本:「インベーダー攻略法」
初版 2021/11/23 02:15
企画・制作:ヘラルド出版
編集者:OFFICE TOKYO
出版社:ヘラルド出版
発行日:1979年6月11日 初版
大きさ:新書判
おそらく20年くらい前に、古本屋で買いました。
インベーダーを攻略したかったからではなく、どのような本なのかが気になって。インベーダー攻略法を攻略したくなったなどいいますか、まあ。
タイトー社の「スペースインベーダー」が出たのが1978年。その流行を受けての出版なのかなと。
カバーがない簡易な作りだけど、表紙の紙が丈夫で、背が割れたりなどの傷みはありません。
カラーページはなく、表紙以外の印刷は黒一色。ゲーム画面のまっ黒な図版が多くて、なにやらページを開いた全体が重く強い印象があります。
細かいところに目を向ければ、ゲーム画面はおそらくカメラで撮っている、罫線に歪みがある、など、原稿作りでの人の手を感じるところがある。
新しい題材を急いで形にしたからか、DTPがない当時はどの本もこんなだったろうか、わからないことですが空想が広がります。
さて、どんな内容だったかと目次を探したのだけど、どこにもない。よく見たら紙面にはページ番号が振られてもいない。
小口での紙の色と、記事の見出しに付いた数字がその代わりだ、ということなのだろうか。驚きましたが、道具のように本を作っているようで、その意外さにちょっと感動しました。
この本は、大まかにこういう流れです。
・ビデオゲームの概要
・テーブル筐体の操作法
・ゲームの決まり/動作の説明
・ゲームの攻略解説
・怪情報(ゲームの変則的な動作の噂)
・別メーカーのインベーダーゲーム紹介
・ゲームを動かすコンピューターのこと
・インベーダー以外のビデオゲーム紹介
「ビデオゲーム」という新しい遊具に光を当て、インベーダーゲームに着地して、攻略後には周囲を見渡す、といった感じ。
ビデオゲームを知らない人から、インベーダーゲームを初めて間もない人にまで向けた本なのだと思います。
ゲームの操作や攻略の記事は、実際に筐体、ゲーム画面を観て、遊んで、その体験を書いているようなところがいいですね。
くだけた口調だけど、ゲームの状況を理由付けしては納得できるように説明していて、攻略に役立つかというよりも、読んでいてゲーム画面が浮かんできたりする。
一方で、ビデオゲームが一般的でない頃に、ゲーム手順、操作を文章と写真で示していることの労を思ったりもします。
実際に遊べば意識もしないことをよく捉えて文章に示したなあ、など考えたりもするのですが、しかし、なんというか自身の体験を緻密に記録していることに、惹かれるところがあります。
ときにうるさい感じもなくはないけれど、なんとかして攻略の方法を伝えようとしている、そういうところが好きだし面白いですね。
私はビデオゲームは「ギャラクシアン」「パックマン」辺りから遊び出すので、「スペースインベーダー」には強い印象を持ちません。
熱中して遊んでいたなら、いまこの本の読み方も違っていたでしょうね。
この本は、10000点プレイヤーになるためのゲームの遊び方を書いているわけですが、でもそれは、遊ぶ人の行為を制約していくことにもなるんじゃないか。
ゲームの動きを憶え手順に従うことで高得点を得るか、ビーム砲となった自分を思うままに動かすことを面白がるか、そんな違いはなんだか大きいのではないかな。
でも「スペースインベーダー」は、あくまで点数を競うゲームだったのか。そんなところで頭がぐるぐるします。
「ギャラクシアン」や「パックマン」では、遊んでいて点数を増やすよりも先に進みたい気持ちが大きかったんですよね。旗の数が増えることとか、次は果物何が出るんだ、とか。
#スペースインベーダー #ヘラルド出版