-
Stephen Mallinder “Pow-Wow”
Stephen Mallinderと言えば、ご存知、Cabaret Volaire (キャバレー・ヴォルテール、略称Cabs[キャブズ])のVo/Bとして長年活動してきましたが、最近、Cabsを脱退して、Phil Winter及びBengeと共にWranglerを結成しています。彼は、そう言ったグループ活動と並行して、ソロとしても活動しています。今回は、彼のソロアルバムとしては一番古いアルバム”Pow-Wow”を紹介したいと思います。Cabsについては既に書いていますが、Mallinderについてのバイオグラフィーは書いていませんので、ここで、改めて書くことにします。 Stephen Mallinderは、英国シェフィールドで1955年1月1日生まれで、1973年にCabaret VoltaireをRichard H. KirkとChris Watsonと共に結成し、Western Worksにて様々な音楽的実験を試みたおり、Cabsとしては30枚以上のアルバムをリリースしています。1995年に豪州に移住し、10年間そこで暮らしています。1996年には、Pete Carrolと共にOffWorld Soundsを運営し、Western AustraliaのMurdoch大学で、論文”Movement - Journey Of The Beat”を執筆し、博士号を取得しています。その後、英国に戻りBrighton大学で教鞭を取る傍ら、Phil Winter及びBengeと共にWranglerを結成して、未だ現役のミュージシャンでもあります。もう少し、詳しく書いておきますね。Mallinderは、Cabsと並行して、1980年代には、既にソロワークも始めており、その中には、本作品でもあるアルバム”Pow-Wow”も含まれています。1988年にはSoft Cellのメンバー達と、Love Street名義で録音も行っており、1989年には、MinistryのAl Jourgensen達とのバンドAcid Houseのメンバーでもありました。ちょっと話しが前後しますが、1982年に、英国初の自主制作ビデオレーベルDoublevisionをRichard H. Kirkと設立し、1990年には、そのビデオレーベル関係のレコードレーベルPlastex Recordsも始めています。その後、豪州に渡ってからは、Ku-Ling Bros.やSassi & Loco名義での作品のリリースの為、1998年に、Off World Sounds/Productionsも始めています。Mallinderは、豪州に渡った時には、音楽ジャーナリストとしても働いており、Ministry Magazine, Sunday Times, The West Australianに音楽記事を書いていました、また、コミュニティ・ラジオRTRFMのプレゼンテーターやプロデューサーも務めています。また、2000年代になると、本の執筆も手掛けるようになります。例えば、2013年に発刊された、Benjamin Halligan, Nicola Spelman, Michael Goddard編集の書籍”Resonances: Noise and Contemporary Music”でも1章執筆していますし、同年、S. Alexander Reed編集の本”Assimilate: A Critical History of Industrial Music”では、表書きも書いています。後、博士号については、前述の通りです。それで、最近の音楽活動ですが、まず、Fila Brazilliaの片割れのSteve ConnyとHey, Rube!名義で録音開始、2012年10月にファースト・アルバム”Can You Hear Me Mutha?”をリリース、Ku-Ling Bros.のファースト・アルバム”Creach”が2001年に米国でリイシューされ、その後、2010年にアルバム”Here Come the Astronauts”をリリースしています。2014年2月には、プロデューサー兼リミキサーDub Mentorとのコラボシングル”Obsession”をリリース、これにはCabsの曲も収録されています。また、先述のように、Phil WinterとBengeとWrangler名義で、3枚のアルバム” LA Spark” (2012年), “Sparked” (2014年), “White Glue” (2016)を出しています。また、2014年には、地元SheffieldのバンドClock DVAとIn The Nurseryのメンバーと一緒にIBBERSON名義でのパフォーマンスも行っています。そうして、2019年には、再びDub MentorによるAnna Dominoの”Lake”のスポークン・ワード・ヴァージョンのシングルを作成しており、まだまだ、彼の活動は衰えないようです。 