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The Work “Slow Crimes”
まだ、私が大学生だった頃、色んな音楽を聴いてましたが、その中で、実験音楽と言うか即興音楽なんかにも興味があった訳です。その延長上で、丁度、来日したThe Workにも興味がありました。当時はあのHenry CowのTim Hodgkinson率いると言った感じで、宣伝されてましたね。私はその来日公演を友達と観に行ったんです。その時は結構、カッコいいと思いました。そう言うこともあって、The Workのファースト・アルバムを復習として購入した訳です。それで、The Workのバイオグラフィーを少し。1980年に、マルチ奏者兼作曲家のTim Hodgkinsonが、G兼作曲家のBill Gilonisを誘い、 BのMick HobbsとDrのRick Wilsonと共に結成したのが、The Workです。しかし元々はTomがBillと一緒になってテープ・コラージュで色々実験をしていたのが、1979年で、その時、インディーズ系レーベルWoof Recordsを設立、同時にバンドも結成しました。それでMickとRickの協力も得て、The Workとなります。彼等は1981年にデビュー・シングル”I Hate America” (これも持っていますが、傑作です!)をWoof Recordsからリリース。欧州ツアーを開始します。このライブ録音からカセット・ライブ・アルバム”The Worst of Everywhere”も1983年にリリースしています。ちょっと前後するのですが、1982年に、The WorkはBonnで行われたRock In Opposition Festivalに出演し、ヴォーカリストの Catherine Jauniaux(カトリーヌ・ジョニオー)と共演し、そこから、彼女をゲストに迎えて、本作品”Slow Crimes”の作製に取り掛かり、1982年にWoofよりリリースします。ここではAvant-gardeの要素を加えたパンクとして考えていたみたいですが、これは後付けで、寧ろAvant-gardeにパンクの要素を加えたのではないでしょうか?兎に角、複雑なリズムが凄いです。The Workは同年、来日公演を予定していましたが、Rickがインドのケラーラ州で chenda寺院のドラミングを習得する為に脱退します。更に、音楽性の齟齬があり、Mickも脱退。これを持ち直したのは、元Henry Cowで一緒だったChris Cutler (Dr)とJim "Amos" Welton (B)です。この編成で来日しています。当時しは、Tim HodgkinsonとChris Culterの生演奏が観られることで、私は大喜びでした。大阪公演の際に演奏はカセットで録音され、後で”Live In Japan”としてリリースされています。この来日公演が終了すると、バンドも解散しました。1989年にThe Workはオリジナル・メンバーで再編し、アルバム”Rubber Cage”を録音しています。その後、2年に渡る欧州ツアーを敢行し、1992年、彼らは最後のアルバム”SEE”を作成し、進行中の欧州ツアーにおいて、ライブ演奏しています。1994年に独逸のFreiburg im Breisgauで録音されたライブ・アルバム”The 4th World”は、2010年にAd Hoc Recordsからリリースされています。その際、モノラル録音だったマスターをステレオになるように処理されています。これがThe Workの最後のアルバムになります。大体、こんな感じでThe Workの活動は終わりました。 それで内容ですが、引き攣るようなTimのヴォーカルと、複雑なリズム・パターンと展開、時に挿入されるサックスなどの管楽器、当時ならポストパンクの文脈でも語ることもできるでしょうが、やはりレコメン臭い(悪意はありません!念の為)旋律が強いです。この骨折するような曲はやはりレコメン系ですね、決してドライブしない展開とか。ただ、曲はどれも短めなので、そう言う意味では「パンク」っぽいかもしれませんね。それと先述の女性VoのCatherine Jauniauxのヴォーカリゼーシヨンも堪能できます。結構、カッコいい曲が多いので、おススメです!アヴァン・ロックにパンクのひと匙を振りかけたエネルギッシュな演奏を是非ともご賞味下さい。 https://youtu.be/YV_jsiqCKgI #TheWork #SlowCrimes #WoofRecords #RecommenedRecordsJapan #AvantRock #TimHodgkinson #BillGilonis #RickWilson #MickHobbs #LiveInJapan #RockInOpposition
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Fred Frith “Live In Japan: The Guitars On The Table Approach“
もう皆んな知ってるFred Frithだよー。しかも鳴り物入りで2枚組ボックスセットで、写真やら北村昌士氏の論考ブックレットやら生写真やらが付いてると言うシロモノです。テーブルトップ・ギターはAMMのKeith Roweが最初ですが、実際、日本にそのスタイルを持ち込んだのはFred Frith氏なんだよな。それを迎え打った灰野敬二氏が、吊り下げたギターにドッチボールをぶつけると言う奏法だったんです。それが、所謂、某フー○ズ・メイ○関係者(?)に酷評されてたのが懐かしい。まあそれは置いといて、Frith氏のバイオグラフィーを少し。Fred Frithは英国の作曲家、即興家またはマルチ奏者で、即興音楽や新しい音楽のフィールドに30年以上もいて、活躍している大先輩です。高校生の時は地元のクラブやパブでR&Bやフォークを演奏してましたが、その後、ケンブリッジ大学のブルース・パブで、Tim Hodgkinsonに出会い、1968年にHenry Cowを始動させます。そのまま、1978年まで活動していましたが、バンドは解散。その間にも、Frithは”Guitar Solos”を1974年にリリースしており、そこでプリペアード・ギターによる即興演奏を収めており、雑誌でもべた褒めでした。ただ、Henry Cow後期になると、歌物をやりたいFrith&Chris Cutlerとインスト物をやりたいTim&Lindsay Cooperとが対立し、歌物はDagmar Krauseと共にArt Bears名義でリリースすると言う羽目に。