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Michael Rother “Fernwärme (熱地帯)”
これは懐かしいものです。ちょっとだけKraftwerkにも在籍し、その後、Klaus Dingerと共にNeu!を結成し、活動しつつも、同時にClusterの2人ともコラボしたアンビエントなHarmonia名義でも活躍している才人Michael Rotherのソロアルバム”Fernwärme (熱地帯)”です。先ずは、バイオグラフィーから。Rotherは子供の頃は、Munich, Wilmslow (英国), KarachiそしてDüsseldorfに移って転校を繰り返していましたが、1960年代にもPakistanにも住んでいたことがあります。Rotherは1965年から1971年の間、Spirits of Soundと言うバンドにギタリストとして在籍していましたが、他のメンバーには、Kraftwerk に加入することになるWolfgang Flürがいましたが、一方でRotherはWolfgang Riechmann及びWolfgang Flürと共にWunderlandと言う学生バンドでも活動していました。Rotherは、1971年にKraftwerkに参加しますが、この年に脱退しています。そして、1971年から1996年まで、Klaus Dinger (Drs)とNeu!を立ち上げ、5枚のアルバムに参加しています。彼はマルチ奏者でしたが、主にGとKbdを担当しています。更に1974年から1975年の間にHans-Joachim RoedeliusとDieter Moebius (Clusterのメンバー)とコラボして、その時には、Harmoniaと名乗り、1976年終わりには、以上のメンバーとBrian Enoとのコラボ・セッションを1974年、1975年及び1976年に行なっています。そのセッション・テープは無くしたものと思っていましたが、20年程経て、Roedeliusにより発掘されています。また、ちょっと話しを戻しますが、1971年に、RotherとDingerは、独逸のTV番組Beat Clubで Florian Schneiderと一緒にKraftwerkとしてのライブ演奏が流されています。話しをRotherに戻すと、彼は単独名義のアルバムを毎年のように、リリースしており、本作品もそのリリースの中に見い出せます。これらの作品では、CanのドラマーJaki Liebezeitの協力で作製されています。また、Rotherは、2007年7月1日に、ハムブルクでのコンサートの終わりにThe Red Hot Chili Peppersとジャムセッションをしています。その後もソロアルバムやコラボなどを着実に続けています。そして、去年Neu!結成50周年記念として、Rotherは、Michael Rother & Friendsで2回コンサートを行なっています。一つは2022年10月26日ベルリンで、もう一つは2022年11月3日にはロンドンでの記念コンサートを行なっており、今なお現役です。 以上がMichael Rotherの経歴です。次に本作品を紹介していきますね。本作品は彼のスタジオアルバムとしては4枚目になります。今回もドラムにCanのJaki Lirbezeitが客演しています。全体としては落ち着いた雰囲気がありますが、やはりJakiの反復するハンマービートのある曲はバネが強いですね。全7曲入りです。A1 “Silberstreif”でのギターのフレーズは何かに似てると思ったのですが、沖縄民謡に出てくるフレーズでは❗️と気が付きました。またそれが気持ち良いのです。解説の北村昌士氏によれば、アフリカの音楽を参考にしたもう一つの環境音楽とのことですが、私的には、あまりそう言う感じは受けなかった、、、そっかぁ? B2 “Klangkörper”の印象からアフリカってタームが出てきたのだな❗️A3 “Erlkönig”の導入部のアコギのフレージングも渋くて好きです。B1 “Fortuna”やB3 “Hohe Luft”でのシンセとシャープなクリーントーンのギターのユニゾンもカッコいい! もうシンセと生ドラムの組合せが好きな人には堪らんアルバムですね。もしそんな音楽が好きであれば、このアルバムは買いですよーっ❗️ B1 “Fortuna” https://youtu.be/q9he8Zn2pFY A1 “Siberstreif” https://youtu.be/K35k8d9K_ls #MichaelRother #Fernwärme #PolydorRecords #GermanRock #KrautRock #JakiLiebezeit #Ambient #Guitar #Synthesizers #HammerBeat
Krautrock, Ambient POLYDOR 不明Dr K2
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Fripp and Eno “(No Pussyfooting)”
今回は、馬鹿テクでキング・クリムゾンの中枢Robert Frippと、「非音楽家」を名乗り、新音楽の開拓を常に行うBrian Enoのコラボ・アルバム”(No Pussyfooting)”をご紹介します。この2人に関しては、もう有名過ぎる程,有名ですので、ここでは敢えて詳しく記述はしませんが、Robert Frippについては少しだけ。元は、1967年にGiles兄弟と結成したGiles, Giles & Frippでデビューしましたが、1枚のアルバムを出して、このバンドは1968年に解散。その直後に、RobertはIan McDonaldとMichael Gilesを核として、大学の同級生だったGreg Lakeと作詞家Peter Sinfieldを誘い、King Crimsonを結成し、1969年にファーストアルバム”In the Court of the Crimson King”をリリース、大ヒットとなり、プログレの一つの源流となりました。その後、メンバー・チェンジなどのゴタゴタもありましたが、常に新しい音楽を求めていたFrippはサイドプロジェクトも行いながら、King Crimsonを続けていきます。彼はバンドの方向性やメンバーの構成において独断的とも称されますが、本人は否定しています。