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Merzbow “Remblandt Assemblage”
とうとう辿り着きました!日本が世界に誇るノイズ・ミュージックの始祖Merzbowの登場です❗️しかも、Discogsに寄れば、MerzbowがまだThe Lowest Music & Artsの頃の最初期の作品で、それをリマスター・リイシューした2枚組LPです。”Remblandt Assemblage”はまだ秋田昌美氏が一人で録音をして作製した作品で、相棒だった水谷聖氏は参加していません。Merzbowの歴史は古く、1979年に秋田昌美氏と水谷聖氏のデュオとして結成されますが、そのデュオのネーミングはKurt Schwittersの作品”Merzbau”の誤表記に由来すると言うことです。そして1989年からはMerzbowは秋田昌美氏の完全ソロ・プロジェクトになり、今までに数百枚の作品を世に送り出しています。まあ,ここで多くは語らなくても、皆さんは大体のバイオグラフィーは知っていると思いますので、省略させて頂きますが、ちょっとだけ補足をします。当初のレーベル名は”The Lowest Music & Arts”と言う通り、メール・アート/ミュージックの世界で活動を始めており、カセット作製が主な活動でした。その後、レーベル名を”ZSF Produkt (ズスフ・プロダクトと読む)”に改め、多量のカセット作品をリリースし、同時に世界中のアーティストやグループ及びレーベルとの親交を深めていきます。1990年代以降は,世界中のレーベルからレコードやカセット或いはCDと言ったフォーマットに囚われず、一時期は「月間メルツバウ」と言われる程の多量の作品をリリース。その最たるものが、それまでリリースした作品をコンパイルした50枚組CDボックス”Merzbox”を豪州のExtreme Recordsよりリリースしたことですね。また、cheap electronicsやlaptopなどを用いたライブ活動も活発に行っておりますし、コラボ作やコラボ・ライブも精力的にこなしています。その後は押して知るべし。straight-edgeなノイズ・プロジェクトとして活躍し、現在に至ると言う訳です。 それで本作品についてですが、秋田氏の初期のファインアートの作品に因んで名付けられたように、色んな音を寄せ集めて、ただ置いていくと言った手法が使われているのではないでしようか?多分、ジャパノイズと言われる、ずっと以前の作品ですから、電子音と言うよりも具体音や生音(なまおと)などを使っており、それこそ空き缶を叩いた音やプリペアード・ギターを弾いた音或いはラジオの音などを無造作に配置する、そんな音楽(=ノイズ・ミュージックと言っていいのかな?)になっています。なので、1990年代以降の音圧重視のノイズ・ミュージックではないです。極初期のMerzbowに興味があれば、是非聴いて欲しい作品ですね。ただし、(何度も言いますが)音圧は期待しないように❗️イタリアの浦島、いい仕事します。因みに、ジャケに使われているコラージュは秋田氏によるものです。これも作品理解の為のヒントになるかも❓ [Merzboxのヴァージョンより] https://youtu.be/OhiWMJPTjNM #Merzbow #RembrandtAssemblage #MasamiAkita #Urashima #NoiseMusic #EarlyRecording #Reissue
Noise Urashima 3700円Dr K2
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Suicide “Suicide”
これも名盤の一つでしようか?米国NYCに現れたSuicideのファーストアルバム(セカンドも表記はない) “Suicide”❗️ Alan VegaとMartin Revからな成るデュオが結成されたのは1970年。以来、彼等は多少の休止期もあったものの、2016年までその名の下に活動を続けてきました。噂では極々初期にはギターもいたらしいのですが、すぐに脱退したとか。エルビス・プレスリー直系のヴォーカルのAlan Vegaと楽器(キーボードとリズムボックス)担当のMartin Rev。この二人が織りなす音楽は、紛う事なき「ロックン・ロール」なのですが、ギターもドラムもいないで、キーボードとリズムボックスの簡素でミニマルなバックに、呻くような、囁くような、それでいて時に咆哮するようなヴォーカルが乗ってくるので、単なるSynth Popとかとは全く違う、所謂、「変異したロックンロール」になってしまっています。この2人でなければ、出来なかったことをずっとやり続けていたんだと思います。なお、残念ながら、2016年6月16 日にAlan Vega は78歳で他界しています。