その後、Frithは、スウェーデンのSamla Mammas Mannaや米国のThe Muffinsの協力の元、 セカンドソロアルバム”Gravity”を1980年に出します。1979年終わり頃に、Frithは米国NYCに移り住み、そこで米国の様々な即興アーティストとコラボを行います。例えば、John ZornのNaked CityやMassacreやSkeleton Crewにも参加して、約14年間程米国にいました。1980年以降にはFrithは、ソロアルバム以外に、ダンスや映画或いは演劇の為の曲も書いています。Frithは1995年間には独逸Stuttgartに移り住み、写真家のHeike Lissと同居し、仏でもレジデンシーを得ますが、1997年にはまた米国に戻ってきます。Mills音楽科で作曲や即興について教鞭を取っており、2008年のリタイヤ後は名誉教授になっています。Frithの略歴は、まあここら辺にしておきましょう。 それで本作品ですが、本格的な即興演奏家が初来日することもあって、皆さん、期待していたようです。使われた楽器はギブソンのダブルネックギターと壊れた無名のヴァイオリン、第二次世界大戦の時のパイロットの通信テープ、ステレオミキサー、ラック型デジタル・エフェクターです。大阪、福岡、東京、前橋での演奏が収められています。勿論、全てライブ録音で、テーブルトップギターをプリペアードした即興演奏です。ギコギコ、ザラザラ、ペナペナした普通のギターとは思えない音が脱構築と再生を繰り返しながら演奏されています。多分、ギターに棒を差し込んだり、テープの再生音をギターの ピックアップで拾ったり、打楽器の様に叩いたりしてるのでしょう。シュワシュワした音はエフェクターによるのかな?こう言う演奏って、当時は「普通にやりたくない」ギタリストがテクを度外視して面白半分にやっていたりしたような気もするんですが、やっぱりテクニックがあると、それだけ表現の幅は広がるんですよね(当たり前ですが)。Frithの来日公演の後、この手の演奏をするアングラ・ギタリストが、雨後の筍の如く出てきたように思います。あと、突然段ボールが、Frithとコラボ・ライブして、その音源をカセットでリリースしていました。それ程までに、Frithのプリペアード・テーブルトップ・ギターの演奏は衝撃的でした。そんなパラダイムシフトを起こした演奏を聴いてみてください。 LP1: The Guitars On The Table Approach Vol. 1 A “Osaka I” (21:42) B1 “Osaka II” (2:16) B2 “Osaka III” (2:15) B3 “Fukuoka I” (9:30) LP2: The Guitars On The Table Approach Vol. 2 C1 “Fukuoka II” (9:17) C2 “Maebashi I” (8:22) D1 “Fukuoka III” (11:22) D2 “Tokyo I” (3:50) 本作品はYouTubeから消去されていまいたので、最近のライブ動画を貼っておきます。 [live 2018/02/18 オーストリア] https://youtu.be/kivZMdCJ9Ok?si=Moj6Fo68U2s08M_H https://music.apple.com/us/album/live-in-japan/408688434 #FredFrith #LiveInJapan #TheGuitarsOnTheTableApproach #2LPsBoxSet #Improvisation #PreparedGuitar #TableTopGuitar #Solo #Experimental #RecommendedRecordsJapan
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Massacre “Killing Time”
出ました❗️Fred Frith, Bill Laswell. Fred Maherによるスーパー・アヴァン・ロック・トリオMassacreの登場です。基本、インプロでの演奏ですが、その元にはちゃんとした譜割りがあるようです。3人とも超絶技巧の持ち主なので、この様なインタープレイが可能なのでしょう。録音は1981年4月にパリで、更に同年6月にブルックリンで行われていますが、弱冠のオーバーダブが施されているようです。そのMassacreですが、1980年2月にPeter Glegvadがヴァレンタイン・コンサートのオープニングを探していた時に,彼の提案でパワートリオとして結成されました。まあ、Materialのリズム隊にテーブルトップギターで有名になったFrithがGで参加と言う形態ですが、出てきた音楽はロックともジャズとも何とも言い難い音楽ですね。なお、これ以降の作品ではDrはCharles Haywardになっています。Massacreの音楽はフリージャズにハイ・パワーなロックのエネルギーをぶち込んだスタイルで、それまでの即興音楽の系譜と異ります。そう、大音量で聴くべきスタイルであり、歪で変拍子を多用しますが、生々しいロックンロールの進化型としても捉えられると思います。このメンツでのバンドは1981年7月でMaherの脱退より一時活動停止になりますが、1983年にAnton FierのGolden PalominosにFrithとLaswellが加わることで、再結成の手応えを得ます。その後、1998年に、ドラムにHaywardを迎えて、Massacreを再結成し、多数のアルバムを出しております。 それで本作品についてですが、ロックのフォーマットで、即興演奏やフリーミュージックを演っていると言えばいいのでしょうか?とにかく、凄いパワーと技巧で、ぐいぐい引っ張られていきます。ロックの辺境に位置するにも関わらず、その存在感は大きいですね。曲が短いのもグーです。録音データは前述した通りです。私にとっては、Frith関連の作品では大好きなアルバムですね。もし、ありきたりのロックに飽きたリスナーさんは、このアルバムを大音量で聴いてみて下さい。 https://youtu.be/rox7sirqzbQ #Massacre #KillingTime #FredFrith #BillLaswell #FredMaher #ExpermentalRock #Improvisation
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