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Esplendor Geométrico “EG-1”
スペインの機械偏執狂こと、Esplendor Geométrico (エスプレンドール・ゲオメトリコ: 以下、EGと表記)が、国際地下音楽界に初めて姿を現した作品”EG-1”。この作品は、もう何回も再発されていますが、40周年記念として、リマスターされ、限定500部(内100部はクリア盤)で再発された本作品を、いつもお世話になっているSuezan Studioの小柳カヲルさんの個人輸入から購入しましたので、ご紹介したいと思います。EGのバイオグラフィーについては、以前にも書きましたので、そちらをご参照下さい。メンバーは、Arturo Lanz, Gabriel Riaza, Juan Carlos Sastreの3人で、皆、スペインのシンセ・ポップ・バンドEl Aviador Dro y sus Obreros Especializadosのメンバーでした。そんな彼等が最初に制作したのが、この作品のオリジナルであるカセット・アルバム”EG-1”です。この頃の作品は、英国Sterile Recordsが配給を担当しており、本作品で一躍、EGはインダストリアル界で有名となり、しかも、1980年から現在まで、活動を続けている稀有なバンドです。本作品”EG-1”のオリジナルは、当時、独の自主制作レーベルDatenverarbeitung (ダーテンフェルアルバイトュンク)からカセット作品としてリリースされており、彼等の初期の代表作の一つです。当時は国際カセット・カルチャーのネットワーク華やかなりし時代で、本作品のように、他国の自主制作レーベルからのリリースもちょくちょく見られました。そんな状況でしたから、本作品もそのネットワークに乗ったのだと思います。と言う訳で、本作品”EG-1”ですが、内容としてA面5曲/B面4曲が収録されており、ジャケにもオリジナルの白黒コピーがちょんと貼られています(これも嬉しいところですね)。では、各曲をご紹介していきます。 ★A1 “Muerte A Escala Industrial” (5:41)は、シンセの外部入力を通過したリズムマシンの腐食音が延々と繰り返される曲で、EG初期の音楽を見事に体現しています。正しく、機械偏執狂! ★A2 “Neuridrina” (7:13)も、多分、シーケンサー等使っておらず、リズムマシンをシンセの外部入力に入れて、変調させている音とLFO処理されたVoから構成されている曲です。ヒステリックな電子音が素晴らしい! ★A3 “El Cabecilla Del Vaticano” (2:41)も、恐らくリズムマシンをシンセにぶっ込んだ不明瞭な反復リズムから成る曲で、グチョグチョした電子音のミニマリズムが素晴らしいです。 ★A4 “La Ciudad De Los Héroes Rojos” (4:19)も、曲の構造は同様ですが、この曲では、バックにテープ音と最小限のシンセ音が聴取されます。 ★A5 “Amor En Mauthausen” (3:06)も、金太郎飴のように腐食マシンリズムと電子音から成る曲ですが、この曲は、その中でも強靭な意志を感じますね。 ★B1 “Destrozaron Sus Ovarios” (6:07)でも、単調な腐食リズムの反復に、ナレーションのようなVoやテープ音、それに痙攣する電子音も加わり、ミニマリズムを体現しています。 ★B2 “Quince Años Tiene Mi Amor” (4:17)は、ゆっくりしたLFOシンセ音に、深いディレイの掛かったアジるVoから成る曲で、本作では少し異色です。 ★B3 “Maria Luisa” (9:07)も、単調なリズムマシンとPercシンセ、それにテープ音から構成された曲で、このシンプルさが、逆にその強靭な面を露わにしています。所々に抑制的なVoも挿入されています。 ★B4 “P.I.E. (Versión)” (2:40)も、単調なマシンリズムと最小限のシンセ音、それにアンプ内臓のスプリング・リバーブを叩いた時の音等から構成された曲であり、本来、避けられるべき雑音を積極的に取り入れています。 初期EGの音楽は、それまで聴いたことも無いようなシンプルで、それ故に強靭な反復電子リズムから成りますが、それにも関わらず、ダンサブルではなく、寧ろ踊れない程、腐食したリズムの残骸であり、それは、Jean Tingelyのガラクタ機械音楽を、リズムマシンに憑依させて、1980年初頭のインダストリアル界で具現化したものであると考えます。