それで今回、紹介するファーストもその萌芽が随所に見られる訳ですが、A面1曲目の人気曲の”Ghost Rider”から始まって、B面2曲目の通好みの狂気の曲”Frankie Teardrop” (10分もある!)も含めて、よく出来たアルバムだと思います。リリースは、1977年、プロデュースはポップ・ミュージックの名プロデューサーCraig LeonとMarty Thauで、Ultima Sound Studioで、たった4日で終わったとされてます。バンド名も救いようがないですが、演奏もこれ以上どうすることもなかったのではと想像します。それで、本作には、NYCのCBGBでの1978年5月25日のライブトラックがC面に収められており、これはMarty Thauがカセット録音したものをマスタリングした音源です。日本のミュージシャンであるReck氏の体験では、彼等のライブは実は、凄い轟音で、テーブルの上のグラスが勝手に動いていく程であったとか。また,D面には”23 Minutes Over Brussels”と題されたライブ音源が丸ごと収められているのですが、これは、1978年6月16日にベルギーのブリュッセルのAncienne Beigiqueでのライブ音源で、Howard Thompsonによってカセットレコーダーで録音されだものです。この時は、Elvis Costelloの前座として出演していましたが、何か暴動直前まで行ってしまったかのような観客の反応で,中々、楽しめます。そう言えば、The Clashのアメリカツアーの時の前座でも観客が暴動を起こしたとか。まあ、普通のパンクやニューウェーブのライブに行って、Suicideみたいなミュータントが出てきたら、そりゃ怒るわなと想像しますよ。そんな初期のレアなライブ音源もカップリングされた本作を楽しんでみて下さい。 [A/B面] https://youtu.be/Juk8vezpqHo [D面: 23 Minutes of Brussels] https://youtu.be/0rXJCl876Lk #Suicide #FirstAlbum #GhostRider #FrankieTeardrop #Live #CBGB #23MinutesOfBrussels
No Wave, Avant-Pop Blast First/Mute 不明Dr K2
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P16.D4 & S.B.O.T.H.I. “Nichts Niemand Nirgends Nie!”
またまた出ましたよぉ❗️今回は独逸実験音楽界の至宝P16.D4と独逸コンセプチュアル・アーティストAchim WollscheidのS.B.O.T.H.I.(Swimming Behavior Of The Human Infantの略)のスプリット・コラボレーション作品です。70年代後半から始まった前者と80年代から突如現れた後者がそれぞれの楽曲を単独及びコラボ、ライブ、更にそれらをもトランスフォームした曲が収録されていると言う、中々Selektionらしい作品です。丁度、秋田昌美氏が書いた、日本語による各盤面の収録内容を解説したペラ紙が同封されていましたので、それを参考にしつつ聴いていきたいと思います。まず最初に、この作品が何故作られたのかを書いていきます。大きなコンセプトとして、前作”Distruct (Distant Structure)”で試みられた、郵便利用で、世界のアーティストやグループから生の音素材を送ってもらい、それらを綿密に加工、切り貼り、変調し、組み立てて、曲を作っていくと言う “Exchanged Music”と呼ばれる方法論をP16.D4は実践しています。今回は、その”Exchanged Music”の方法論を逆に狭い範囲(近い範囲)で用いて、とことんやってみることに主眼が置かれています。なので、今回はP16.D4とS.B.O.T.H.I.の二者間のみで行われており、その実験結果が本作品なのです。A面はP16.D4の単独スタジオ録音で、B面は多数の他者から集めた音源の加工・変調を既に施したS.B.O.T.H.I.のスタジオ録音から成ります。C面は、両者のコラボ・ライブ録音(即ち、距離の無いコラボレーションとしての”Exchanged Music”)が収録されており、D面に至っては、A面からC面(一部は、D面も)を新たな音素材として、両者が加工・変調・トランスフォームした曲が収められています。何だか、色々な音源がリサイクルされて、どんどん形を変えていくと言う、「終わりなきコラボ」みたいなプロセスこそ、本作品の最大の特徴と言えます。因みに、本作品の意味を調べてみると「どこにも決して無い」と訳するらしいです。如何にも彼等らしいネーミングですね。 ◼️LP1 A1 P16.D4 “Passagen-Kryptokontur” A2 P16.D4 “|=:-|/*|-;-|” A3 P16.D4 “|:"/"|” A4 P16.D4 “Virtuelle Altäre” A5 P16.D4 “Neger Am Laster” B1 S.B.O.T.H.I. “My Life In The Mailbox” B2 S.B.O.T.H.I. “V” B3 S.B.O.T.H.I. “Dynasty” B4 S.B.O.T.H.I. “Ave Maria B5 S.B.O.T.H.I. “Blue B6 S.B.O.T.H.I. “Ribbentrop” B7 S.B.O.T.H.I. “Rip'd'drop” B8 S.B.O.T.H.I. “Shavers” B9 S.B.O.T.H.I, “Bunte Herrentaschentücher” B10 S.B.O.T.H.I. “178” ◼️LP2 C1 P16.D4 + S.B.O.T.H.I. “My Last World Will Be” C2 P16.D4 + S.B.O.T.H.I. “Ex Post Facto” C3 P16.D4 + S.B.O.T.H.I. “Rotron II” D1 S.B.O.T.H.I. + P16.D4 “The Other Cellophane Upsurge” D2 S.B.O.T.H.I. + P16.D4 “7 Abschnitte” D3 S.B.O.T.H.I. + P16.D4 “Syntax Der Zerlegten Sinne” A4 P16.D4 “Virtuelle Altäre” https://youtu.be/eUdECeSjFVE?si=r8fGZeiGOrHBsfeu A2 P16.D4 “|=:-|/*|-;-|” https://youtu.be/-uK3iFEJQXo?si=d1wl_pHfJLti2UWT B1-10 S.B.O.T.H.I. https://youtu.be/0d5VRLi3Lfg?si=VXgZiHyLYSDBdx5n C1 P16.D4 + S.B.O.T.H.I. “My Last World Will Be” https://youtu.be/jQ3Ti5gCPjs?si=YdNqLgqDaDGu8edT D1 S.B.O.T.H.I. + P16.D4 “The Other Cellophane Upsurge” https://youtu.be/ldYVkj4f7bk?si=arQ2JGNRXX3ETbMI #P16.D4 #S.B.O.T.H.I. #SwimmingBehaviorOfTheHumanInfants #NichitsNiemandNirgendsNie! #ExchangedMusic #ElectroAcoustic #Selektion #Collaboration #Experimental #ConceptualAlbum #GermanNoise #EwaldWeber #MakxsCaspers #RalfWehowsky #RogerSchönauer #StefanSchmidt #AchimWollscheid
Experimental / Noise / Sound Collage / Collaboration Selektion ¥4000位?Dr K2
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John Cage “Variations VII”
今回は、現代音楽界の重鎮にして、キノコ学者でもある米国のJohn Cageが作曲した変奏曲第7番です。John Cageについては、偶発性の音楽や禅からの影響、ピアノの内部演奏(Prepared Piano)または「何も演奏しない曲」”4分33秒”の作曲家/楽理学者として有名ですので、割愛させて頂きますが、単にクラシック界のアーティストとか作曲家と言う以上に、他の音楽へも多大な影響を及ぼしました。特に、Avant-gardeなロックや音楽、実験音楽やノイズ・インダストリアルなどに顕著です。それで、本作品についてですが、彼が「変奏曲第一番」を作曲したのが1958年で、そこでは図形楽譜を用いています。実は彼は、即興音楽を忌み嫌っており、何らかのモチーフに沿って演奏を進めることに注力しています。アヴァンギャルド・ファン(特にノイズ・ミュージックのファン)では「変奏曲第二番」がコンタクトマイクとプリペアードピアノを用いて、ガリガリ・バリバリしたノイジーな曲で有名ですが、今回、紹介する「変奏曲第七番」も中々、ノイジーで良い感じです。演者はDavid Behrman, John Cage, Lowell Cross, Anthony GnassoそしてJohn Cageの演奏には欠かせないパートナーでもあるDavid Tudorで、1966年10月15日と16日にNYのThe 69th Regiment Armoryで演奏されたものとなります。