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Moebius “Tonspuren”
MoebiusことDieter Moebiusの単名ソロとしてはファーストに当たるのが、この”Tonspuren”です。ご存知のように、Moebiusは、Cluster、更にはHarmoniaのメンバーでもあり、クラウトロックの一つの代名詞でもあります。ちょっとだけバイオグラフィーを書いておきます。彼はBerlin’s Akademie Grafikの学生でもあり、バイトでレストランのコックもしてました。その時に、Conrad Schnitzlerと会ってます。その頃、SchnitzlerはHans-Joachim RoedeliusとZodiak Free Arts Labをやっていました。それで、この3人は1969年にKlusterを結成。しかし、Schnitzlerが脱退して、残ったデュオでClusterを名乗り、活動を続け、”Zuckerzeit”や”Sowiesoso”などのアルバムをリリースしています。またMoebiusはClusterやコラボのジャケのグラフィック・デザインもやってます。その後、Neu!のMichael RotherとのトリオでHarmoniaを結成し、よりアンビエントな方向へ。その過程で、Brian Enoとのコラボも行うようになります。1970年代には、Moebiusはソロアルバムの作製やConny PlankとGuruGuruのMani Neumeierとのトリオみたいにサイド・プロジェクトも開始します(因みにこのトリオでの作品”Zero Set”は名盤です!)。1980年にConny Plankとの共同名でアルバム”Rastakraut Pasta”を、翌年にも2人の名前でアルバム”Material”をリリースしており、同年にはGerd Beerbohmとのコラボ・アルバム”Strange Music”もリリースしています。その後も、比較的コンスタントにソロアルバムをリリースしています。そして、2007年には、Rotherと共にRother & Moebiusとしてツアーを敢行、またHarminiaの再結成も同年11月に行い、そのコンサートをベルリンのHaus der Kulturen der Weltで行っています。しかしながら、Moebiusは2015年7月20日に癌で他界してしまいました。 それで本作品の内容についてですが、意外にもポップなインスト曲が10曲。そしてそのメロディには少しばかりの諧謔性がほんのりと香り、何だかNDW(Neue Deutsche Welle)の、特にDer Planのような音楽性も少し感じられます。まあ、バックは古めかしいリズムボックスにシーケンサーから成り、それに割とミニマルなメロディ、しかもなんか懐かしいような、くすぐったいような、、、そんなメロディが重なったりして、何とも「宅録チック」な音楽になっています(個人的には、日本のDD.Recordsから出した私の本名名義の”Re-Musik”を思い浮かべましたね)。そこら辺も同時進行していたNDW的な感じを受けますね。なので、クラウトロックとは言え、NDW、特にDer Plan辺りが好きな方も楽しめると思います。なので、皆さんも是非聴いてみてね❗️ A5 “Etwas” https://youtu.be/K_WBOOCWIBo [full album] https://youtu.be/t1oxjfI_HzQ #Moebius #Tonspuren #SkyRecords #BureauB #Reissue #Krautrock #DieterMoebius #ElectronicPop #Cluster #SoloAlbum #Minimal #NeueDeutscheWelle
Krautrock, Electronic Pop Bureau B (Sky Records) 2955円Dr K2
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Vivenza “Veriti Plastici”
前回に引き続き,フランスの至宝Vivenzaのサードアルバムのリイシューです。バイオグラフィーは前回のを参考にしてください。今回のサードアルバム” Veriti Plastici”も1983年の作品なので、基本路線に変わりはありません。ショートループを軸に、様々な音(恐らくフィールド・レコーディングされたもの)を変調したノイズが実にクールに配置されており、その音が想起させる金属音的な印象と、それと同時にその即物性が最高にイカしています。確かに「インダストリアル」と言えば、そのループの同期性や金属質な音色はそうなんでしょうが、私か強く感じることはJean Tinguelyの作品と共通する音の質感と構築です(ただし、彼自身はLuigi Russoroからの影響と言っていますが)。その後、Ladd-Frithから出たライブ音源では、多数のループを無秩序に重ねたものですが、それはライブと言うことなんでしよう。しかし、私が思うに、彼のやっていることは、ミュージック・コンクレートだと思います。その為に、敢えて認識し易い「ループ音」を使っていますが、実はループ音の前後に配置された具体音が彼の本質のように思います。そのことは、本作品を聴いてみて、強く感じました。なので、反復に隠された「音の切り貼り」こそが、Vivenzaの真の魅力なんでしょうね。ジャケからはインダストリアルと言う言葉がしっかりきますが、それに惑わされないで、彼の音楽を聴いてみましょう。 