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Günter Schickert “Kinder In Der Wildnis”
これも謎物件ですね。私は、このアーティストGünter Schickert (ギュンター・シッカート)のことは全然知りませんでした。多分、通販サイトを眺めていて、ちょっと視聴して琴線に触れたのでしょう。なので、先ずは、Günter Schickertのバイオグラフィーを調べてみました。Schickertは、1949年4月25日、Berlin生まれで、1962年には、トランペットを習っていましたが、1967年にはGを習った方が良いと言われ、それ以降、彼のメインの楽器になります。1960年代には、Schickertは、ベルリン・スクールな電子音楽もやっており、その後、1971年に、フリージャズを演奏し始めますが、一方で、Klaus Schulzeのローディー兼優秀な電子音楽エンジニアとしても働きつつ、Schulzeとも「ホームセッション」を行なって、腕を磨いていたとのこと。そうして、1973年に、エコーマシンとGだけを使用した「エコーギター」で、ファースト・ソロLP”Samtvogel”を自費出版しています。この作品は、1976年には、Brain RecordsがLPで再発しており、その後も度々再発されています。同年1976年には、Axel Struck (G, Vo)とMichael Leske (Drs, Perc)と共にGAMと言うバンドを結成していますが、このバンドは、「Krautrockは1970年代中盤には死んだ」と言われていたことに対抗して結成されたベースレス・バンドで、Guru GuruやAsh Ra Tempelのようなフリークアウトした音楽を更に高めようとしていたそうです(私は未聴)。ただ、Discogsで確認すると、GAMとしては、現在までに3作品しか出していないです。話しをSchickertに戻すと、彼は、1979年に、セカンド・ソロ・アルバム”Überfällig”をSky Recordsから出しており、この時には、Charles M. HeuerがDrsでゲスト参加しています。この頃には、彼は「ギター・マエストロ」とか「レジェンド」と呼ばれていたようです。その後、1983年に、彼はソロ作品を、英国YHR Tapesからカセットでリリースしており、その後もカセット、CDR、CD等の様々なフォーマットでリイシューされ、しかも、微妙に曲順や収録曲が変わっていると言う難儀な代物となっています。ただ、1980年代〜1990年代には、ソロとしては、2〜3作品しか出しておらず、また、主に音楽と演劇の為のNo Zen Orchestraとしても2作品しか確認できませんが、Ziguriと言うGünter Schickert, Udo Erdenreich, Dieter Kölsch, Zam Johnsonから成るヒプノティックでトランスかつハンマービートとサイケを混ぜたような音楽をやるプロジェクトを1987年〜1997年に盛んにやっていたそうで、このプロジェクトは、2011年に復活しています。2000年代以降になって、漸く、コンスタントに、ソロを含め、様々なバンド(?)で作品を出していくようになり、現在も現役で活動しているようです。 以上が、Günter Schickertの簡単な略歴ですが、恐らく、独国内のクラウトロック・ファンからは、日本とかで想像する以上に、高く評価されてきたと思われます。それでは、本作品“Kinder In Der Wildnis”(両面5曲ずつ収録)の各曲について紹介していきましよう。なお、A5とB5はボートラとなっています。 ★A1 “Höllentanz” (5:41)では、いきなりDrsとG、それにVoから始まって、ちょっとビックリしましたが、滑らかなグニャグニャのGワークと不定形かつ反復するVoが如何にもクラウトロックっぽいですね。 ★A2 “Rabe In Der Nacht” (8:43)は、エフェクトを掛けたGで始まりますが、割とリズミックで、ちょっと意外な感じもします。しかし、pヒプノティックな曲調は独逸ロックならではですね。なお、後半はGを弾きまくってます。終わり方もグー! ★A3 “Es Ist Schon Kurz Vor 12” (6:37)は、まるでギターシンセのようなGの反復から始まり、そこにまろやかなトーンのGが絡んできて、その対比が面白いです。更に後には不明瞭なVoやDrsも入ってきます。 ★A4 “Gitarre Wahnsinn” (4:49)は、A3と連続して、アルペジオGと通奏低音から成る、これまたミニマルな曲ですが、やがて別のGを弾きまくります! ★A5 “Wohin SollI Ich Gehen (bonus)” (3:33)は、Drsのビートを中心に微かなGとヘナヘナな掛け合いVoが入ってくるミニマルな曲で、ヘナった感じがグー! ★B1 “Suleika” (6:17)は、声と物音から始まり、金属質なGの反復リフに、超絶Drsがビートを刻むヒプノティックな曲で、後ろで低音Gをかき鳴らしています。 ★B2 “Schwarz Voll Weiss” (2:04)は、土着的ドコドコDrsに、ホーンらしき音がメロディを成して、その後ろで、Gのアルペジオが聴こえています。 ★B3 “7/5” (4:59)も、B2と連続して、緩やかなGによるアンビエンスに、トランペットも加わり、後ろでは花火の音等のフィールド録音が配置された曲ですね。 ★B4 “Kinder In Der Wildnis” (5:35)では、ノリの良いアップテンポな曲で、Gはひたすら掻きむしり、トランペットも煽ってきますが、NDWっぽいVoが特徴かな? ★B5 “Leihst Du Mir Dein Ohr (bonus)” (5:10)では、ハイハットとキックによるDrsとミニマルなBやG、それに聴き取りにくい2人のVoが無関係に掛け合いをしています。 個人的には、ジャケから受ける印象程、プログレ臭さは感じませんでした。寧ろ、曲によってはNeue Deutsche Welle的なユーモアやミニマルさも感じられて、ここら辺にクラウトロックとNDWのミッシング・リンクがあるのかなとも思います。ただ、バイオグラフィーに書いた「エコーギター」はそれ程出てこなかったようにも感じられ、ちょっと残念でした。ただ、もろプログレ感は少なく、どちらかと言うと、人力ミニマル・ポップとも言える印象ですね。元々はカセット作品だったので、こんな風になってしまったのではないでしょうか? でも、こんなポップネスも有りかもよ! https://youtu.be/5Px6vQUR3Rk?si=XByHfcbXsx5hH9o8の [BandcampのURLも貼っておきます] https://gnterschickert.bandcamp.com/album/kinder-in-der-wildnis #GünterSchickert #KinderInDerWildnis #BureauB #2013年 #重量盤 #YHRTapes #1983年 #CassetteFormat #Krautrock #Minimal #Hypnotic #EchoGuitarists#GuitarMaestro #ElectronicMusicEngineer #KlausSchulze #GuitarMaestro #ManuelGöttsching #CAMl
Krautrock / Minimal / Hypnotic Bureau B (YHR Tapes) 1700円Dr K2
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Soloist Anti Pop Totalization “S.A.P.T.”
とうとう、買ってしまいました!Soloist Anti Pop Totalization (以下SAPTと表記)のセカンド・アルバム”S.A.P.T.”です。この長い名前のユニットは、東京のRikinari Hataのソロユニットなのですが、副題にTokyo Industrial Synth Punkと書いてあるように、日本では珍しいミニマル・ウェーブ、即ち、シンセ・パンクな音楽をやっています。私は多分、先に出ていたCDRを購入して、興味を持ったのだと思います。また、動画などで、彼の機材を見ていると、Roland SH101, Roland TR606, Roland MC202, BOSS DR-55と言う古いアナログな機材を使っており、その機材に対するこだわりとかそこからの発展性や発想とかをビシビシ感じます。また、ライブでは、上記の機材に加えて、彼のヴォーカルも聴くことが出来ます。歌詞は割と「批判的」なものをストレートに歌っているようです。元々は、The Warm(私はこのバンドについては全く知りませんでした)と言うバンドを10年間やっており、心機一転、2016年に、ソロで宅録シンセ・ウェーブ・ユニットSoloist Apartmentとして活動を開始し、その後、プロジェクト名をSAPTに変えて、Soloist Apartment, WAR/ZITなど、様々なタイプとアーティストとのコラボやリミックスを手掛けています。一聴すると、無機質かつ金属質に聴こえますが、彼は「幅、音像、熱量」などに重きを置いているとのことで、海外のラジオやDJ/アーティスト達からセレクトされています。2017年には、伊Dub-itoから12㌅LP”Untitled”をリリース、2019年には、本作品をCD付きLPとして日本のDebauchMoodからリリース。2020年夏には、英国Polytechnic Youthよりサンプル集的コンピ・アルバムLP”Some Neon Reason”にも収録され、同年冬には、独Minamikombinatより、過去の作品をセルフ・コンパイルしたアルバムをリリース。同時期には、独で活動しているNao Katafuchi氏主催の国際的コンピ・シリーズ”Forbidden Figures”にも参加、また英国Polytechnic Youthより、ファン限定のクリスマス・チューン”Ode To Street Hassle”も公開しています。2021年9月にSAPT三部作の第一弾として、”4 Songs On Extend Play”を先行デジタル・リリース。同年末、仏シンセウェーブ・デュオPeine PerdueのStéphane Argillet Stereovoidが設立したアート・レーベルObjet Trouvéより、神戸の電子音楽ユニットJin Cromanyonとのスプリット・アルバム”Synth In Japan”をリリースしています。 それで、本作品の内容ですが、ソロ・ユニットなので、Hata氏が1人で全てを操作・作曲をしています。それから彼のメイン・シンセがSH101なので、私もTechno Mensesで使い倒しましたが、本来、この手の音楽(シンセ・ウェーブなど)向けの機材だと思います。