ここで用いられてる「楽器」は、AM-FM 短波ラジオ、ガイガーカウンター、サイン波発生装置、ホーン型スピーカー、コンタクトマイクが接続されたファンやキッチン用品、NYCの色んなところでの電話での会話音と演者のこめかみに繋がれた電子機器などです。これからも分かるように、まずマトモな「楽器」は用いられてはいません。そして、それらは早晩、ノイズ発生装置になり、大音響で観客を驚かせたのでしょう。はっきり言って、このライブ・エレクトロニクスは、ほぼほぼ「ノイズ・ミュージック」です。これがA面からD面まで収められています。私は、いつも、現代音楽の音源を聴くと、必ずと言って良いほど、音圧が低く、少々残念な気持ちになることが多いのですが,本作品ではそんな危惧は吹っ飛ばす内容でした。因みに、演者の内、David Tudorは各演奏者の出した音をコンソールでミックス・変調・加工していたようです。LAFMSのAirwayにも通じる演奏形態ですね。もし、現代音楽でぶっ飛びたいのであれば、一度聴いてみてください。 https://youtu.be/HWTYSRcayXo #JohnCage #VariationsVII #DavidTudor #Avant-Garde #LiveElectronics #Live #ModernClassicMusic
Avant-garde (現代音楽) Topos 不明Dr K2
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Van Kaye + Ignit “A Slight Delay”
Van Kaye + Ignitは1980年代にオランダで結成されたシンセ・ポップ・デュオで、メンバーはVan Kaye (本名Ed van Kasteren)とIgnit (本名 Ignatine Bekken)からなります。今の流れで言うと、シンセ・ウェーブとかミニマル・シンセとかになるのでしようか。また自分達のレーベルDing Dong Diskから作品のリリースをしていましたが、Discogsを見ても寡作であったようです。因みに、Synth/VoのVan Kayeは1970年代後半にはMonomenと言うバンドのシンガーでもあり、美術史研究を学んでいる学生であったとのことです。一方、Vo/SynthのIgnitの方は、美術の先生を目指していたパフォーミング・アーティスト/画家だったとのことです。 WizkopfことWilliam Wiusselinkも、元Monomenでしたが、1982年にこのデュオに加わったとのことです。当時は、私もメールアートをやっていたので、名前とかコンピなどの曲は聴いていたと思います。近年、良いのか悪いのか、1980年前後のシンセを使った/メインにしたユニットやアーティストの発掘による再発・リイシューが独逸Vinly-On-Demandや米国Dark Entry(本作もDark Entryからのリイシュー・編集盤)などのレーベルによって発表されていますが、ミニマルなのは、意図してそうしてた訳ではなく、当時の安価なアナログシンセでは複雑なシーケンスが組めなかったからではないでしようか? Van Kaye + Ignitもそのような機材的制約の中で、本作で聴かれるようなミニマルな曲を作っていたのだと想像します。A面1曲目の”Negroe In N.Y.”なんかは何度もリイシューされてる名曲ですね。その一方で、B面片面を占める”Into Plan A”は実験色が強いですが、恐らくはロッテルダムでのライブ録音かと思います。また、D面ではWizkopfがSynth/B/G/Tamで参加した曲が収められています。ここら辺は掘ればまだ出てきますし、この時代にしか出来なかった音楽がまだまだ埋もれているように思います。本作も、1981年にリリースされた、彼らのファースト・アルバムをオープンリールから起こし、さらに激レアなファースト・シングル”Picassos On the Wall”(1981年)から4曲も収録されています。まあ、レアな音源も聴けるようになったのは良いことかもしれませんね。 https://youtu.be/CXDByyrBeG0 #VanKaye+Ignit #Holland #MinimalWave #SynthWave #SelfCompilation #Synthesizers #FemaleVocal #1980年代 #DingDongDisc #DarkEntry #VanKaye #EdVanKasteren #Ignit #IgnatineBekken #Wizkopf #WilliamWiusselink #Monomen #PicassosOnTheWall
Minimal Synth Wave Dark Entry 不明Dr K2