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Michael Ranta “Yuen Shan”
今回は、米国生まれの独逸在住パーカッショニスト、Michael Rantaを紹介します。その中でも、彼のソロ名義のアルバムとしては3枚目”Yuan Shan”を紹介します。それで彼のバイオグラフィーですが、元々は、ミネソタ州Duluth生まれで、1960年〜1967年ではイリノイ大学で、打楽器についてはJack MackenzieとThomas Siweに師事し、作曲についてはLejaren HillerとHerbert Brünに師事していました。その後、Rantaは1967年〜1970年に、独逸Kölnで、Mauricio Kagel, Helmut Lachenmann, Josef Anton RiedとKarlheinz Stockhausenの元で働いています。その時に、1970年に開かれた大阪万博でStockhausenの曲で参加しています。翌年には、日本のNHK電子音楽スタジオでも働いていました。その後、1973年〜1979年には台湾に住んでおり、芸大よりの依頼で、Gwang-renアカデミーで音楽史学の教授になっています。そこで、長い年月(40年以上?)をかけて、”Yuen Shan (Round Mountain)”の打楽器と8チャンネルテープの為の作曲に取り掛かります。その後、1979年にRantaは、Kölnに戻り、打楽器アンサンブルTransitを結成し、翌年には、ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習会を開催し、更に1981年にはケルン打楽器フェスティヴァルも開催しています。また、一方では、KölnのTanzforumやUrania劇場でも働いており、1989年には、Ulmer劇場のバレエアンサンブルの為に”Die Mauer (The Wall)”と言うバレエ曲や、Jaroslav Poncarsの映画”Tibet”にも”Ton zum Himmel (Gate for Sky)”と言う曲を作曲しています。また、1989年には、ケルン・ドームの750年記念式典での、Günther Oellersの曲”Die Steine der Singenden (Singing Stone)”にも出演しています。 それで本作品”Yuen Shan”ですが、実はこの曲は、2005年に、Rantaは、Cabaza Percussion Quartetと共にCDで音源を残しています(私は未聴)。また、前述のように、この作品は、1972年に着想を得て、完成するのが2014年と言うもので、大きく4曲(“Yin‐Chu”, “Gu‐Luan”, “I‐Shr”, “Li‐Huai”)から構成されています。それで、Ranta自身はガチガチの即興音楽家ではなく、元々はきちっとした作曲をやる方でもあるので、一聴すると即興演奏のようにも聞こえますが、そこは間違えないで下さい。また、本作品では、鳴っている音が、生のパーカッションの音か?予め録音した「音素材」か?分からないようにも感じますが、恐らくは、予め録音されていた音素材の方がメインなのではないでしょうか? A面はいきなり無音から始まりますので、聴いていて不安にもなりますが、様々なパーカッションを使って、彩り取りな音風景を紡ぎ出しています。個人的には、C面の”I-Shr”が好みですねぇ、最後にちょっとしたアクセントもありますし。そんなRantaのソロ作品ですが、気になる方は一度お聴きすることをお勧めします。因みに、Metaphonは、ベルギーの音響系ノイズの重鎮Timo Van Luijkが2007年から運営しているレーベルで、要注目です❗️ C面”I-Shr” https://youtu.be/6RA90X_-wAs #MichaelRanta #YuenShan #Metaphon #ModenClassic #Experimental #Percussionist #Percussions #FieldRecording #Composition
Modern classic / Experimental Metaphon 不明Dr K2
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Jan Bruyndoncjx “Rails and Other Tracks”
このアーティストは全然知りませんでした!そのアーティストとは、ベルギーのJan Bruyndoncjx(何と読むのかも解りません。誰か教えて❗️)のことです。視聴して気に入ったので、即、購入しました!もう謎だらけの人で、1926年生まれの1999年死亡のベルギー人としか記載がありません。このレコードが無ければ、完全に時代の闇に埋もれていた位の「謎」です。なので、バイオグラフィーは省略しようと思いましたが、裏ジャケに経緯などが載ってましたので、そこから和訳・要約して書くことにします。それで本作品ですが、同国のMetaphonがこのアーティストを掘り起こしたもので、彼の曲をコンパイルしたアルバムとなっています。そしてその内容はと言うと、Janが色んな所でフィールドレコーディングした音源や会話やモノローグのような音源から成るオープンリール音源を1958-1965年に継ぎ接ぎして録音したコラージュ7曲を収録しています。どれも、今ならPCで簡単に出来ることを黙々とテープを弄って作り上げただけでも凄いと思いますが、何よりも、テープ加工の技術やコラージュの感覚が抜群に秀でていて、今でも充分通用すると言っても過言ではないです。特にA-1”Rails”の完成度は高いんですが、何故か、Chris WatsonとDD.RecordsのT.Kamadaさんとダブります。1950年代と言うのは色々な技術が発展した時代で、例えばPierre Schaefferがミュージック・コンクレートをやり始めており、またブリュッセルで行われたExpo58では音楽の技術的側面の発展も行われていました。そのExpo58では、蘭の企業Philipsが自社のパビリオンで流す音楽をIannis XenakisのLe Corbusierに頼んだりしていました。それは ”Gesammtkunstwerk”と呼ばれていました。一方、この時期の音楽的新技術として、安価なテープ・レコーダーとテープ(多分、オープンリールのこと)の開発・普及が行われたと言うことです。それによって人々は色んな音、ラジオやテレビの音や音楽等を簡単に録音出来るようになった訳です。それによって、テープの加工(コラージュ、ループ、逆回転、速度の調節など)が考え出され、テープ音楽がより身近なものになってきたと言うことです。そして、Janは自分のことを音楽家だとか作曲家だとは言っておらず、寧ろ、ベルギーの工場で化学を学んでたらしいです。そして、彼も磁気テープを用いて「サウンド・ハンター」として、周りにある色んな音や音楽を録音しまくり、彼自身のサウンド・ライブラリーを作り上げ、自宅スタジオを持ったと言う経緯です。A-1”Rails”は、この題名通り、彼が興味を持った鉄道や列車或いは駅での音を用いて、様々なテープ加工を行って作り上げた最初の曲で、この作品をもって、彼は国内外で数々の賞を受賞します。また、1950年終わり頃には、G58と言うヴィジュアル/ワード・アーティストの集まりやNationale Filmgroep 58と言った映画関係の集まりがベルギーのAntwerp周辺で結成され、Janはそれらの団体でレクチャーもしてます。特に映画関係の仲間であるRik KuypersやJos Pustjens、Louis Van Maelderには楽曲の提供をしていますし、またベルギーの詩人で音響詩もやっているPaul De Vreeとも共作をしています。そう言うこともあって、彼が楽曲提供した映画も数々の受賞をしています。そして1969年にJanは自宅スタジオをより本格的なものにして、テープ加工のHi-Fi化を試みています。とまあ、ザッと彼のバイオグラフィーはこんな感じですね。多分、彼の様なアマチュアでコアなミュージシャンって沢山いるのだと思いますが、それをできるだけ救ってあげるのも、レーベルの仕事の一つですね(Metaphon、いい仕事してます!)。と言う訳で、初期のテープ音楽に興味のある方は是非とも聴いてみて下さい!内容は押して知るべし❗️ YouTubeには無かったのでBandcampで! https://metaphon2.bandcamp.com/album/rails-and-other-tracks #anBruyndoncjx #RailsAndOtherTracks #Metaphon #TapeMusic #Collage #MusiqueConcrete #Belgium #Rails Expo58
Experimental music (tape music) Metaphon 4027円Dr K2