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鉱物標本 ロンドナイト(Londonite)
別名:ロンドン石 産地:Madagascar セシウム元素を含むイエローがかった淡いシャンパンカラーの鉱物。ローディザイトのセシウム優位変種。 元々はローディザイトという鉱物だと思われていたが、1999年にK元素がCs元素より多いローディザイトに比べ、Cs元素の量の方が判明。 2001年に米国オクラホマ州ノーマンのオクラホマ大学地質学および地球物理学教授であるDavid London(1953 –)に敬意を表して、William B. Simmons、F. Pezzotta、A.U. Falster、およびW.L. Webberらによって命名された。 セシウムは元素周期表にて同じ1族元素(アルカリ金属)のルビジウム、2族元素(アルカリ土類金属)のストロンチウムとバリウムなどと共に母岩を構成する主要元素よりもイオン半径が大きなLIL元素(large-ion lithophile elements)に分類される不適合元素である。 マグマが結晶化する過程で不適合元素であるセシウムはルビジウムと共に液相で濃縮されて最後に結晶化するが、ロンドナイトもこのような過程で形成されるLCT(リチウム-セシウム-タンタル)型花崗岩ペグマタイト中に産出する。 余談であるが、セシウムよりもイオン半径の小さなルビジウムは同じアルカリ金属のカリウム元素と置換する性質があり、化学組成式にルビジウムが含まれているものはその為であると思われる。 本標本はマダガスカル産のロンドナイトとして購入したが、元素分析がされていない限りはロンドナイト-ローディザイトの固溶体がより正しいと思われる。 2020年10月、石ころ販売会in浅草にて購入。短波UVライトで黄緑色の蛍光を確認。
鉱物標本 8 ガラス光沢たじ
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化石標本 アンモナイト真珠光沢(Ammonite)
学名:Pseudosonneratia sp. 産地:Madagascar アンモナイト化石でアラゴナイトによる遊色効果を示すものはカナダのアンモライト(*1)が有名だが、まるで真珠の様な光沢を示すマダガスカル産のものも知名度が高いのではと個人的に思う。本標本をいつ何処で購入したのか忘れてしまったが、「アンモナイト」「真珠光沢」で検索すればこれと同じ物が大量に出てくる。 調べてみた限り、本標本はアンモナイト目Hoplites科Pseudosonneratia属の今から約1億1000万年前の前期白亜紀のアルブ期と呼ばれる時代に生息していた種だと思われる。ジュラ紀中期にゴンドワナ大陸が西ゴンドワナ大陸(南アメリカ大陸+アフリカ大陸)と東ゴンドワナ大陸(マダガスカル+インド亜大陸+南極大陸+オーストラリア)の2つに分裂した後、東ゴンドワナ大陸がさらにマダガスカル-インド側と南極-オーストラリア側に分かれた時期に相当する。 "pseudo"はラテン語で「擬(モドキ)」を意味し、同じHoplites科に属する「擬」でないsonneratia含めて多くの種類のアンモナイトがかつては西ゴンドワナと東ゴンドワナ間の海にも生息していた。やがて彼らが絶滅し、大陸が現在の形になった後もモザンビーク海峡という形で海は残り、隣接するマダガスカルにて真珠光沢を有する化石として発掘されている。 *1:アンモライトと遊色効果 →鉱物標本 アンモライト(Ammolite)赤系 参照 #化石 #鉱物標本
化石 真珠光沢 頭足綱 アンモナイト目たじ
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鉱物標本 サファイア(Sapphire)
別名:蒼玉、青玉 産直:Madagascar ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つコランダムの変種。9月の誕生石でもある。語源は古代ギリシャで青色を意味する"sappheiros"であり、当時は青色の宝石類全般を示す言葉であった。現在ではサファイアの定義はルビー以外の宝石価値を有するコランダム全てを含めるため、透明でもピンクでもサファイアである。 その青い発色はルビーのドーパントがCr3+なのに対してサファイアではFe3+やV3+になることで起こっている。 インドのヒンドゥーの間では元々不幸を招く石とされていたが、仏教徒には縁起の良い石とされ、キリスト教では司教の叙任の際に指輪として与えられたり等、昔から宗教と関わりのある石であった。 2019年、東京ミネラルショーで購入。
鉱物標本 9 亜金剛光沢、ガラス光沢、真珠光沢たじ