以上が、Stephen Mallinder個人の活動歴なのですが、本作品”Pow-Wow”は、ソロとしてのファースト・フルアルバムに当たる訳で、ゲストには、Alan Fisch (Drs)とLast Few Days (Daniel Landin, a.k.a. D. Styme, Si Joyce, a.k.a. Si Gross, Keir Wahid, a.k.a. K. Warhead & K. Fraser)の3人が参加しています。内容は両面とも6曲ずつで、リリースは、当時、この界隈で人気のあったレーベルFetish Recordsからです。それでは、各曲についてご紹介していきますね。とは言っても、1分前後のインターバルな曲も入っていますので、実質的な曲としては合計8曲と考えてもらって構いません。 ★A1 “Temperature Drop” (5:02)は、リズムマシンとスチールドラムと簡素なBから成るダブ的ミックスの曲で、時に聴こえるVoやノイズが何とも不穏でダークな雰囲気が、初期Cabsっぽいです。 ★A2 “The Devil In Me” (5:01)は、バシャバシャしたリズムマシンとスラップ奏法のBに、シンセやG、不可聴なVoが挿入されるジャンク・ファンクな曲です。 ★A3 “0.58” (0:58)は、ヨレヨレのパルス音とホワイトノイズのスネアから成る小曲です。 ★A4 “Pow-Wow” (3:23)は、リズムマシンのキックとPercが引っ張っていく曲ですが、エフェクターを掛けたBもシンプルなリフを重ねています。トランペット音の残骸等も挿入されていますが、これらは多分サンプリング? ★A5 “Three Piece Swing” (2:52)は、ノリの良いリズムマシンに、テープ音やB等から成る曲ですが、Gのカッティングも入っているのかな? ★A6 “Cool Down” (3:55)は、音色がもろCabsのリズムマシンで、そこにシンプルなBやノイズが纏わりついていくます。これもCabsっぽい曲です。 ★B1 “1.37” (1:37)は、笛(?)の音のループに打楽器のループが重なっていきます。 ★B2 “In Smoke” (3:37)は、四つ打ちキックに上物(ブラスや打楽器、Vo等)が乗っていく曲で、いつの間にか”not funky”なBも加わってきます。 ★B3 “1.59” (1:59)は、金属を擦るような微音ノイズから成る小曲です。 ★B4 “Length Of Time” (6:05)は、シンセで作った機関車のようなリズムとシンセのリフで持って行くような曲で、まるで除雪車が走っているような曲で、段々と盛り上がっていきます。 ★B5 “1.34” (1:34)は、テープ音とワイヤーの音(?)のループから成る小曲です。 ★B6 “Del Sol” (5:36)も、Cabs直系のリズムで、簡素なBとGも初期Cabsっぽいですが、割とGがコードをちゃんと弾いてますし、Voも聴こえる方ですが、その分、首を絞められそうな音楽になっています。 と言う訳で、Stephen Mallinderのソロ第1作目ですが、Voの無い、初期Cabsの鬱々としたマシン・ミュージックをそのまま受け継いでいるようにも思えますね。しかしながら、本作品の方がヴァリエーションが豊富で、自由度も高いと思います。まだ、後のエレクトロ・ファンクな面は見せていませんが、それでもちょこっとだけ、その片鱗も伺えます。Cabsの”Voice Of America”辺りが好きな方ならきっと気に入るでしょう!それにしても、Mallinderの創作意欲は衰えを知りませんね。 https://youtu.be/hp4DT4d1mfA?si=r3StdBvwMjv2myc4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mjFyGgTRLdWtoCm4vqsb6CMNWrWnY9nFk&si=a6cIwjdbBboRsX0b #StephenMallinder #Pow-Wow #FetishRecords #FirstSoloAlbum #日本盤 #CabaretVoltaire #Wrangler #Industrial #LeftField #Electro #Guests #AlanFisch #LastFewDays
Industrial / Left-Field Funk / Electro Fetish Records 不明Dr K2
-
Snatch “Shopping For Clothes”
皆さん、Snatchって覚えていますか? NYCのパンク・ガールズ・デュオで、Judy NylonとPatti Palladinが1980年代初頭にやっていました。私自身も、高校生か大学生の頃に、Snatchの名前は聞いていたのですが、実際の音楽を聴いたことがありませんでしたので、今回、偶々入手した12㌅EPを紹介したいと思います。 先ず、Snatch(と言うか、彼女らそれぞれの)のバイオグラフィーを書いておきます。Judy Nylon (本名Judith Anne Niland)は、米マルチメディアアーティストで、1970年にLondonに行っていますが、1970年半ばには、米国Patti PalladinとパンクバンドSnatchを結成しています。Nylonは、当然、NYCとLondonのグラムロック、パンク、No Waveの影響を受けていましたが、彼女自身はそれらを録音してはいません。