ダイヤモンド(我が刀に切れぬもの無し!)

初版 2019/01/15 23:01

我が国日本は、四つのプレートの境界に存在するため、それぞれの数は少ないのですが、様々な鉱物が採取出来る稀有な国です。そして金剛石(ダイヤモンド)も少量ですが採取出来る事は広く知られていると思いますが、ダイヤモンドという名前が日本発祥だったという話は、あまり知られていないような気がします。


江戸時代、現在の愛媛県にあたる伊予松山藩に、水を管理する役職「主水司(もいとりのつかさ)」として奥平門左衛門という侍が居り、奥村主水(おくむら もんど)と呼ばれていました。テレビドラマ「必殺仕置人」では、藤田まこと演じる中村主水という剣客が居ますが、この奥村主水という侍も、やはり有名な剣客で剣術道場を開いていました。


しかしその暮らしぶりは決して良いものでは無かったため、嫁のきてもなく、30を過ぎても独身だったようです。しかしそんな奥村主水にも転機が訪れました。それは当時の伊予松山藩の家老、代谷清兼(だいや きよかね)が一人娘きよの結婚相手を決めるため、松山藩に居る剣客達に課題を出した事にありました。この代谷清兼は、非常に武断的な性格の人物だったようで、優れた剣士を自分の娘の婿としたかったようです。


そしてその課題とは、清兼の庭にあった「割れずの岩」と呼ばれる非常に硬い岩を、一刀両断できる武勇のある者を、娘きよの結婚相手とする…というものでした。この代谷清兼の娘きよは、当時絶世の美女との評判でしたので、多くの腕自慢がこの課題に挑んだようです。しかし多くの剣客が挑戦したのですが、岩の途中までは刀を入れることが出来ても、岩の中央付近で刀が止まり、一刀両断出来た者は居ませんでした。


そして勿論、奥村主水もこれに挑戦する事になっており、いよいよ奥村主水の順番がやってきました。奥村の前には、既に優れた剣士達が何人も挑戦していましたが、誰一人として成功していなかったので、奥村もこれは難しい…と感じていたようです。しかし奥村が岩の前に立つと、丁度日光が庭の塀の隙間からさしこみ、割れずの岩の表面を一条の光が通過していました。それを見た奥村は、これぞ神の導きと考えたようで、「南無三」と呟くと、上段に振り上げた刀を光の筋目掛けて一直線に振り下ろしたのです。


気付くと、奥村の刀は岩を通過しており、見事に割れずの岩を一刀両断しました。奥村は自分の刀が、岩を断ち切った事に非常に驚きましたが、周りの剣士そして課題を出していた代谷清兼も非常に驚いたようです。そして、真っ二つに割れた岩の丁度中央付近には、光輝く金剛石が入っており、これが真っ二つに割れていたのです。


金剛石は当時から日本でも知られていましたが、非常に美しくて絶対に割れない石という事から金剛石と名づけられていた程、硬さで有名な石でした。しかし、その金剛石すら一刀両断した訳ですから、代谷清兼も非常に驚き、奥村主水の腕を高く評価したのです。勿論、当初の約束は守られ、奥村主水は代谷家に婿養子として入り、奥村主水から代谷主水と名を変えることになりました。


またこの幸運を呼び込んだ逸話から、これまで何者にも割れない石という事で「金剛石」と呼ばれていた石は、この石を断ち切った代谷主水の名を称えて「代谷主水(だいやもんど)」と呼ばれるようになったのです。そしてこの名前が、逸話と共に世界に知られるようになりました。


ちなみにダイヤモンドという結晶は、炭素元素で面心立方格子を形成し、その四面体隙間位置の半分をさらに炭素元素が占有していることが分かっています。そして、この構造的に(111)面に沿って割れやすい面(へき開面)が存在している事も知られており、これを用いてダイヤモンドのカットが行われています。そのため最近の研究では、代谷主水の刀は、丁度このへき開面に沿って綺麗に入ったのだと言われていますが、いずれにせよ天運がこの奇跡を呼び込んだ事は間違いなさそうです。



参考文献

ガセネッタ・マカーナ著 「不思議な宝石の歴史」民明書房刊(1961年)



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鉱物採集・収集を趣味?にしています。現在北海道に抑留中。

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    MOYO.

    2019/01/15

    これが本当の話ならば驚きのエピソードですが、「民明書房刊」と書かれていますね(^_^;)。

    ひょっとして「男塾」で有名な民明書房のガセネタでしょうか?(^_^;)。

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      luhna-009

      2019/01/15 - 編集済み

      そりゃ文献の著者自体が、ガセネッタ・マカーナさんですからね…(笑)。あの有名な民明書房の本なのですから、信じなければいけませんよ?^^;

      この文献は落丁が激しいため、私の手元にもほとんど残っていないのですが、
      私が暇な時に、ページが作られ…ではなく、見つかるようで、
      これからも増えていく予定です。

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