A “Veriti Plastici: Partie 1” (18:54) B “Veriti Plastici: Partie 2” (17:53) [Original cassette full album] https://youtu.be/EJAywQh_Q3E?si=5q6uz4dNYk4LKRa B “Veriti Plastici: Partie 2” https://youtu.be/lZLOZroXjDA?si=anIxb6wrXIZ2ogpj #Vivenza #VeritiPlastici #Rotorelif #ElectroInstitut #ThirdCassetteAlbum #Reissue #LimitedEditions #333部 #JeanTingely #MusiqueConcrete #Loop #FactorySounds #Industrial #Noise #Jean-MarcVivenza #SoloNoiseUnit #FrenchUnderground
Industrial / Noise Rotorelif (Electro Institut) 不明Dr K2
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Vivenza “Modes Réels Collectifs”
やっと辿り着きました。フレンチ・ノイズの至宝Vivenzaの登場です❗️私はここら辺は詳しくなかったので、調べたところ、この”バンド”はJean-Marc Vivenzaの個人ユニットで,かつその苗字から取られていたんですね。ビックリです。それで、少しバイオグラフィーを書きます。彼は元々,GrenobleIn現代美術館で哲学を学び、また、そこで働いてもいました。1976年にフランス初のインダストリアルバンドGlaceを結成したいます。ただし、彼は作曲家、エッセイストかつ哲学者でもあったので、この「インダストリアル」と言う呼び名は彼にとっては余り良い形容ではなかったようです。それで、彼の音楽学理はイタリア未来派とロシア構成主義との接点にあったので、彼は自分の音楽を ”bruitist futurist”或いは単純に”Bruitist”と呼んでいました。特に彼は、1913年に騒音芸術を提唱したイタリアのLuigi Russoloに共感しており、Pierre Schaeffer のmusique concrèteからfuturist bruitism(未来派物質主義?)まで含んで音楽作製をやっていたみたいです。特に、Schaefferの「共鳴物質(Sonorous object)」に強い関心があったようで、その手法を応用することで、新しいミュージック・コンクレートが出来ると考えていました。そして、彼は1978年にMécanique Populaireと言うバンドを組みますが、他の2人はすぐに脱退した為、彼は自分の苗字からバンド名としてVivenzaを名乗り,また自身の音楽哲学や音楽実践を行う場(レーベル)として、1983年にElectro-Institutを作りました。1985年には彼は、Russoloの騒音機に現代の音響工学を取り込んだ作品“Réalités Servomécanismes”を作っています。彼は”Sonorous” (響き)に注力するようになり、その結果、工場での機械や人の出す音に興味を持ち、それらの音源を変調した作品を作るようになります。また,長くなりましたので、ここら辺はでやめておきます。 それで、本作品ですが、元々はVivenzaのファースト・カセット作品として1983年にリリースされた音源をRotoreliefレーベルがリイシューしたものです。あのVivenza独特の機械の駆動音を彷彿とさせる金属ループ音に、工場のフィールド・レコーディングして変調したノイズが織りなす個性的なインダストリアルノイズに仕上がっています。こうしてレコードで聴いてみると、意外に、後者のフィールド録音が効果的で、金属ループ音は寧ろサブの音なんだなあと感じ、目から鱗でした。しかしながら、この駆動音はやはりインダストリアルな「響き」を持っているのだなあと感心してしまいました。そんなVivenzaの音楽をちょっと覗いてみてください。 A “Modes Réels Collectifs: Partie 1” (20:14) B “Modes Réels Collectifs: Partie 2” (18:45) [original cassette full album] https://youtu.be/y5hzz5x52h8?si=uyRgU2PLZtswHG89 A “Modes Réels Collectifs: Partie 1” https://youtu.be/Z4b-GFnrAWg?si=wUP9JIhUT2gfJFjR #Vivenza #ModesRéelsCollectifs #Futuristbruitism #FactorySounds #Industrial #Noise #LuigiRossolo #Rotorelief #Electro-Institut #FirstCassette #Reissue #FrenchUnderground #LimitedEditions #575部 #Jean-MarcVivenza #SoloNoiseUnit #MécaniquePopulaire
Industrial / Noise Rotorelif (Electro Institut) 2010年代Dr K2