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Buzzcocks “Another Music In A Different Kitchen”
またまた来ましたよー、今回は、Buzzcocksのフルレングスとしては、ファースト・アルバムである”Another Music In A Different Kitchen”をご紹介します。Buzzcocksのバイオグラフィーは、以前に書いてありますので、知りたい方は前回をご参照下さい。一応、最低限の知識として、Buzzcocksは、英国マンチェスター出身のパンクバンドで、元々はPete Shelley (G)とHoward Devoto (Vo)を中心に、Sex PistolsのUKツアーを観た2人が感銘を受けて、1976年に結成しています。その後、Devotoは脱退して、Magazineを結成します。まあ、そんな感じで、Buzzcocksの方は、Shelleyを中心にメンバーをリクルートしたり、パートをチェンジしたりして、1977年8月16日(Elvis Presleyの命日)に、マンチェスターのElectric Circusにて、United Artists Recordsと契約しています。彼等は、他のパンク・バンドと違い、社会的問題を扱った歌詞ではなく、まあ所謂若者達自身のこと、特に色恋沙汰についての歌詞が多かったこともあって、一部のパンクスからは毛嫌いされていたらしいです。ただ、それも、Shelleyのジェンダーの問題とも関係していたらしいですが。それで、1977年11月4日に、デビューシングル”Organism Addict”をリリースしましたが、ジャケのデザインの良さで、注目されました。しかし、ラジオ局のBBCは、歌詞が余りに性的過ぎるとの理由で放送禁止にしています。この時に、ベースのGarth SmithことGarth Daviesが脱退し、代わりにSteve Garveyが加入しています。そうして、1978年2月3日に、セカンド・シングル”What Do I Get?”をリリースしており、このシングルは、Guitar Hero: Warriors of Rockと言うゲームや映画Ghost Worldに用いられています。それで、やっと、彼等のファースト・アルバムでもある本作品”Another Music In A Different Kitchen”を1978年3月10 日にリリースしています。ただ、曲は、Devotoが在籍していた頃の曲もあり、クレジットとして名前が載っています。参加メンバーは、Pete Shelley (Vo, G), Steve Diggle (G, Vo), Steve Garvey (B), John Maher (Drs, Vo)で、ペースだけはちょっと前のメンバーですね。また、このアルバムは、後に、Robert Dimery編集の書籍”1001 Albums You Must Hear Before You Die (死ぬ前に聴きたいアルバム1001枚)”にも入っています。まあ、それは置いておいて、本作品(A面6曲/B面5曲)の各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Fast Cars” (2:07)は、初っ端からアップテンポのソリッドなポップ・パンクな演奏で、血湧き肉躍りますね。タイトルは何かスラングなのでしょうか? ★A2 “No Reply” (2:07)も、アップテンポのポップパンクな曲で、これまたカッコ良いです。ShelleyのVoの声質がまた癖になりますね。 ★A3 “You Tear Me Up” (2:32)も、またまたアップテンポで、その性急さが如何にも1970年代のパンクっぽいですが、演奏自体はタイトでソリッドです。 ★A4 “Get On Our Own” (2:31)でも、ドタドタしたDrsを中心にタイトかつアップテンポでパンキッシュな演奏で、ShelleyのVoもGソロもカッコ良いです。 ★A5 “Love Battery” (2:16)も、アップテンポなパンキッシュな曲で、Gのコードの刻み方も魅力的ですね。あのグランジ・バンドはここからバンド名を取ったのかな? ★A6 “Sixteen” (3:50)は、テンポは早いのですが、6/8拍子で、リズム隊は独自のアレンジが施された曲になっており、間奏部分は何でもありになってしまいます。 ★B1 “I Don't Mind” (2:20)は、ややテンポダウンしていますが、コーラスワークも含めて、イカした演奏で、痺れますね。 ★B2 “Fiction Romance” (4:38)は、やや早めのミドルテンポで、ザキザキとリズムを刻むGとリズム隊が非常にカッコ良く、ShelleyのVoも冴えています。 ★B3 “Autonomy” (3:52)も、やや早めのミドルテンポのリズムGの刻みで走る曲で、VoやリードGもイカしてます! ★B4 “I Need” (2:50)も、テンポの速いアップビートの曲で、コーラスワークもバッチリで、タイトかつソリッドな演奏を聴くことが出来ます。 ★B5 “Moving Away From The Pulsebeat” (5:40)は、タムを存分に使ったDrsのズンドコ・ビートなんですが、他の楽器が皆ソリッドな演奏なので、全然「失速感」は無いです。最後にちょっと◯◯があります。 総じて、このファースト・アルバムは、かなり「パンク」を意識したアップテンポの曲が多く、殆どが2分台の短い曲が中心に収録されています。