しかし、1982年に、彼女はAdrian Sherwoodとの共作アルバム”Pal Judy”を出して、話題になっています。一方、Palladinは、Nylonのアルバム”Pal Judy”に、"Trial by Fire"と言う曲を共作して、自身のバックバンドCrucialで参加もしています。そんなSnatchは、実は英国音響仙人Nurse With Woundのナース・リストにも関わっており、NWWの1980年のアルバム”To the Quiet Men from a Tiny Girl”のアートワークの一部を担当しています。Snatchは、1978年に、Brian Enoとの共作曲”R.A.F.”をEG Recordsのコンビ・アルバム”First Edition”に提供していますが、この曲にはバーダー・マインホフ(独逸赤軍派)の身代金要求メッセージがカットアップして使われています。また、Nylonは、Brian Enoの曲”Back In Judy’s Jungle”のモチーフにもなっており、Enoの1974年のアルバム” Taking Tiger Mountain (By Strategy)”からの抜粋”China My China”でも彼女が歌っているビデオがあります。なお、Enoは、1975年作”Discreet Music”の裏ジャケに、アンビエント・ミュージックの確立に影響を与えた人物の1人としてJudy Nylonを挙げています。一方、Palladinは、The HeartbreakersのJohnny Thundersとも関係を持っており、Thundersの1978年作ソロ・デビュー・アルバム”So Alone”と1985年作アルバム”Que Sera Sera”に参加、そして1988年ではThundersとPalladinはコラボ・アルバム”Copy Cats”をJungle Recordsからリリースしています。また、2人はFred Wise & Ben Weismanの”Craw Fish”のカバー曲を1984年に録音、オリジナルのレーベルPostcard Recordsとの和解後、Alan Horneが立ち上げたSwamplands Recordsからリリースしています。また、Palladinは、1980年辺りで、英国Flying Lizardsのメンバーになっており、1981年のアルバム”Fourth Wall”に参加しています。また、Palladinの曲”The Nuns New Clothes”は、London Recordsが1983年に出したコンピ・アルバム”The Batcave: Young Limbs And Numb Hymns”に収録されています。一方、Nylonの方は、1970年代には、VelvetsにいたJohn Caleとコラボしており、1974年には、Caleのソロアルバム”Fear”の中の曲”The Man Who Couldn't Afford to Orgy"にスポークンワードで参加、ライブや他の録音にも参加しており、Caleの1987年作のライブアルバム”Even Cowgirls Get the Blues”にも参加しているのが確認できます。また、PalladinとNylonは、Johnny Thundersの1978年の初期のライブで、バッキング・ヴォーカルをやっています。 とまあ、Judy NylonとPatti Palladinは、それぞれ重要な場面で登場し、活躍している訳ですが、肝心のデュオSnatchに関しては、今一つよく知られていませんし、録音物も多くはありません。唯一のセルフタイトルのアルバムは、1983年にPandemoniumからリリースされています。また、シングル/EPは長い活動歴にも関わらず3枚だけです。その中で、今回、ご紹介する12㌅EPは、先述のように、John Caleのプロデュースで録音されています。そして、A面は、LAのドゥアップ・グループThe Coastersの曲のカバーで、B2では、Brian Enoとの1978年共曲”R.A.F.”に使用したヴォイス・サンプルを流用しており、その最後はロックト・グルーヴとなっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A “Shopping For Clothes” (5:16)では、原曲の断片をサンプリングしてバックトラックを作り、2人(メインはJudy Nylon?)がスポークンワードっぽく歌うと言う曲で、それにGノイズやフリーキーなSaxを少し加えて、異形の「ジャズもどき」な曲に再構成しています。 ★B1 “Joey” (3:12)は、コンガとエレピらしき音によるエスニックなリズムに2人が歌っている曲になっていますが、何故か「似非エスノ」な臭いがします。 ★B2 “Red Army” (4:49)は、四つ打ちキックとファンクっぽいBに、バーダー・マインホフの録音や2人による朗読が乗り、更にシンセらしき電子音やGノイズが挿入される曲で、個人的には、吉野大作&プロスティテュートの名曲”M.U.R.A.”との差異が興味深いです。 何となく、No WaveとNYCの狂気(これはJohn Caleによるものか?)