内容を聴いて行きますと、ノイジーなA1 “Synthetic Introduction”で幕を開け、A2 “Insubstantial”はシンプルながらも、無表情なヴォーカルが淡々と続く曲です。A3 “Unknown I”はちょい実験的なインスト曲で、A4 “In The Body”は特殊なディレイを掛けたヴォーカルと、途中で入ってくるシンセによるノイズがイカしてます。A5 “Unknown II”もやはり、SE的電子音ノイズから成ります。B1 “Depression (Part 2)は、シーケンスの妙とエフェクトを掛けたヴォーカルの無機質さの組み合わせが興味深いです。B2 “Unknown III”はシーケンスを用いた実験的音響で、インスト小曲。B3 “Other”は裏打ちのリズムとシーケンスがカッコ良いノリの良い曲で、深めのディレイを掛けたヴォーカルも効果的。B4 “Decade”はいきなり、テープ音とシーケンスから始まるリズムパタンとドローンようのシーケンスが効果的な曲で、テープ音なのか?ヴォーカルなのか?が判定できません。B5 “Unknown IV”もシーケンスするシンセとSE的電子音とテープ音から成るインスト小曲で、本作品を締めています。この手のシンセ・ウェーブ/ミニマル・ウェーブをやっているグループやアーティストは日本には殆どのいないので、SAPTは、その意味で貴重な存在だと思います。また、YouTubeで拝見したインタビューでは好きなアルバムに、TGやCabsやThomas Leer, Robert Rentalなどが収録されている”Industrial Music”のコンピ・アルバムを挙げていたことから、本作品の”Unknown”の4曲は、そう言ったルーツの確認なのかも知れませんね。個人的には、歌詞(勿論、日本語)がちょっとストレート過ぎるようにも思いますが、そこら辺をもう少しソフイストケートさせたら、もっと良質なポップになると思います。でも、SAPTは、この現代において、敢えてヴィンテージなアナログ機材で、素晴らしい音楽を作っているので、これからの活動に期待大です❗️因みに、アートワークは名古屋のNOISECONCRETE x 3CHI5のJunji Ono氏がやっており、音との相性は抜群です! Live at Contact,May 22, 2022 https://youtu.be/3mFHBFdkMgY [partial album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nTqbuVWO4uG7v-_t8GPI0AB0-xRM9OVaM BandcampのURLも貼っておきます。 https://debauchmood.bandcamp.com/album/s-a-p-t-lp #SoloistAntiPopTotalization #DebauchMood #Japanese #SynthWave #MinimalWave #Industrial #RikinariHata #SoloAlbum #SoloUnit #LP&CD #Synthesizers #RhythmMachine #VintageSynth #JunjiOno #Artwork
Synth Wave Debauch Mood 1700円Dr K2
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Holiday Inn “Torbido”
Holiday Innと聞いて、思い出すのは、Stereo TotalのアルバムかそれともThe Human Leagueの12㌅EPかどちらかでしたが、これからはこのバンド(?)も思い出すようにしましょう!と言う訳で、イタリアのミニマル・実験ポップ・デュオHoliday Innの登場です。メンバーーはマルチ奏者のBob Junior(本名Emanuel Bonetti)とヴォーカルのGabor(本名Gabriele Lepera)から成る二人組ですが、殆ど情報がありません。なので、バイオグラフィーも書けないです(すまん!)。Bobは元々は仏パリ出身なのですが、2000年より伊ローマに移っており、2012年にMy Own Private Recordsと言う個人的なDIYカセット・レーベルもやっています。 内容は、完全にLo-Fiなミニマル・シンセ・ウェーブです。リズムボックスにミニマルでひび割れたオルガン或いはシンセの電子音、それに矢張りひび割れたヴォーカルが乗ることで、曲が展開していくと言うと聞こえがいいですが、要は、宅録感満載なところがこのデュオの持ち味なのでしょう。それで、展開らしい展開もなく、同じシンセのベースラインが繰り返されるだけなのですが、ただ、ちょっとだけSuicideを思い起こすところがあり、その点でも得点が高いですね。もし貴方が、ここら辺の情報にピクって反応しましたら、是非一度は聴いてみて下さい。そんなデュオみたいですよ。 https://youtu.be/qMNee1XVP1E #HolidayInn #Torbido #Avant! #MapleDeathRecords #Minimal #SynthWave #Lo-Fi #BobJunior #Gabor #Italy #HomeRecording #宅録
Minimal Synth Wave Maple Death Records (Avant!) 1700円Dr K2