それでも、A6やB5では単に3コードの8ビートからはみ出すような凝ったアレンジが成されており、恐らくはPete Shelleyのアイデアではないか?と想像します。あっと言う間に終わってしまいますので、もう一度聴きたくなりますね! あと、確かにShelleyの声質は独特なのですが、このファースト・アルバムではそれ程際立っていません。寧ろ、セカンド・アルバムの方が、その特異な声質が目立つ感じです。また、アルバム全体としては「パンク」なので、ここから入ったリスナーさんも多いのでは?と思います。Let's punk❗️ B1 “I Don't Mind” (live version) https://youtu.be/yzHEwX3d2AQ?si=kDA4XEfBthwhHUib [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLT02amAaNVD6EsyEa3dIZmXdHQGykF6zL&si=tSBAb7Z7Cl2G-mXN #Buzzcocks #AnotherMusicInADifferentKitchen #FanClub #UnitedArtistsRecords #Reissue #1978年 #Punk #PowerPop #FirstAlbum #Manchester #Bisexuality #LoveSong #SolidSound #HowardDevoto #Vocal #PeteShelley #SteveDiggle #SteveGarvey #JohnMaher
Punk / Power Pop Fan Club (United Artists Records) 不明Dr K2
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Buzzcocks “A Different Kind Of Tension”
また発掘しました。英国パンクロックの雄Buzzcocks (「唸るチ○ポ」と意?)のサード・アルバム”A Different Kind Of Tension”を紹介します。Buzzcocksは名盤セルフ・コンピ”Singles Going Steady”の方をCDで聴いていたのですが、アナログが欲しくなって、本作品を買いました。BuzzcocksのリーダーであったPete Shelleyのソロアルバムについては、今までも紹介してきましたが、Buzzcocks自体の紹介はまだしていないので、先ずはこちらのバイオグラフィーを書いております。このバンドを簡単に言うと、英国Boltonで、Pete Shelley(作曲, G)とHoward Devoto (作曲)によって、1976年に結成されたポップ・パンク・バンドで、マンチェスターの音楽シーン、特に自主制作、パンク、パワー・ポップに大きな影響を与えたバンドとなります。もう少し詳しく書きますね。Bolton工科大の生徒であったHoward Traffordは、Velvet Undergroundの”Sister Ray”が好きなミュージシャンを探しており、一方、同大のフェローのPeter McNeishはロックを演奏していましたが、その前には電子音楽も好きでした。そんな2人は、1975年末にドラマーを探し出して、Buzzcocksの元になるバンドを結成しています。1976年2月に彼らは正式にバンドを結成しており、その時に、ステージ名をMcNeishはPete Shelleyに、TraffordはHoward Devotoとしています。その時に、Buzzcocksを名乗るのですが、これは、Time Out誌に掲載されていたRock Folliesのタイトル”It’s the Buzz, Cock!”から取られています。Buzzとはステージ上の興奮を、Cockとは北英国のスラングで「友達」と言う意味らしいです。それで、2人は、Garth Davies (B)とBlack Cat BoneのMick Singleton (Drs)を誘って、1976年4月1日に大学で最初のライブを行います。NME誌でSex Pistolsの最初のライブの記事を読んだShelleyとDevotoはLondonまで出向いて、1976年2月のSex Pistolsのライブを観て、強いショックを受け、同年6月のPistolsのマンチェスター公演の時に、Buzzcocksもパンク・バンドにしようとしますが、他のメンバーは脱退してしまい、出演はできませんでした。しかし、その後、Steve Diggle (B)とJohn Maher (Drs)を誘い、Pistolsの2回目のマンチェスター公演では見事対バンをしています。同年9月に2日間に渡って開かれた100 Club Punk Festivalに出演する為に、バンドはLondonにまで行っています。同年終わりに、Buzzcocksは、自身のレーベルNew Hormonesから4曲入りEP “Spiral Scratch”を録音、リリースしており、自主制作としてはかなり早い方でした。しかしながら、Devotoは、パンクの方向性に不満であったことで、数ヶ月後にバンドを脱退し、その後、Magazineを結成しています。Shelleyはヴォーカルを全て担当するようになり、Steve Diggleは、ベースからギターに代わり、Garth DaviesことGarth Smith (B)が再加入して、1977年に9月のBBC Radio 1のJohn Peel Sessionに出演、予想外の大反響を呼びます。それで、彼等は、メジャーのUnited Artists Recordsと1977年8月16日に契約することになります。