が混ざった、とんでもない音源だと感じました。素っ気ないジャケも余計に拍車をかけています。勿論、B2の政治的アウト感もそうなんですが、A面のサンプリングを上手く使った「似非ジャズ」への変換/ カバーが素晴らしく、全く原曲を感じさせない極めて冷徹なノリに感動すら覚えました!こりゃあ、LPも買わなきゃだな。 https://youtu.be/FCHrW2R4FGc?si=m6mJVr_B2SXkgs8P #Snatch #ShoppingForClothes #Joey #RedArmy #FetishRecords #1980年 #12inchEP #NewYorkUnderground #Experimental #NoWave #PseudoJazz #PseudoFunk #GirlsDuo #PattiPalladin #JudyNylon #Producer #JohnCale #TheCoasters #CoverSong
Experimental / No Wave Fetish Records €12.00Dr K2
-
Bush Tetras “Things That Go Boom in the Night / Das Ah Riot”
James Chance & the Contortionsで、スライド・ギターを担当していたPat Placeが、The Contortions脱退後、結成したのが、このBush Tetrasです。その時期、私はスライドギターだけしか演奏できなくてバンドなんか出来ないだろうと勝手に思い込んでいて、全然興味が湧かなかったんですよ。時を経て、AppleMusicでアルバムを聴いて、ビックリしました!「ちゃんとギター、弾けるやん❗️と。先ずはバイオグラフィーを簡単に。初めにBush Tetrasは1979年にNYCで結成されたポストパンク或いはアヴァン・ファンク・バンドです。彼等の作品として一番有名なのは、シングル曲”Too Many Creeps”で、このギザギザしたリズム、薄く切るようなギター、ぶっきらぼうなVoに特徴付けられます。メンバーは、Cynthia Sley (Vo), Pat Place (G), Laura Kennedy (B), Dee Pop (Drs)で、最初期には、Adele Bertei (Vo)とJimmy Joe Uliana (G)も居たようです。勿論、PlaceはThe Contortionsのオリジナルメンバーであったので、Bush Tetrasは真面目にやっていませんでした。まあ適当にダラダラやっていただけです。それで、名前の由来ですが、可愛らしいアフリカ人のことを”bush babies”と呼んでいたことと、ある種の魚を”neon tetra (その他の地域では違う読み方もあったらしい)”と言う名前を繋げて、Bush Tetrasとバンド名にしたとのことで、何かトライバルな雰囲気がら気に入って、その名前にしたらしいです。バンドのデビューは、1980年に99 Recordsからリリースされた7㌅EP “Too Many Creeps”で、ビルボードチャート・クラブプレイ部門で57位となります。その後、本作品でもあるシングル”"Things That Go Boom in the Night"が英国レーベルFetish Recordsより、1981年にリリースされ、英国インディーチャートで43位になっています。その後も、そこそこの人気を得て、レコードを出していきますが、1983年にKennedyとPopが脱退し、代わりにBob Albertson (B)とDon Christensen (Drs)がすぐに加入しますが、直ぐにバンドは解散してしまいます。1989年に、ROIRがライブ・カセット・アルバム”Better Late Than Never (Original Studio Recordings 1980-1983)”をリリースしています。その後、彼女たちは再結成をして、活動を復活させていますが、ここではその辺りのことは省略させて頂きます。 ちょっと長くなりましたが、彼女らの活動は上記の通りです。それで、彼女らのセカンド・シングルが本作品になります。A面”Things That Go Boom in the Night” (通称Boom”)もBメンバー”Das Ah Riot”も全盛期の彼女らのタイトでカッコいい曲になっています。跳ねるように前のめりになるタイトなリズムを保ちつつ、ギターがその隙間に切り込んで、沢山の刀を振り回すようなサウンドと物憂げと言うか突き放した感じのクールなVoのコンビネーションがめちゃくちゃカッコいいです。カウベルのようなパーカッションもポイント高いです。個人的にはB面の曲の方が好みですが、今度は何とかアルバムを手に入れたいところですね。もし、このシングルを見つけたら、即購入ですよ❗️ “Das Ah Riot” https://youtu.be/k01s8kAFXbA #BushTetras #ThingsThatGoBoomInTheNight #DasAhRiot #FetishRecords #Ex-TheContortions #PatPlace #CynthiaSley #LauraKennedy #DeePop #NoWave #Avant-Funk
