門
2023/06/05レコードって、勿論聴くための物なんですが、見ても楽しいんですよね。
その中で疑問に思った事を調べたりするのも、私は楽しいんです🎵
音にお国柄が出たりだなんて、CDやストリーミングな音楽にはない楽しみだと思うんです。
色んなレコードと出会う度に、レコードの事がどんどん好きになる自分がいます🤗✨
2人がいいね!と言っています。