最近では妻のToyah Willcoxと一緒にYou Tubeで” Toyah and Robert's Sunday Lunch”を毎週発信している「お茶目」なところもあります。Brian Enoについては、前回を参照してください。 それで、本作品についてですが,Robert FrippとBrian Enoによる一種のドローン或いはアンビエント作品としてリリースされた最初のアルバムです(その後のスタジオアルバムは3枚、ライブアルバムを1枚出しています)。ここでのFrippはギターとペダルボードを,EnoはEMS VSC3やシーケンサーなどを弾いているのですが,特にFrippは2台のRevox A77 reel-to-reelを使ったFrippertronicsと言う装置を多用しています。これは一種のテープエコーみたいな原理ですが、この時期に,こんなことするロック・ミュージシャンはいませんでした。そして録音した音にEnoがポスト・プロダクションを加えて、片面1曲づつの長尺の曲が収められています。A面はギターの持続音が永遠に続くような曲”The Heavenly Music Corporation”を、B面には伸びやかな持続ギター音にアクセント的電子音も加わった表情豊かな曲”Swastika Girls”が収められています。正しく、タイプの異なる2人の「天才」が作り上げた、ロック的解釈をしたアンビエント・アルバムとなっています。とにかく、気持ちが良いです。流していても、気にならないし、聴き込んでもちゃんと聴けると言う,本来のアンビエントがここにはあります。そんな珠玉の音楽を試してみませんか? 因みには私の持っているレコードは再発物なので1979年になっていますが、オリジナルは1973年にIsland Recordsから出ています。 [full albumが無かったのでTrailerを] https://youtu.be/unwh5L_IQZg [live] https://youtu.be/6_Rd0AUCmuE #RobertFripp #BrianEno #NoPyssyfooting #Ambient #Drone #Flippertronics #EMSshynth
Experimental, Progressive POLYDOR 不明Dr K2
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Brian Eno “Another Green World”
皆さんの知っていらっしゃるBrian Enoの初期の作品の一つが,この”Another Green World”です。オリジナルは1976年にIsland Recordsからリリースされています。私がEnoのことを初めて知ったのは、オプスキュアでもロキシー・ミュージックでもなく、”No New York”のプロデュースなんですよ。なので、他のリスナーでも彼のことに詳しい人も沢山いると思いますので、バイオグラフィーは簡単にしておきます。Enoは、イプスイッチ・聖ジョセフ・カレッジとウィンチェスター美術学校に在籍し、美術を学んでいましたが、在学中からバンド活動をしており、Andy Mackayに誘われて、1971年にRoxy Musicに加入、その後、1973年に脱退、ソロ活動に移行します。特にKing CrimsonのRobert Frippとの共作”No Pussyfooting”は有名ですね。それ以外でもソロのロック作品”Taking Tiger Mountain (By Strategy)”などを発表していく一方で、前衛的音楽やニューエイジ的音楽も発表していきます。それが,本作品や”Ambient 1: Music For Airport”などの非ロック的な作品へと繋がっていきます。また、彼は、Harold BuddやJon Hassellらのアンビエントの才能を開花させています。そのような活動と並行して、色々なロック・アーティストとコラボをやっており、その中でもDavid Bowieの「Berlin 三部作(“Low”, “Heros”及び”Lodger”)」に参加しているのは有名ですね。1980年代になると、Talking HeadsやDevo, Ultravox!, U2と言ったニューウェーブなグループのプロデュースを始めており、その最たるものが、当時のNYCの最地下の音楽を集めた”No New York”のプロデュースですね。その後も視覚芸術とのインスタレーションに行ったり、21世紀にはColdplayなどポストロックなグループの作品への参加など衰えを見せません。ザックリ言うとこんな感じでしょうか? それで、本作品ですが、1975年に作製されており、Enoが丁度,アンビエントに行くか行かないかの辺りの作品になります。なので、ヴォーカル入りのロックっぽい曲とシンセ中心の割と静か目の抽象的なインスト曲から成ります。Enoはこのアルバムを作製する際に、35曲ほどを書いていますが、どれを選んでどうすれば良いかに悩み、Oblique Strategiesと言う一種のタロットカード的な手段で曲の選択と仕上げを行ったとされています。それにしても、各曲のクオリティは勿論、全体のバランスも良いアルバムだと思います。なお、本作品発表時でも、高評価で、「ロックとアンビエント、動と静などが上手く配置された傑作」と言われています。2004年でも、Pitchfork誌のスタッフが選んだ「1970年代のベスト・アルバム100」では10位にランク・インしています。あと、この時代に既にリズムボックスが平然と使われているのも特徴かと。重要なことは、彼はいつも自分のことを「非音楽家」と言っている点で、それは、彼が録音スタジオを一種の「楽器」として使うことと関係があるようです。また、それは後のThis HeatやCabsにも言えることでしょうね。そんなアルバムですので、Enoの魅力を聴くには最良の作品だと思いますよ。 https://youtu.be/qafV7HgPbTo #BrianEno #AnotherGreenWorld #Non-Musician #Ambient #Rock #Progressive #1975年
Progressive POLYDOR 2000円位?Dr K2
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The Wiltschaftswunder “s/t”
