「およげ!たいやきくん」にまつわる思い出。
https://muuseo.com/momo0705/items/312#!page-2 こんにちは、あゆとみです。 「およげ!たいやきくん」と言えば、日本シングルのセールス史上最高の450万枚を売りあげたメガヒット曲として有名だ。 これは多くの巨大ヒット作に通じることかもしれないが、あそこまで売れるというのは音、歌詞、歌声、時代、全てのピースが奇跡的なバランスでピタッとハマったからに違いない。 初めて聴いたのは幼稚園くらいだったろうか。 元々「ひらけポンキッキ」のために書き下ろされた曲というだけあって、幼い子供の耳にも歌詞がすんなり耳に入ってきて、理解もできて、何よりその内容に衝撃を受けた。 楽しいおかしい話口調の歌だと笑顔で聴いていると、突然訪れるアンハッピーエンド。 そして、生き返らない主人公。 当時の私に完全に理解できたはずはない。だが、私にとってはあれが初めてぼんやりと感じた「死」のコンセプトだったのかもしれない。 その後も時々、「児童向け」とされる本やアニメにその感覚は呼び戻された。 「かちかち山」のたぬきがいきなりおばあさんを殴り殺してしまったとき、「聖戦士ダンバイン」のラストで、主人公が死んだとき。 「え!?まさか、これで終わらないよね??嘘だよね??」と画面を見つめていても、一向に生き返らない登場人物。 生き返ってほしいというあどけない幼心に反して、抗えない現実として突きつけられたどうにも変えられないエンディング。 https://muuseo.com/nobulico/items/104#!page-2 https://muuseo.com/u-zool/items/305#!page-2 当時の世相を探ろうと1976年の写真を探してみた。 たいやきくんに関する写真はすぐに見つかった。 たいやき店前に行列を作る人々の写真や、百貨店のレコード売り場にたいやきくんを求めて群がった人々の写真。 レコードを握りしめてジャケットを熱いまなざしで見つめているのは子供達だ。 子供達は両親に聞いただろうか。 「ねえ、たいやきくん、食べられてどうなったの?口から出てこないの?」 それとも私のように口でうまく表現できずに、ぼんやりと「死」の陰影を味わったのだろうか。 調べると、「およげ!たいやきくん」にはなんと続編があるというではないか。 その名も「踊れ!たいやきくん」。 2004年のリメイク版で、作詞作曲もオリジナルと同じコンビということで、一瞬、二匹目のドジョウを狙ったのだろうかと勘ぐってしまったが、作り手側には確固とした理由があったらしい。 ウィキペディアによると、作詞家の高田ひろおは『前回食べられて終わってしまってるのでもっと楽しんで泳いでいる「たいやきくん」をもう一度描きたかった』(TV&新聞インタビュー)と語ったとされている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/踊れ!たいやきくん 期待が高まった。 「やっぱりそうだ!あのままじゃ、悲しすぎるもんね?たいやきくんが生き返るんだ?!」 幼少期に味わった、あの行き場のない感情が昇華できる気がして、早速私は嬉々として視聴してみることにした。 リメイクらしく、軽快なユーロビートに乗せられてえらく様変わりした民謡調の楽曲には驚かされたが、内容は確かにあのたいやきくんについての歌だった。そして、確かに、たいやきくんは海の冒険を堪能していた。 だが、そこで終わっていた。 https://www.youtube.com/watch?v=pgLs5mIJsjQ その後、岩場の陰から見つけた餌に食いついて釣り上げられてしまったのか、そのまま楽しく海で過ごしたのか、そこには不明のままだったのだ。 私の幼少期のやるせない感情は残った。 だが、それで良かったのだと思う。 あの悲哀こそが、何十年たってもあの曲を人々の記憶に刻み続けるエッセンスだったと思うから。 https://muuseo.com/deltaforcedelta/items/1191#!page-2 #コレクションログ #思い出 #1976年 #およげ!たいやきくん #踊れ!たいやきくん #ひらけポンキッキ #かちかち山 #聖戦士ダンバイン #子門真人 #高田ひろお