-
Getting The Fear “Death Is Bigger 1984-85”
これは謎物件!こんなの通販で購入したのかなぁ?と思いつつも、Discogsを見たら、何と!Vo(BeeことPaul Hampshire)以外はThe Southern Death Cultのメンバーとのこと!ビックリしましたよ。こりゃゴスか!と思い、取り敢えず、Getting The Fear (以下、GTFと表記)を少し調べてみました。Discogsによれば、正規のアルバムは無く、シングルを1枚出しているだけのようです。このバンドを語る上では、The Southern Death Cultを話さないと進まないので、先ず、そちらの方の紹介をしておきます。1979年に、Yorkshire州Bradfordで活動していたViolationが母体になっています。その時には、Barry Jepson (B)とHaq Nawaz ‘Aki’ Qureshi (Drs)が、Mick (G)なる人物とやっており、たっぷりとリハをやって、ライブ・デビューもしています。また、1981年1月には、4曲入りデモテープを録音していますが、その後でしょうか、Mickが脱退し、代わりに、Ian Astbury (Vo)とDavid "Buzz" Burrows (G)が加入し、バンド名をThe Southern Death Cultと改名します。そして、1981年10月29日に、BradfordのQueen’s Hallで、ライブ・デビューを飾り、当時はポジティブ・パンク(通称「ポジ・パン」)とも呼ばれ、後にゴス・ロックとも呼ばれる存在になります。英国ツアーを積極的に行い、シングルのプロモートもやっています。また、1982年終わりには、BauhausやTheater Of Hateのオープニング・アクトも務めていますが、1983年2月26日のマンチェスターでのライブを最後に解散しています。同年4月には、VoのAstburyは、元Nosebleeds/元Theatre of HateのBilly Duffy (G)と一緒にDeath Cult、そしてThe Cultと名前を変えて、活動していきますが、Death Cult/The Cultは、単なるメジャーなハードロックバンドになってしまい、全くの別物扱いになります。それで、他の3人のメンバーは、Paul Hampshire (Vo)を加えて、GTFを結成、1984年にシングル"Last Salute"をRCA Recordsから出して、1985年に解散しています。と言う訳で、GTFは短命なバンドであったのですが、何故か、米国のインディーレーベルDias Recordsから、デモトラックを含むセルフ・コンピ・アルバムでもある本作品が、2021年にリリースされることになりました。盤の方も、通常の黒盤以外にも、Purple/Clear Splatter盤が200部、 Bone White盤が400部、Clear Purple盤が600部、Clear盤が800部と限定盤が沢山出ています(私の購入したのはClear Purple盤です)。一応、メンバーを書いておくと、BarryJepson (B), David ‘Buzz’ Burroughs (G), Haq ‘Aki’ Nawaz Qureshi (Drs), Paul ‘Bee’ Hampshire (Vo)の4人がGTFとなります。 それでは、本作品の各曲を紹介していきます。 ★A1 “Rise (demo version)”は、デモトラックですが、音は良いです。The Southern Death Cultとは違って、良質なポスト・パンクな曲になってますね。 ★A2 “Dune Buggy Attack”は、Gの弾き語り的なしっとりとバラード調に始まり、やがてマーシャル調の曲調に転化していきます。オーボエらしき木管楽器がアクセントになっています。 ★A3 “Last Salute (demo version)”は、シングルにもなったGTFの曲のデモトラックですが、上下するBが特徴的な元気一杯の曲です。サビのコーラスも良きかな。 ★A4 “Against The Wind”は、Joy Divisionのようなハイハットの刻みで、この時期の多くのバンドの流行のアレンジだったのでしょうか?Gのカッティングもファンク調ですね。 ★A5 “We Struggle”も、全体的にスローなバラード調の曲で、Hampshireの表現力豊かなVoもグーです。 ★B1 “Sometimes”は、アコギやヴァイオリン等の弦楽器も使った良質なポップソングで、もうバックがゴスとかポジ・パンとか関係ないですね。 ★B2 “Yurune (demo version)”でも、アコギから始まり、バネのあるファンク調の曲で、Voも中々聴かせてくれます。また、後半のテンポの崩しも良いです。 ★B3 “Fatal Date”も、しっとり目の曲ですが、Gの細やかさに痺れます。途中のクラヴィコードも良い感じです。 ★B4 “Getting The Fear”は、バンド名にもなった曲ですが、Gの多重録音とBラインの絡みがカッコ良いポスト・パンクな曲です。Voも中々上手く聴かせてくれます。 ★B5 “Swell (demo version)”は、一瞬、ネオアコか?とも思わせるようなGのカッティングが効いている良曲です。途中、珍しくGソロっぽいパートもあります。 聴き通してみますと、ポジ・パンとかゴスロックの片鱗は無く、どちらかと言うと、ネオアコ系に近いのかなと感じました。Gも歪んでいませんし、Voもどちらかと言うと歌い上げるスタイルなので、個人的には安心しました。確かに、突出したものは無いのですが、英国的な仄暗さを持ったバンド・サウンドで、そこら辺が好きな方はハマるかもしれません❗️なので、そこら辺に興味のあるリスナーさんはチェックしてみてはどうでしょうか! B5 “Swell (MV version)” https://youtu.be/Fsu7Uuyn31A?si=TAXceZcY45cnFGlN [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nqxBVBujB0sp0UdrfJ_zX1xJ19ZOheyn4&si=NEuzGQH7vr1Y95Qu #GettingTheFear #DeathIsBigger1984-85 #DaisRecords #SelfCompilation #OnlyOneAlbum #PostPunk #NeoAcoustic #TheSouthernDeathCult #BarryJepson #David’Buzz’Burroughs #Haq’Aki’NawazQureshi #Paul’Bee’Hampshire
Post Punk / Neo-Acoustic Dais Records 1900円Dr K2
-
Process Blue “Control Panel”
これも、殆ど「謎物件」です。Dark Entriesが出していると言うことだけで、購入しました。この作品は、Process Blueが、1982年に自主制作で出したカセット作品を、Dark Entriesがリマスターしてレコードで再発したものです。それで、このProcess Blueについて、ちょっと調べてみました。結成は1981年秋で、米国Dayton近くのOhio州のYellow SpringにあるAntioch大学で、Chel White (Tapes, Kbd, Perc)とDan Gediman (Kbd, Vo, B)とデュオとして結成されましたが、ライブや録音ではサポートメンバーにヘルプしてもらって活動していたらしいです。彼等は、元々、電子音楽、或いはアコースティックな楽器や非楽器及びテープ操作等による電子変調サウンドに興味を持っていましたが、それらをあくまでもポップ・ミュージックのフォーマットの中で色々試しながら演ると言うことに重きを置いていました。因みに、メンバーのChel Whiteは、後に、映像作家/ディレクター/作曲家/視覚効果アーティストとして有名にもなっており、ロックフェラーのフェローとして、Peabody賞受賞した作家として3本の映画を作製し、ラジオDJのJoe Frankとも活動しています。彼等は、当時は、自主制作でカセットを2本出しているだけでした。と、この程度の情報しかありませんでした(すまん!)。それで、本作品の内容について紹介していきます。先ず、本作品はほぼ、オリジナルのカセット作品と同内容ですが、1〜2曲だけ、当時、他のレーベルのコンピに入っていた曲もコンパイルしてあるようです。そして、メンバーは、Chel White (Kbd, Perc, Artwork, Drum Machine, Tapes, Speak & Spell)とDan Gediman (Kbd, Vo)に加えて、ゲストとして、Gil Belton (Rototoms, シンセでの鳥の声 [A2]), Eric Zimmerman (Korg Synth [A4,A5]), Patricia Yarborough (Vo [B2,B4])も参加しています。なお、They Might Be GiantsのJohn Flansburghが、A3 “Up To $100”でエンジニアをやっています。また、コアメンバーの2人が使っていたシンセは、Moog Sonic-Six, Casiotone MT-30, Korg MS10, Roland SH-101, Casio VL Toneで、アナログ楽器としては、ギター、ベース、ドラムも使っています。それで、今回のマスタリングにあたっては、Fantasy Studiosで、George Hornによって行われています。