-
Bellows “Strand”
今回、紹介するのは、伊の電子音響作家 Giuseppe IelasiとNicola RattiのデュオBellowsの2017年リリースの作品”Strand”です。といきなり言われても困ると思いますので、先ずはBellowsについて紹介します。その正体はGiuseppe IelasiとNicola Rattiのデュオで、Ielasiは、ミラノ在住のギタリスト/作曲家で、1998年にFringes Recordingsと言うレーベルを立ち上げ、後には、BowindoやSenufo Editionsレーベル以外にもFrancesco Tenagliaと共にSchoolmapレーベルを運営しています。Rattiもミラノ在住の伊人ギタリスト/エレクトロニクス奏者です。両者は2007年にコラボ作”Bellows”を出しており、恐らくそこから、グループを取ったものと思われます。Rattiは1992年からギタリストとなり、マス・ジャズ・コア・トリオPin Pin Sugarに参加して、2003年にアルバム”Latex Duellos”を出しています。余りまとまった情報が無いのですが、このような伊実験音楽界の2人のギタリストが結成したのが、Bellowsと言うことになります。 それで、本作品”Strand”ですが、最初のコラボ作品を含めて、5枚目のアルバムになります。そしてその内容なのですが、曲名は全て無く、またクレジットで誰が何を担当しているのか?と言う情報もありません。唯一の情報は、このアルバムは、2016年2月にミラノのStandardsスタジオで、先述の2人によって録音されたと言うことだけです。それで内容なのですが、両面とも4曲ずつで、その殆どが、音の点描のように静かでスカスカな音から成っています。しかも、微妙にミニマル。モデュラー・シンセやテープ、エフェクター、サンプラーで作った音だとは思いますし、どうも4日間で即興的に録音したようですので、2人のスキルとセンスの高さが良く分かります。そんなスカスカの音の中にも、「ビート感」があって、聴けば聴く程、新たな発見があります‼️多分、最低2〜3回聴かないと、その良さがよく分からないタイプの音楽ですね。解説には「アコースマティックなサウンドとフラクタルなビートの間に生まれた複雑な音のパレット」と書いてありますので、強ち間違いではないと思います。それから、Amsterdam在住のアーティストLouis Reithが、ジャケ写などを行なっているのですが、収録されたBellowsの音楽を聴いていると、Reithのモノクロの写真との相性も良いと確信します。また、ある種のアンビエンスも含まれていますので、その手のリスナーさんにもお勧めします。そんな多角的に楽しめるアルバムですので、是非とも購入して楽しんで下さい❗️ A4 “Untitled part 4” https://youtu.be/3OwlJznEimI?si=Cs0v4ulf2b6trvUb [BandcampのURLを貼っておきます] https://shelterpress.bandcamp.com/album/strand #Bellows #Strand #ShelterPress #Italy #Experimental #Conceptual #点描 #Guitar #ModularSynthesizers #Tapes #Effectors #物音 #Glitch #GiuseppeIelasi #NicolaRatti #LouisReith
Modern classic / Experimental Shelter Press 不明Dr K2
-
M.B. “Neuro Habitat”
M.B.ことMaurizio Bianchi。宅録ノイズ(宅録インダストリアル)としては最初のアーティストの一人だと思います。私がK2名義でノイズをやろうと思ったきっかけになったアーティストで、名前のイニシャルからのユニット名も彼に倣った。彼のバイオグラフィーは既に書いてますし、また私より詳しい方もいると思いますので、バイオグラフィーは省略しますが、少しだけ。彼は、Tangerine DreamやConrad Schnitzler或いはT.G.に影響を受けて、1979年8月にSacher-Pelz名義でカセット作品を出していましたが、1980年にM.B.と名乗る様になりました。それ以前には伊の音楽雑誌に記事を書いてたそうです。当時は世界多発的にインダストリアル・ミュージックやノイズ・ミュージックが勃興してましたが、それらの多くはメール・アート/ミュージックのネットワークに大きく依存してました。私がM.B.に興味を持ったのは、Fool’s Mateで秋田昌美さんが書いていた「世界の音楽」でのM.B.の紹介文でした。電子音(シンセ)、個人、メールアート、ノイズ・ミュージック、彼の活動の全てに引き寄せられました。特にカセット作品を使っていたこと、そして、de-composition (脱作曲)とrecreate (再構築)。彼は一度作って作品にしたものを、更に加工して別の作品にすると言う手法を用いています。私は今でも自分の曲にはde-composedと付けています。そんな状況の中で、1982年に自身のレーベルMectpyo Soundsからリリースしたのが、この”Neuro Habitat”です(「神経の住処」とでも言うんでしょうか?)。この作品も、そうですが、何度もCDやらLPで再発されています。今回、紹介するのは、BrumeのChristian Renouがリマスターした作品で、多分、一番新しいものじゃないですかね。A面が”Möder Unter Uns”で、ここではChristianはリマスタリングだけではなく、リミックスもしています。B面は”Neuro Habitat”で両面とも長尺の曲が1曲づつ納められています。なので、A面はオリジナルのトラックとは異なっていますし、この作品自体が200部限定なんですよね。それで内容なんですが、B面のタイトル曲は、M.B.お得意のディレイを効かせた電子音の曼荼羅で、中心になるシンセ音とそのディレイ音とが絡み合って、時間感覚の麻痺を誘うような音作りになっています。そしてかなりダウナーです。一方、リミックスもされたA面は単に電子音とディレイ効果と言うよりも、サンプリングによるコラージュやループなどのより複雑な音響処理が為されており、聴き応え充分な仕上がりになっています。どちらかと言うと「Brume plays M.B.」と言う風情でしようか。このトラックに関しては、BrumeことChristianの天才的音響的技術で原曲を更に”recreate”していると思いますよ。こちらは所々にM.B.っぽさもありますが、寧ろフラットな感じです。なので、マニアの皆さん、このリマスタリング盤も持っていた方が良いですよ❗️ Rotireliefヴァージョンは無かったので、オリジナルを。但し、聴く時にはある種の覚悟を持って! https://youtu.be/GKS1Rcm7eH0 #M.B. #MaurizioBianchi #NeuroHabitat #Rotorelief #MectopyoSounds #Remastering #Remix #ChristianRenou #Industrial #NoiseMusic #Electronics #Synthesizer #Delay
Noise, Industrial Rotorelief 2728円Dr K2