9,Dec.2024 十二月大歌舞伎@歌舞伎座
初版 2024/12/10 00:22
改訂 2024/12/10 00:22
先日のブルーノート公演で表参道のイルミネーションを堪能しましたが、今日は銀座のXmasディスプレイを堪能しながら歌舞伎座へ。
実は歌舞伎は縁があって、ここ数年、ほぼ 2ヶ月に1度くらいのタイミングで観劇に来ています。今年最後の十二月大歌舞伎は夏の納涼歌舞伎でお馴染みの三部制。やはりその中でも玉三郎が自ら演出を手がけている天守物語が観たいので第3部を選択しました。
さすが玉三郎が出ずっぱりの演目、人気も高く満員御礼。取れた席も2階席でしたが全体が見渡せるのでこれはこれで悪くないです。
今回の演目は古典では無いためあまり予備知識がないまま臨んだのですが、最初の演目「舞鶴雪月花」は勘九郎が三役を踊り分ける変化舞踊。元々十七世中村勘三郎(先先代勘三郎)への書き下ろし作品とのこと。
いきなり春の場面、勘九郎が女形で登場。事前情報を仕込んでなかったので「げげ…勘九郎の女形なんて見たくないんだょ…」と、ゲンナリ(失礼) 決して女形の踊りが下手とかそう言うんじゃないのですが、体つきがまるっきり男なんでイマイチ似合うと思った事がありません(苦笑)しばしぼんやり見ていると場面は変わり秋の場面。彼の次男、長三郎との親子マツムシでほのぼの。代わって冬の場面では勘九郎の真骨頂、雪だるま役。コミカルな舞踏で客席を笑いの渦に
まぁ、舞踏というより最早パントマイムなんですが、これはこれで◎ いかにも先代のオヤジさんも得意そうな感じ。こうやって中村屋の「家の芸」として新作も親から子、孫へと引き継がれ「伝統」になって行くんだろうなぁ。ちょっとくだけた感じこそ中村屋の味だよなぁ。なんて思いながら楽しみました。
30分ほどの休憩を挟み、本日のお目当ての「天守物語」です。泉鏡花作、坂東玉三郎演出。と聞いただけで妖艶でエロチックな内容が想起されます。これは玉三郎の当たり役で何度も何度も演じられて来た名作。妻は以前観た事があるそうですが、僕は実は初見となります。
見どころは新旧女形2top揃い踏み(坂東玉三郎と中村七之助)と、玉三郎演じる妖怪の富姫に恋する若武者を市川團子が務めるところです!
七之助演じる亀姫も妖怪、富姫を姉と慕う役。妖怪でも玉三郎はやっぱり可愛らしさがあり、七之助は妖艶そのもの。たとえは悪いですが吉永小百合と夏木マリが姉妹役を演じてるみたいなイメージ(笑違うか…) 非常にコントラストの強い2人、お互いにお互いを引き立て合う良い役どころでした。
ついでに従者の鬼?妖怪役の男女蔵は見る度にオヤジの左團次に所作から口跡までそっくりに!そろそろ左團次襲名も近い事を感じさせてくれる演技。また、腰元役にお気に入りの芝のぶも見えます。やっぱりその他大勢の役の中でも光っていました←贔屓なもんで(苦笑)
そして何はともあれ團子。体力的な問題もあって、もう2度と富姫役はしないと決めていた玉三郎が、團子のヤマトタケルを見て相手役に指名した程の逸材。ご承知の通り澤瀉屋があんな事になってしまい、もはや澤瀉屋の看板は若干二十歳の團子の両肩にかかっています。
そんな重積を跳ね除けるかの如く、爽やかで真っ直ぐで若さだけではいかんともし難い色気を漂わせなければ務まらない姫川図書之助をフレッシュに好演。直近では團十郎が海老蔵時代に演じたりと、なかなかに比べられるしんどい役どころ。
僕は初見だったので姫川図書之助=市川團子が今後の物差しになります。最近團子の評判は色んなところで聞こえて来ますが、そこまで良いか?中車の息子風情が…くらいにしか思っていませんでしたが、なかなかどうして立派じゃないですか!澤瀉屋の将来を1人で背負うのは本当に辛い事とはいえ(陰で猿之助が稽古つけてるらしい。真偽不明)、先達たちに暖かも厳しく目をかけてもらい、大輪を咲かせようとしているところです。今後の活躍に目が離せない役者の1人です。彼の成長をこの先リアルタイムで見続けられるのはある意味幸せな体験かな。と。
で、歌舞伎も終わり、銀座のディスプレイイルミネーションをぶらぶらと堪能しながら帰途に着きましたが、実は1番印象に残ったのは下品なLVのディスプレイでも、メルヘンなミキモトのでもなく…
地下鉄銀座駅コンコースの松屋のディスプレイ。青森ねぶた、岩手秀衡塗、能登和蝋燭をモチーフにしたXmasディスプレイの数々。とても気持ちが暖かくなりました。