それで、本作品では両面とも6曲ずつ収録されています。A1 “Control Panel”はいきなり、Casiotoneのリズムボックスにスピーク&スペルで始まります。その後も、インスト曲で、割合実験色の強い曲が切れ目無しに続いていきます。なので、やや暗い/無機質な印象を受けますね。まっ余り、歌詞やメロディには重きを置いていないようで、A5 “Subterrania”ではギターらしき音も。B面に行きます。B1 “Roseland”では、またシンセ・ウェーブのようにポップで、歌物になっています。ここからの数曲は割とポップな路線になっています。特に、B1 “Rodelandes”では、Gedimanが、また、B4 “Air”では、歌詞をYarborough嬢が書いている事もあって、何とかミニマル・ポップになっています。B6 “Deadly Night Whispers“は殆どが安物のリズムボックスの音の反復から成り、ミニマルな展開を見せて、我々を放ったらかしたまま、本作品を締めていきます。思っていたよりも、実験色の強い電子ポップ作品或いはインダストリアルなポップ・アルバムに仕上がっています。1980年代初頭の地下音楽に興味のある方は是非一度、聴かれることをお勧めします❗️地味ながら、面白いですよー❗️ A1 “Control Panel” A2 “Industrial Park” A3 “Blind Curve” A4 “Up To $100” A5 “Subterrania” A6 “White Wind” B1 “Roseland” B2 “Pink Razor” B3 “Metal Dogs Of India” B4 “Air” B5 “Traveling Through Fog” B6 “Deadly Night Whispers” A5 “Substerrania” https://youtu.be/GEnVE2DcUqQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n_V1FB8USNwvGlXzvRcAaBvwCvTRe8vMk [BandcampのURLも貼っておきます] https://processblue.bandcamp.com/album/control-panel #ProcessBlue #ControlPanel #DarkEntries #Reissue #Remastering #USUnderground #Electronic #MinimalWave #ExperimentalPop #Industrial #Synthesizers #Vocal #ChelWhite #DanGediman #Guest #GilBelton #EricZimmerman #PatriciaYarborough
Minimal Wave / Experimental Dark Entries 1900円Dr K2
-
V. A. “Oz Echoes: DIY Cassettes & Archives 1980-1989”
これは珍しいです!1980年代の豪州地下音楽のコンピです。確かに、豪州と言えば、The Birthday PartyやSPKなんかが出てきてはいますが、1980年代の豪州の更に個人的な音楽なんて聴いたことがないです。なので、完全なるジャケ買いみたいなものですし、勿論、知っているバンドやアーティストはいません。なので、各曲を紹介していきたいと思います。 A1 Height/Dismay “Mother's Footsteps”は、Drusilla JohnsonとPatrick Gibsonのデュオで、この曲を含むEPをM Squaredからリリース予定でしたが、当時は、プレスの問題で少数部のみリリースされただけとか(後にちゃんと発売されています)。マーチング・ドラムとディレイの掛かった女性ヴォイス、それにエレピのコードと単純なベースから成る曲で、中々面白いです。 A2 The Frenzied Bricks “Vicious Circle”は、Chris Merchant (TR-808 programming, B, Kbd), David McCarthy (B, Vo)がオリジナルメンバーで、時にDave Warren (Casio Kbd, G)も加わることもあったようです。スラップ奏法もこなすBと男性Voがそれなりに野太く、ストリングス・シンセがバックを支えており、途中のシンセソロも面白いです。 A3 Modern Jazz “Zoom Dub”は、Ash Wednesdayが呼びかけて、電子音をベースにしたライブ・パフォーマンス集団で、1980年代中期に活発だったとのこと。