-
Filipe Pires “Canto Ecuménico”
これは「謎物件」です。多分、現代音楽で、作曲家がFilipe Pires (「フィリペ・ピレシュ」と発音するらしい)と言うのまでは分かります。また、既にシールは切られているので、聴いたことはあるのでしようが、内容を全く覚えていません。それで、ちょっと調べてみました。本名Luís Filipe Pires、ポルトガルLisbon生まれの作曲家(生1934年-没2015年)で、主に1970-1980年代に活動していたらしいです。ポルトガルの現代音楽家なんて、よっぽどマニアじゃないと知らないですよね。それで調べてみたのですが、彼自身の経歴とかについての情報は殆どなく、寧ろ作品とかレーベルについての情報はありましたので、そちらから紹介していきたいと思います。先ず、この作品がポルトガル国内でリリースされたのが、1980年で、今回、LP再発をしたGramaと言うレーベルは、知られざるポルトガルの作曲家の作品をどんどん復刻・発掘していこうとしているレーベルだとのこと(しかしながら、2018年でリリースはストップしています)。そして、このLPにはA面1曲、B面2曲が収められており、A面“Canto Ecuménico”は、1979年にPortoの彼の自宅の「プライベート」スタジオで録音されたもので、当時は、Imavoxからリリースされた“Discoteca Básica Nacional”シリーズの13番目として、また、Jorge Peixinhoの叙事詩”Elegia a Amílcar Cabral”の6番目として、1980年にリリースされた曲だそうで、彼の代表作らしいです。一方、B1 “Litania”とB2 “Homo Sapiens”は共に1972年作で、仏のG.R.M. (フランス音楽研究グループ: Le Groupe de Recherches Musicales) のスタジオで録音されたもので、Piresが単に卓越したコンセプトを持っているだけではなく、かなり繊細なスタジオ技術も待ち合わせていることを表していると評価されています。それでは、内容の方にも言及していきたいと思います。A面“Canto Ecuménico”は、正直言って、圧巻です‼️世界各国の民族音楽や現地録音などをキダキダにして貼り付けた一種のカットアップ的なミュージック・コンクレート作品で、凄い熱量に圧倒されます。所謂、テープ音楽の繊細さとかよりも、寧ろ乱暴かつ乱雑に切り貼りしたいるところが凄いです。特に、アフリカ系のダンサブルな民族音楽にチベットの声明や日本の能の唄いのような音をぶち込むセンスは今までにないですねぇ。これだけの為に、この盤を買っても損はないと思われる位、凄まじい出来ですね。一方、B1 “Litania”は、多分プリペアード・ピアノの音かもしれない金属摩擦音や打撃音とかの「響き」に焦点を当てた曲で、途中、電子音も出てくるのですが、これは正直、意味不明です。なので、どちらかと言うとJohn Cage / David Tudor系の曲です。しかも、音がデカいかも? B2 “Homo Sapiens”は、更に不明な音(多分、ヒトの呼吸音?や吠える声?或いは何かの打撃音?)を逆回転したり、グチョグチョに混ぜ合わせたりして、ミックスしている曲ですが、ピアノやピアニカの音も混ぜてきて、後半には更に短波ラジオの音や音響詩もヤケクソのようにミックスしてきます。このミックス感覚は狂ってますね。ただし、B面の2曲はやはり、大人し目で、密度はそんなに高くはないですが、曲自体はテープ音楽を上手く使っています。まあ、白眉はA面のタイトル曲ですね。これは是非爆音で聴いた方が良いです。200部限定なので、もう市場にはないかもしれませんが、見つけたら、即ゲットです‼️ https://youtu.be/F-ocUsqe7Z8 #FilipePires #CantoEcuménico #Litania #HomoSapiens #Grama #Imavox #Reissue #LimitedEditions #ModernClassic #現代音楽 #ポルトガル #Portugal #Composer #MusiqueConcrete #CutUpMix #G.R.M. #PreparedPiano #金属摩擦音 #ShortWave #唸り声 #TapeMusic
現代音楽 / Musique Concrete / Tape Music Grama (Imavox) 3000円位?Dr K2
-
Merzbow “Remblandt Assemblage”
とうとう辿り着きました!日本が世界に誇るノイズ・ミュージックの始祖Merzbowの登場です❗️しかも、Discogsに寄れば、MerzbowがまだThe Lowest Music & Artsの頃の最初期の作品で、それをリマスター・リイシューした2枚組LPです。”Remblandt Assemblage”はまだ秋田昌美氏が一人で録音をして作製した作品で、相棒だった水谷聖氏は参加していません。Merzbowの歴史は古く、1979年に秋田昌美氏と水谷聖氏のデュオとして結成されますが、そのデュオのネーミングはKurt Schwittersの作品”Merzbau”の誤表記に由来すると言うことです。そして1989年からはMerzbowは秋田昌美氏の完全ソロ・プロジェクトになり、今までに数百枚の作品を世に送り出しています。まあ,ここで多くは語らなくても、皆さんは大体のバイオグラフィーは知っていると思いますので、省略させて頂きますが、ちょっとだけ補足をします。当初のレーベル名は”The Lowest Music & Arts”と言う通り、メール・アート/ミュージックの世界で活動を始めており、カセット作製が主な活動でした。その後、レーベル名を”ZSF Produkt (ズスフ・プロダクトと読む)”に改め、多量のカセット作品をリリースし、同時に世界中のアーティストやグループ及びレーベルとの親交を深めていきます。1990年代以降は,世界中のレーベルからレコードやカセット或いはCDと言ったフォーマットに囚われず、一時期は「月間メルツバウ」と言われる程の多量の作品をリリース。その最たるものが、それまでリリースした作品をコンパイルした50枚組CDボックス”Merzbox”を豪州のExtreme Recordsよりリリースしたことですね。また、cheap electronicsやlaptopなどを用いたライブ活動も活発に行っておりますし、コラボ作やコラボ・ライブも精力的にこなしています。その後は押して知るべし。straight-edgeなノイズ・プロジェクトとして活躍し、現在に至ると言う訳です。 それで本作品についてですが、秋田氏の初期のファインアートの作品に因んで名付けられたように、色んな音を寄せ集めて、ただ置いていくと言った手法が使われているのではないでしようか?多分、ジャパノイズと言われる、ずっと以前の作品ですから、電子音と言うよりも具体音や生音(なまおと)などを使っており、それこそ空き缶を叩いた音やプリペアード・ギターを弾いた音或いはラジオの音などを無造作に配置する、そんな音楽(=ノイズ・ミュージックと言っていいのかな?)になっています。なので、1990年代以降の音圧重視のノイズ・ミュージックではないです。極初期のMerzbowに興味があれば、是非聴いて欲しい作品ですね。ただし、(何度も言いますが)音圧は期待しないように❗️イタリアの浦島、いい仕事します。因みに、ジャケに使われているコラージュは秋田氏によるものです。これも作品理解の為のヒントになるかも❓ [Merzboxのヴァージョンより] https://youtu.be/OhiWMJPTjNM #Merzbow #RembrandtAssemblage #MasamiAkita #Urashima #NoiseMusic #EarlyRecording #Reissue
Noise Urashima 3700円Dr K2