No Wave / Avant-Funk Fetish Records 1800 円Dr K2
-
Clock DVA “Thirst”
またまた、発掘しました、Clock DVA (これは「クロック・ディーヴイ・エー」なのか?「クロック・ドヴァ」なのか?悩む)の当時、初のヴァイナルでのアルバム”Thirst”です。Clock DVAは1978年にAdolphus “Adi” NewtonとSteve “Judd” Turnerによって英国Sheffieldで結成されたグループで、インダストリアル〜ポストパンク〜EBMと言う風に変わっています。そのバンド名は小説”A Clockwork Orange”のClockとロシア語で「2」を表すDva と言う単語から来ています。それでは恒例のバイオグラフィーを。AdiはThe Studsと呼ばれる集団でCabaret Voltaireのメンバー達とコラボしていたり、まだ、The Futureだった頃のIan Craig MarshとMartyn Wareとも共同作業をしています。その中から1978年にJudd Turner (B), David J. Hammond (G), Roger Quail (Dr), Charlie Collins (Sax, Clarinet)とで、Clock DVAを結成します。最初、バンドは、テープループやEMS Synthi Eを用いた実験的電子音楽をやっており、所謂、当時のインダストリアル・ミュージックと関係がありましたし、実際、1980年には、T.G.のレーベルIndustrial Recordsよりカセット作品をリリースしています。Paul Widgerがギターて加入し、本作品である”Thirst”をFetish Recordsよりリリースし、当時の音楽誌は割と良い反応を示します。英国インディーチャートでも、Adam and the Antsを蹴落として、トップに立ちます。しかしその頃は、バンドの方は、musique concreteと典型的なロックの演奏との融合を模索したいます。このアルバムからシングルカットされた”4 Hours”は後にBauhausのDavid Jのソロアルバムにもカバーされています。しかしながら、1981年にバンドは分裂。非オリジナルメンバーのRodger, Charlie, PaulはThe Boxを結成します。なお、Juddは1981年9月にドラッグのオーバードーズで亡くなっています。1982年にAdiは、Siouxsie &The BinsheesのJohn Valentine Carruthersと共同作業で、大手のレーベルPolydorと契約し、1982年に、DVAの名義でシングル”High Holy Disco Mass”を、EP”Passion Still Aflame”をリリース、その後に、Clock DVA名義でアルバム”Advantage”を作製、リリースします。このアルバムも音楽誌レビューても大好評でした。1983年に欧州ツアーを行いますが、バンドはマジで解散してしまいます。それで、AdiはAnti-GroupやT.A.G.C.を結成し、初期のClock DVAを想起させる実験的アルバムを数枚出します。1987年に、Adiは新しいClock DVAを結成して、更にPCを導入し、電子音楽へと傾倒していきます。それが1989年にリリースされた”Buried Dreams”であり、この頃既にサイバーパンクなジャンルに入っています。今回のバイオグラフィーはここら辺までにしておきます。 それで、本作品”Thirst”についてですが、思ってた以上にアヴァンギャルドですね。所謂、ポストパンクとインダストリアルを繋ぐミッシング・リンクと言えますね。リズム隊はドコドコしていて、ポストパンク的ですが、上物はフリーキーなサックスやギターが聴くことが可能です。また、マントラのようなヴォーカルも怪しくて最高です。またテープループのような音もあり、上手く、楽曲に溶け込んでいます。ここら辺は狙っていたところでしょうね。A2”Sensorium”はどうしても、後のCabsの名曲”Sendoria”に聞こえてしまいます 苦笑)。曲調がどうしても「陰」なので、ネガティブな印象を持つかも知れませんが、1981年のことを考えると陽気なパンクよりも、こちらの音楽がリアルに聞こえます。なので、皆さん全員にお薦めはしませんが、この頃の音楽、或いはClock DVAに興味のある方は聴いてみた方が良いでしょう!因みに、裏ジャケにはT.G.のGenesis P-Orridgeが文章を寄せています。 [full album] https://youtu.be/KMoG2ztwzps #ClockDVA #Thirst #FetishRecords #PostPunk #AvantRock #AdiNewton #JuddTurner #Industrial #GenesisP-Orridge #CaberetVoltaire #TheFuture
Post Punk Fetish Records 不明。Dr K2