メンバーはAsh Wednesday (Vo, Drum Machine, Mix), Lyn Gordon (Synth), Andrew Park (Tape, Effects)の他、Ruthven Martinus, Steve Williams, Warwick Marksも加わっていたとか。テープ音から始まり、力強いドラムマシンが一本筋を通し、そこに、聴き取りにくい男性Voが乗っかる形態です。勿論、シーケンスもあります。 A4 Mr Knott “Poor Galileo (He Has Gone Mad)”は、Patrick GibsonとGordon Renoufのデュオで、1984年に結成され、M Squared スタジオで、自a作電子楽器などを作っていましだ。この曲では、Mary Quinn (Vo), Lindsay O’Meara (Vo), Dermot Browne (B)もゲスト参加しています。2人の女性ウィスパーVoが力強いビートの上に乗っかっています。この曲はシンセウェーブと言うよりニューウェーブな曲ですね。ちょっとファンキーはベースとかも普通に使っていますし、テープ音なんかも使っており、ちょっとインダストリアルな要素もあるのかな? A5 Aeroplane Footsteps “Arabia”はJandy RainbowとSimon Edhouseによって、1981年に結成されたデュオで、Grapevineスタジオや5MMMでのセッションの為、多数の持ち曲がありましたが、1983年には解散しています。その後、Rainbowは、サイバーパンク・バンドDonno Detti に加入しています。ドラムマシンのビートの上に、掠れた女性Voやシンセソロが乗っている、ちょっと不思議な曲。ただそれ程「アラビア」を感じないです。 では、B面に移ります。B1 Shanghai Au Go-Go “I Cried All Winter”は、Chris ‘Eddie’ Mort (Synth, Drum Machine, Vo), Karen Harborow (Synth, B), Meilindah Ronalds (Vo)のメルボルンのシンセウェーブ・トリオで、この曲は1983年のデモテープから取られています。彼等は豪州におけるEBMやインダストリアルやハイ・エナジーのパイオニアでもあったそうです。確かにRonaldsの力強い女性Voはシンセウェーヴと言うよりもニューウェーブに有りそうで、シンセ奏者の2人も中々ポップかつキャッチーな旋律とリズムを聴かせてくれます。 B2 Matt Mawson “Open The Goddam Door”は、1980年代のメールミュージックの先駆者で、Irena Luckus, John Willsteed, Tery Murphy, Tim Grunchyが関係していたようです。この曲はミニマルな展開で、聴こえそうで聴こえない呻き声のようなVoや不思議な旋律のメロディも秀逸です。 B3 The Horse He's Sick “Terminal Rebound”は、Ian Andrewsのソロユニットで、TR-808とTom Errardのスタジオで作った音楽活動以外にも、映像や彫刻、インスタレーション、コラージュ、詩作等もやり始めており、歯磨き粉のTVのビデオクリップも手掛けていたそうです。後に、ダンスバンドDisco StuやHypnoblob, Non Bossy Posseにも参加しています。この曲には、テープ音が微かに聴こえると言う1980年代の宅録っぽい雰囲気がありますね。終わり方も最高です。 B4 Wrong Kind Of Stone Age “Ravi Dubbi”は、1983年〜1991年に活動していたSydneyのポスト・パンク・バンドで、メンバーはGavin Williams (G), Miriam Williamson (Vo), Geoff Nolan (B), Craig McLeod (Drs)で、WilliamsとWilliamsonがコアメンバーで、後期になると、中近東風のトライバル・ミュージックになり、その時には、コアメンバーに、Bryce Cannon (Perc), Andy Rantzen (Kbd), Drew Mayson (G)を加えた編成で演奏していたらしいです。これは、気怠い単調なベースラインが特徴的な曲で、Voも語りの様にボツボツと聴こえますし、パーカッションやシンセ(?)の物憂げな旋律も良い雰囲気です。 B5 Les Trois Etrangers “Luna”は、Jandy Rainbowが、Roland SH-09シンセ、ミニCasio、ミキサー、ディレイとDrum Machineを購入した3ヶ月で始まっており、1980年にライブデビューしています。当時はトリオで、毎週金曜日に演奏していたらしいです。この曲に関しては、彼女の若気の至りのようなミニマルな展開に、他の2人は余り良く思っていなかったようです。