そして、彼等の音楽は40年以上経ても、新鮮な驚きに満ちています❗️ A5 “Amor En Mauthausen” https://youtu.be/r8pqRUQpNtc?si=TfsbBwy-Gn26ueSW [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ltAc6ZTbJLJOoIfHL3TcZwsQE7dElFvkc&si=0L8FkA39yRzUcRiQ #EsplendorGeométrico #EG-1 #Geometrik #Datenverarbeitung #Spain #FirstCassetteAlbum #40ThAnniversary #Reissue #Remastering #LimitedEditions #500部 #Industrial #Technoise #RhythmMachine #Synthesizers #ArturoLanz #GabrielRiaza #JuanCarlosSastre
Industrial / Technoise Geometrik (Datenverarbeitung) 3990円Dr K2
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Can “Delay 1968”
まだ続くよ、Can祭り!今回は、13枚目のアルバム”Delay 1968”を紹介します。この意味深なタイトルからも想像できると思うのですが、録音は恐らく、1968年の初期のものだと思います。とすると、ほぼCanのデビュー前のものになりますね。私の購入したのはSpoon Recordsのリマスターされた再発で、ピンク盤です。ここでの参加者は、Malcolm Mooney (Vo), Holger Czukay (B, Engineer, Edit), Jaki Liebezeit (Drs), Michael Karoli (G), Irmin Schmidt (Kbd)の初期のメンバーです(と言うことからも分かりますね!)。あと、インナーに、米国人フルート奏者兼作曲家で、Karlheinz Stockhausenの弟子でもあったDavid Johnsonも写っている写真もあることから、クレジットにはありませんが、彼も一部参加していたのではないかと思われます。それで、このアルバムは、A面4曲、B面3曲から成り、全体的には、初期の録音作品のように、ガレージ・サイケなサウンドであり、それにハスキーなMooneyのヴォーカルが絡むと言う印象で、単純に言ってカッコいいです。A2 “Pnoom”は26秒と言う短い曲で、恐らくはLiebezeitによると思われるサックスが左右のスピーカーから無秩序に飛び出してくる、ちょっとした実験的曲になっていますが、一説には、この曲名は、発表されなかった幻のファースト・アルバム”Prepare To Meet Thy Pnoom”のタイトルを想起させるとも言われています。B2 “Uphill”での、切迫した迫力のハンマービートを叩き出すLiebezeitと生き生きしたMooneyのヴォーカルの掛け合いがめちゃくちゃカッコよく、如何にもCanらしい曲になっています。A3 “Nineteen Century Man”やB1 “Man Named Joe”と言った曲は、Bo Diddleyのギターやタイトルを思わせ、R&Bのミュータントだとの意見もありますが、正にその通りだと思います。とにかく、プリミティヴで、カッコいいCanが詰まっていますので、まだ、Canを聴いたことの無い初心者の方は必聴ですね❗️ A1 “Butterfly” (8:20) A2 “Pnoom” (0:26) A3 “Nineteen Century Man” (4:18) A4 “Thief” (5:03) B1 “Man Named Joe” (3:54) B2 “Uphill” (6:41) B3 “Little Star Of Bethlehem” (7:09) A3 “Nineteen Century Man” (4:18) https://youtu.be/GHtHUWFKVj0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kgTlUaHVr569r9glv3mmf6wulNoxogKtk #Can #Delay1968 #SpoonRecords #Reissue #Remastering #Krautrock #Garage #Psychedelic #HammerBeat #MalcolmMooney #HolgerCzukay #JakiLiebezeit #MichaelKaroli #IrminSchmidt
Krautrock / Experimental SPOON Records £32.99Dr K2