最初のシングル”Orgasm Addict”は、内容が性的に過激であった為、BBCでは掛けてもらえず、余り売れませんでした。これには、Shelleyのバイセクシャルな面とパンクに対する嫌悪感が関係しており、その後は、より曖昧な歌詞になっていきます。次のシングル"What Do I Get?"は英国トップ50チャートに入っています。3枚目のシングル"Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn't've)"は、1978年10月には、英国チャートで12位に達しており、TV出演や影響力も大いにありました。Buzzcocksの最初の3枚のアルバム”Another Music In A Different Kitchen”, “Love Bites”, “A Different Kind of Tension”はどれも英国トップチャート30に入っています。特に、彼等は、歌詞に米国の作家William S. Burroughsをしばしば引用しています。この時期に、Buzzcocksと並行して、Shelleyほより実験的なポスト・パンク・バンドThe Tiller Boysを、Garveyも1978年にThe FallのメンバーとThe Teardropsに加入して活動しています。しかしながら、Buzzcocksとしての4枚目のアルバムのデモを録音した後の1981年に、バンドは解散してしまいます。Shelleyはソロで、DiggleとMaherは新バンドFlag Of Convenienceを結成、Garveyも新バンドMotivationを結成し、後にBlue Orchidsに加入しています。1989年以降も、ShelleyとDiggleを中心に、Buzzcocksは何度も再結成されており、活動も活発になっていましたが、2018年12月6日にPete Shelleyが、エストニアのTallinnの自宅で、心臓発作で他界してしまいます。しかしながら、Diggleを中心に、BuzzcocksはShelley無しで活動を続けており、2022年には新録アルバムも出しています。今回の紹介はここまでとします。 それで、本作品”A Different Kind Of Tension”について紹介します。メンバーは、Pete Shelley (G, Vo, Kbd), Steve Diggle (G, Vo), Steve Garvey (B), John Maher (Drs)で、この時期が最もBuzzcocksらしいです。早いテンポの恐ろしくタイトなリズム隊とソリッド極まり無いギターワークに、Shelleyの高音まで出る独特の声質のヴォーカルが、このアルバムに収められています。また、大部分の曲は2〜3分ですが、B5 “I Believe”は7分もあったり、B6 “Radio Nine”は、ほんの41秒の曲ですが、セルフ・カバーをしています。また、コーラスの一部にヴォコーダーを使ったりもしており、単なるパンク/パワーポップとは違った一面も見せています。なお、プロデューサー兼エンジニアは、Martin Rushentです。両面6曲ずつ収録されていますが、先述の特徴はどの曲にもあり、極めてキャッチーで、ポップ・センスに溢れています。そう言った意味で、Buzzcocksの奇跡のバンド・サウンドが生まれたのだと思います。一方で、「パンクなら、愛とか恋とかを歌うな!」と言う否定的な意見もありましたが、これは、Pete ShelleyがバイセクシャルであったことやBurroughsからの引用があったこと等の背景を知らなかったのだと推測されます。各曲についてはそれぞれ解説はしませんが、とにかくカッコ良いサウンドなので、未聴の方はこの機会に是非とも聴いて欲しいですね❗️ノックアウトされるかも❓ A1 “Paradise” (2:23) A2 “Sitting Round At Home” (2:38) A3 “You Say You Don't Love Me” (2:55) A4 “You Know You Can't Help It” (2:22) A5 “Mad Mad Judy” (3:35) A6 “Raison D'Etre” (3:32) B1 “I Don't Know What To Do With My Life” (2:43) B2 “Money” (2:45) B3 “Hollow Inside” (4:46) B4 “A Different Kind Of Tension” (4:39) B5 “I Believe” (7:09) B6 “Radio Nine” (0:41) “Why She's A Girl From The Chainstore” single曲 https://youtu.be/Etw3KZuqpbc?si=Z7lcQey1L1SPuRXK [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLMxy067kbpQhsAITIWzeFT75tYsbFKUaW #Buzzcocks #ADifferentKindOfTension #UnitedArtistsRecords #FanClub #Punk #PowerPop #Manchester #Bisexuality #WilliamS.Burroughs #LoveSong #SolidSound #Vocal #PeteShelley #SteveDiggle #SteveGarvey #JohnMahero
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