これは、GとBが淡々とミニマルに弾いている横で、スペーシーなシンセの効果音と女性のウィスパーVoが乗っかってくると言うヒプノティックな曲です。 A面はどちらかと言うとシンセウェーブのような宅録ものが中心で、B面はよりパンド・サウンドだったり、宅録であってもちょっと実験的であったりする曲を集めたのかなあと言う印象です。しかしながら、これまで、全然知られていなかったOz地下音楽の層の厚さを、このアルバムで触れることが出来て、私自身は興奮しましたねぇ。今後もこのように発掘される音楽を聴いてみたいです‼️ *収録曲をそれぞれ貼っておきますので、聴いてみて下さい❗️ A1 Height/Dismay “Mother's Footsteps” https://youtu.be/-0k96kyJjqY A2 The Frenzied Bricks “Vicious Circle” https://youtu.be/XNcUXzBGDlQ A3 Modern Jazz “Zoom Dub” https://youtu.be/7dXOChq6oPA A4 Mr Knott “Poor Galileo (He Has Gone Mad)” https://youtu.be/2p6Xy4_Jit0 A5 Aeroplane Footsteps “Arabia” https://youtu.be/E9sQAmvcVa8 B1 Shanghai Au Go-Go “I Cried All Winter” https://youtu.be/2p6Xy4_Jit0 B2 Matt Mawson “Open The Goddam Door” https://youtu.be/e7IZVRqDpjk B3 The Horse He's Sick “Terminal Rebound” https://youtu.be/7A1Mo_q3tvU B4 Wrong Kind Of Stone Age “Ravi Dubbi” https://youtu.be/4b2NZ8ccwMg B5 Les Trois Etrangers “Luna” https://youtu.be/CkQct2f3N5E #VariousArtists #OzEchoes: #DIYCassettes&Archives1980-1989 #EfficientSpace #Australia #CompilationAlbum #1980年代 #SynthWave #PostPunk #Dub #CassetteCulture #Height/Dismay #TheFrenziedBricks #MrKnott #AeroplaneFootsteps #ShanghaiAuGo-Go #MattMawson #TheHorseHe'sSick #WrongKindOfStoneAge #LesTroisEtrangers
Synth Pop / Post Punk / Dub Efficient Space 1900円Dr K2
-
Jan Van Den Broeke “Time And Desire”
これも所謂「謎物件」でしょうか? ただ、ベルギーのEE Tapesが出していたので、このJan Van Den Broekeのことは全然知らずに購入しました。Broekeもベルギー人で、建築家兼音楽家兼視覚芸術家と言うことで、本名名義での音楽作品は、このアルバム1枚だけで、あと2枚はJune11やAbsent Music, The Misz, Canto De Mudoなどのソロユニットやデュオでの作品がそれぞれ数枚ずつ程リリースされています。彼は元々の名前はJean-Pierre Van Den Broekeだったのですが、ちゃんと法的にJan Van Den Broekeと改名してきます。彼はどうも1980年代初頭より音楽活動を開始しており、その時は怒れる若者だったようで。しかし、音楽への執着は衰えず、音楽の無い生活なんて考えられない、夢が無ければ、人生なんて無意味だと言っています。それでサブユニットの簡単な説明ですが、The Miszは1983年辺りに彼とDries Dekockerの2人でやっていたシンセ・ウェーブ・バンドです。June 11は、2003-2004年にやっていた新しいユニットで、アンビエントと歌物のギャプを埋める音楽を目指して、エレクトロニクスとアコースティックな楽器やサンプラーを使っていたらしいです。そしてそれは、唯一無比のサウンドとのこと。実は、本作品は、このJune 11名義の曲が殆どを占めています。一方、Absent Musicは元々はレーベルの名前でしたが、1980年代を通してやっていた実験的ミニマル・ウェーブ・プロジェクトの名前にしています。1980年代には、Broekeは、The MiszとAbsent Musicの2本立てで活動しており、カセット作品も2本出しています。