1980年代に勃興したNeue Deutsche Welle(NDW)の波から出てきたThe Wiltschaftwunder(「ヴィルトシャフトヴンダー」と読むのかな?)のセカンドアルバムです。なので、少し解説しておきます。正確な結成時期は不明ですが、1980年にはシングル”Allen”を出していますので、その前と言うことになります。それで、メンバーは、Angelo Galizia (Vo, イタリア), Tom Dokoupil (G, チェコスロヴァキア), Mark Pfurtschneller (Kbd , カナダ)とJürgen Beuth (Dr, 独逸)と言う混成バンドで、正式にはNDWではないですね。バンド名は英語で”economic miracle”の意で、第二次世界大戦後の西独とオーストリアの驚くべき経済再建と成長のことを指すみたいです。それで、このバンドが脚光を浴びたのが、独逸のTV番組”Der Kommissar” のテーマ曲をアレンジしたこととファーストアルバム” Salmobray”を1981年にリリースしたことが大きいですね。しかも、Angeloの強烈なイタリア訛りの独逸語のヴォーカルが印象的であったからと言われています。その後も、サードを1982年に出しましたが、4枚目のアルバム”Pop Adenauer”を1984年に出して、バンドはその年に解散してしまいました。 それで、本作品についてですが、ファースト・アルバムがかなり実験的なポップ・ミュージックだったのに対して、本作品はよりポップネスが出てきています。それでも使っている楽器やそのアレンジも変な譜割りで、キーボードの使用などからも、ある種の中毒性を持っているといえばわかりますかね。一度聴いたら忘れないと言う。そんな風変わりなポップミュージックは如何かな❓ A1 “Mutter Und Vater” (2:04) A2 “Kopfgeldjäger” (2:41) A3 “Mach Dir Das Leben Schön” (0:52) A4 “Rate Mal” (2:20) A5 “Tapetto Magico” (3:25) A6 “La Belle Et La Bête” (2:32) A7 “Erste Hilfe” (2:50) B1 “Der Große Mafioso” (3:24) B2 “Madame X” (2:22) B3 “Junge Leute” (2:30) B4 “Wildes Tier” (1:40) B5 “Die Parade” (2:38) B6 “Das Weisse Pferd” (2:18) B7 “Big Men” (3:23) B8 “Zuviel” (0:40) A1 “Mutter Und Vater” [live track] https://youtu.be/RnyG0qlzxhg?si=H5m5G1O9t8KG3G0I [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nPamhQLpyNB4-__Xc12lOQzTbWShI2rOc&si=Eaq9yxYOUFUd4uo8 #Wiltschaftswunder #TheWiltschaftswunder #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Left-FieldPop #DerKommissar #AngeloGalizia #TomDokoupil #MarkPfurtschneller #JürgenBeuth
Neue Deutche Welle (German New Wave) POLYDOR 不明Dr K2
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Mau Mau “Kraft”
Mau Mauは、初期DAFのメンバーのG/VoのWolfgang SpelmannsがDAF脱退後に作り、ベースのMichael Kemnerもついてきましたが、本作発表後、彼は脱退。やや実験的なインスト曲やダブ処理、ヴォーカルと言うよりヴォイス的、効果的なシンセ。単なるNDWじゃ収まらない前衛的ロックを実践していました。この後、日本のSuezan Studioが他の音源をコンパイルしてリマスターした再発ダブルLP(この再発盤に付いてる7㌅はめちゃくちゃカッコいい)も出ていますが、こちらは本物のオリジナル盤です。因みに、この時のメンバーは、Wolfgang Spelmanns (Vo [A3, A5, B3, B5], G [A1, A3-A6, B1-B4], B [B5]), Fredy Heimermann (Vo [A2, A3, A5, B3, B4], Synth [A1, A3, A4, A6, B1, B2, B4, B5], G [A2]), Michael Kemner (Vo [A2, A4, B3], G [B5], B[A1-A3, A5, A6, B1-B4]), Lorenz Altendorf (Drs)の4人です。 A1 “So Weit Die Füße Tragen” (3:20) A2 “Auf Der Jagd” (3:30) A3 “Geradeaus” (3:52) A4 “Alles Lüge” (2:58) A5 “Rhythmus Der Trommel” (2:20) A6 “MM Dub” (2:38) B1 “Mau Mau” (3:10) B2 “Abenteuer Im All” (3:52) B3 “Kampfjacken” (2:26) B4 “Wie Ein Mann (Benimm Dich)” (4:38) B5 “Dondola” (2:31) https://youtu.be/aKOBOqxiyxM?si=cU51bh1aIbOxfZYx #MauMau #Kraft #Polydor #GermanNewWave #NeueDeutscheWelle #WolfgangSpelmanns #FredyHeimermann #MichaelKemner #LorenzAltendorf #DeutschAmerikanischeFreundschaft
Neue Deutsche Welle (German New Wave) POLYDOR 不明Dr K2