コンピ・カセット”Mad in Belgium 2”や”Cortisol”及びHomi Sexpies Project”に参加して、Absent Musicは終わりました。ただ、後になって、EE Tapes (2012年と2022年)やStrom (2017年)はAbsent Musicのセルフ・コンピを再発しています。そして、Broekeは、Helena Legaz, Anneleen de Causmaecker, Philippe Van Keymeulenと共に現在、やっているのがCanto De Mudoで、本作品にも1曲だけ、この名義の曲が収められています。また、彼等はライブも地元ベルギーGentで稀ながら行っており、ギター、サックス、クラリネット、カリンバ、パーカッション、エレクトロニクスそしてフィールド録音を組み合わせた、インストのシュールな音楽をやっています。初めは、Brian EnoとLhasa de Selaの曲を演奏していたそうです。とまあ、Jan Van Den Broekeは色んな音楽をこれまでやってきていることが分かると思います。 それで、本作品についてなのですが、先述のように10曲中9曲がJune 11名義で、B5だけがCanto De Mudo名義となっており、2006年〜2021年のテイクがコンパイルされています。全体的には、非常にゆっくりした落ち着いた調子の曲が占めており、ある種のアンビエントとも言えるがもしれませんが、スポークン・ワードのようなしっとりしたヴォーカルも入っています。June 11名義の曲(A1-A5, B1-B4)では、Jan Van Den Broeke (Electronics, Vo, Sampler, Rainstick, G)の他に、Hilde De Clercq (Perc, Shaker, Cajon, Darbuka), Drita Kotaji (Vo), Helena Legaz Torregrosa (Clarinet), Stephan Barbery (G), Philippe Van Keymeulen (Soprano Sax, Rainstick, Darbuka, Baritone Sax), Stefan Thaens (Clarinet), Waander Devillé (B), Jacob D'Hollander (Electronics)が参加しており、Canto De Mudoの曲(B5)では、Jan Van den Broeke (Electronics, E-Bow G, Sampler)とPhilippe Van Keymeulen (Baritone Sax, Projector, Marbles) 及びHelena Legaz Torregrosa (Vo, Field Recording)のトリオでの演奏が収められています。基本的には、Broekeが電子音やサンプリングした音や声を担当しており、他の(ゲスト)メンバーがアコースティックな楽器などやヴォーカル(主にDrita Kotaj)が担当して曲作りをしています。先述のように、アンビエントと歌物の間に位置する音楽ですが、単なるラウンジ・ミュージックになっておらず、どちらかと言うと、音による風景画を観ている(聴いている)感覚に近いと思います。凄く繊細な音楽ですが、そこには強い抑制が働いているようです。個人的には、A2 “I'm Harriet (A Free Woman)”, A3 “La Vie Est Un Rêve”, B1 “Memories 2”辺りが好みですねぇ。もし、アンビエントの一歩先を見据えてみたいリスナーさんには良い指標となるでしょう‼️是非聴いてみて下さい! “Je Trébuche Pas #2” (アルバム未収録曲) https://youtu.be/i_wZLkLB6Ys [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mTauIe1-lLm30oumElu_SWtJLVKC2O4FQ #JanVanDenBroeke #TimeAndDesire #EETapes #LimitedEdition #350部 #June11 #CantoDeMudo #SelfCompilationAlbum #2006-2021 #Experimental #Ambient #Electronics #AcousticInstruments #Song
Synth Wave / Ambient EE Tapes 1900円Dr K2
-
Katra Turana “The End〜肌理の勾配”
皆さん、知ってます?Katra Tunara(カトゥラ・トゥラーナと呼ぶ)。80年代に咲いた徒花。得てして、このバンドを語る時、女装のヴォーカリスト広池敦氏のことが取り上げられ過ぎて、バンドとしての音楽自体は余り語られなかった。シンセが大々的に用いられるようになった1980年代に、このバンドの編成やその音楽性は特異なものでありました。広池氏はとても綺麗だったのと、大部分のパートがヴァイオリンやチェロと言ったアコースティックな楽器とオブジェの演奏から成っていたこともあって、「怪奇骨董退廃音楽箱」と称されて、一時的には受けました。広池氏に中心に、バンドが出来たのが、1980年。それから、ライブを重ねて、1882年にTelegraph Recordsよりファースト・アルバムをリリースします。このアルバムはRecommended Recordsを通して、ヨーロッパにも配給されています。その後、大幅なメンバーチェンジを行い、1985年に本作品であるマキシ・シングル”The End~肌理の勾配”を、1986年にセカンド・アルバム”Kimera”をリリースしています。しかしながら、1990年頃には自然消滅的に活動が途絶えてしまいます。そして、2015年12月に突如としてライブを再開します。その後はちょっと分からないです(誰か、教えて!)。 それで本作品ですが、まず、メンバーは三木 黄太(Cello), 田中信幸 (Dr), 藤田佐和子 (Piano), 松井 亜由美 (Violin),そして作曲・編曲も行う広池敦 (Vo, Glockenspiel)と言う編成です。これを見ただけでも、彼らの特異なところが分かると思います。それから、広池氏は日本語でも英語でもない独自の言語「コバイヤ語(?)」で歌っていたとか。しかしながら広池氏のヴォーカル、凄いです❗️ロリ、少し(?)入ってます。バックもドラムを除くと弦楽四重奏みたいなのに、パワフルに聴こえます。強いて言えば、「鬱を乗り越えて陽気になったユニベル・ゼロ」みたいと言えば分かりやすいでしようか? いや分かりそうもないですね。因みにはミックスは小野セイゲン、プロデュースには生田朗が起用されています。そのせいか、音はかなり整理された感がありますね。以前にファーストアルバムをCDで聴いたことはあるのですが、生楽器にはアナログの方が相性がいいのかな?とも思いますが、それは人それぞれでしようね。皆んな、今こそKatra Turanaを聴きましょう❗️ https://youtu.be/YxN-Hj_tfgQ #KatraTunara #TheEnd #肌理の勾配 #AcousticMusic #Maxi-Single #Avant-Pop #広池
Avant-pop Switch 45R.P.M. 1900円Dr K2
-
Conrad Schnitzler “Con”
Conは”Con”rad Schnitzlerの代名詞❗️と言う訳で、またまた、Conrad Schnitzlerのアルバムで、その名も”Con”です。セルフ・リリースを除くと2枚目のアルバムであり、しかも、レーベルは仏の名門EGGです。バイオグラフィーは以前に書きましたので、ここでは省略しますが、彼の名前が知られたのは、Tangerine Dreamの創設者にして、Klusterの創設者と言う、電子音楽系ジャーマン・ロックの始祖とも言える存在だからだと思います。 それで本作品についてですが、日本語ライナーには「インプロビゼーションを多用した現代音楽的」と評されていますが、私は、寧ろ、現代音楽(何を持ってそう言うかは別として)よりも、寧ろある種のポップネスを持った(ロック)ミュージックと思えます。この差異は時代によるのかもしれませんね。本作は5曲入りですが、B面2曲目の”Metal 1”と3曲目”Black Nails”はメドレーになっています。またライナーでは「ポピュラー・ミュージックではあるが、ロックではない」と言う文言が記載されていますが、今や、これらのシンセサウンドや電子音楽はロックかどうかは別として、既に市民権を得ており、今では、これもまたロック(ロックの定義によりますが)とも言えるのではないでしょうか? そうは言っても、全編に流れるシンセによる電子音の煌めきは、如何にもConrad節とも言える曲調で、独特のユーモアもあり、私には一種のポップ・ミュージックのように聴取することも可能では?と思います。リズムボックスやシーケンスの使い方も単にベーシック・トラックと言う訳ではなく、ディレイ処理により不思議な浮遊感も待って提示されています。複雑に交差する電子が織りなす音空間が彼らしくて、興味深いです。何とも抽象的な音像で、それこそが、電子音楽のキモだと思い、彼は早くからそのことに気付いていたのではないでしょうか。まあ、堅苦しく考えずに、気楽に聴いてみても楽しめると思いますよ。 https://youtu.be/EWVCgpzstLk #ConradSchnitzler #Con #EGG #ElectronicMusic #Synthesizer #Experimental #GermanRock
Electronic music EGG 1900円Dr K2