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Sadie Sads “Box With Little Doll”
前回、ご紹介しましたSadie Sadsの唯一のアルバム”Box With Little Doll”を早速入手しましたので、ご紹介したいと思います。今回、彼等のバイオグラフィーとは大きな違いはありませんので、本作品に関しての情報だけ加筆しておきます。メンバーは、Sad (Vo), Igarashi (G), Kazumi (B), Kan (Drs)に加えて、Takeshi (Stage Visual)がクレジットされており、更に佐藤薫プロデュースとなっております。また、LP1(甲/乙)は両面とも45回転、LP2 C面(丙)も45回転ですが、D面は33 1/3回転となっており、かなり変則的な仕様です。また、ナンバリングはされていますが、限定品ではないようです(因みに、私が購入したのは、289と印字されています)。と言う訳で、早速、各曲を紹介していきましよう。 ◼️LP1: side A(甲)/side B(乙) ★A1 “Day Dream”は、悲鳴のようなGからメタパーの乱打、そして3拍子のリズムにSadの逆回転と正回転を混ぜたようなVoが呪文のように続き、時にサンプリング音も挿入され、エフェクトの掛け方が佐藤薫らしいなぁと思います。 ★A2 “Japana”は、割とストレートでノリの良い音作りですが、ドライブするBと引き攣るGが凄いです。サビでのDrsもロータム使って大迫力!Voのエフェクトも強烈です。 ★B1 “Junk College”では、エフェクトを掛けたミニマルなBを中心に、6/8拍子のドコドコしたDrsと延ばされたG、更には珍しく朗々と歌うVoが印象的ですね。 ★B2 “W.S.D.G.”では、パルス音から始まり、やがてリズム隊がTGの”Discipline”のように演奏し始め、そこにVoが乗ってきますが、コーラスも入ります。時々、演奏の逆回転も挿入。リズムとこう言うエフェクトは佐藤薫のプロデュース力かな?と。 ◼️LP2: side C(丙)/ side D[33 1/3回転] ★C1 “L.H.O.O.Q.も、メタパーも入れていますが、割と直球勝負なポジ・パン・サウンドに仕上がっています。Voは巧みな表現力はありますが、癖が強いです。後、バックのアフリカンな合いの手も高得点です! ★C2 “Glas Bruch”は、メタパーも入れてややアップテンポで走りますが、途中、拍子とリズム、更にはテンポまで変わってしまう所が、この曲のキモですね。 ★D1 “Psi-Tech House U.N.O.”は、変調VoとDrsとメタパーで始まり、Voと共に盛り上がっていく曲です。不明瞭なノイズも聴取できますが、Bの存在感が凄いです。最後は、かなり実験的で荒涼とした曲調になって終わります。 ★D2 “Holding Easy”は、左右にパンされた電子音に合わせて、曲が始まります。テープ音やメタパーも使われており、ダブ的な要素も伺えます。初期のNeubauten的でもありますね。 ★D3 “Ai Thought”は、逆にGとDrsを使った似非民族音楽らしき小曲です。 ★D4 “Box With Little Doll”は、やや複雑な間を持った曲で、これを演奏出来ると言うスキルも凄いです。曲自体はミニマルっぽいですし、編成も通常の楽器ですが、サビ前にブレイクの入れたりして、曲構成も見事です。 今回、2LPsを聴き通してみて、誤解を承知で言えば、所謂「インテリ・ヤクザ」のような立ち位置ではなかったのかなぁと想像します。と言うのも、特にノリが良いとか、カッコ良いリフがあるとかではなく、平気で実験的な領域に踏み込んでしまえる度胸が凄いです。音作りにも、このことは当てはまりますが、今回も一点だけ付け加えるなら、メタパーの音の録り方ですね。また、今回、プロデュースを佐藤薫がやっていることも、そう言った実験的領域への踏み込みに拍車をかけているようです。まぁそれは別としても、様々なアイデアと力量で曲を作り、完奏するSadie Sadsを応援したくなりました❗️もうNeubauten云々は言わせない! https://youtu.be/C-f_RBOiTHA?si=SHzu0SurOHqctHEr #SadieSads #BoxWithLittleDoll #WechselbalgSyndicate #TelegraphRecords #FirstAndLastAlbum #2LPs #45rpm #331/3rpm #PositivePunk #GothRock #Experimental #MetalPercussions #Sad #Igarashi #Kazumi #Kan #Producer #KaoruSato #StageVisual #Takeshi
Positive Punk / Experimental Wechselbalg Syndicate (Telegraph Records) 3840円Dr K2
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Sadie Sads “Angora”
私は、ここら辺の前後関係は良く知らないのですが、ちょっと何かの知識を聞き齧って、多少、興味を持ったので、当時、とりあえず買ってみた記憶はあります。そんなSadie Sadsのファースト・シングル”Angora”を今回は取り上げてみたいと思います。音は全然覚えていなかったので、今回、聴き直した訳です。先ず、Sadie Sadsについて調べてみました。Sadie Sadsは1982年に、Sad (Vo)を中心に結成され、メンバーは、Sad (Vo), Igarashi (G), Kazumi (B), Kan (Drs)で、Igarashiこと五十嵐義秀 (Yoshihide Igarashi)はこの前にはNubileに在籍していました。それで、彼等は一応、ポジ・パン(Positive Punk)に分類されるものの、やはり異端的な存在です。と言うのも、Voは創作言語による無国籍風唱法であり、また、日本のアングラ・シーンでいち早くメタル・ジャンク(又はパーカッション)の導入し、インダストリアルな硬質な音作りも特異でした。更に、ライブではスライドを用いての舞踏的な要素を取り入れており、単にポジ・パンに括れない存在だったそうです。そうして、1984年に、本作でもあるデビュー・シングル”Angora”を自主制作レーベルTelegraph Recordsの傘下のWechselbalg Syndicate (ヴェクセルバルク・シンジケート)よりリリース、翌年には、同レーベルからセカンド・シングル”Angora D.”と唯一のアルバム”Box With Little Doll”をリリースしています。その間にも、Sadie Sadsは、Auto-Mod主催のライブ企画「時の葬列」にも参加しており、その中で、ライブ企画”Bloody Valentine”での偶発的な事故による流血パフォーマンスを展開しており、今では伝説となっているようです。彼らの音楽性は徐々にダンサンブルなものへと変化していきます。そうして、1987年にはバンド名をSadsに改め、ホーンセクションを取り入れたファンク・サウンドへと変化を遂げますが、やがてバンドは終焉を迎えます。 以上がSadie Sadsのバイオグラフィーになりますが、本作でも、上記のメンバーで制作されています。プロデュースは、Auto-Modのマネージャー兼レーベルの共同創設者である宮部知彦 (Miyabe, Tomohiko)と彼等でやっています。それでは、本作の各曲をご紹介していきましょう。 ★A “Angora”では、まだメタパーは使われていないようですが、ドライブするリズム隊を含め、電線のようなGや創作言語を絞り出すように歌うVoも含めて、結構カッコ良いです。 ★B “Id”は、メタル・ジャンクのフリーな演奏とそのバックに咆哮のような音が鳴っていますが、途中から、通常のパンド演奏に変わり、トライバルなリズム隊とひたすらリフを弾き続けるGに、呪術的Voが良く映えるのですが、再び、最初のメタル・ジャンク演奏とバンド演奏が交互にカットアウト/カットインされており、興味深いです。 まぁ、A面は聴く分には、ポジ・パンと言っても、それ程的外れではないですが、個人的にはB面のメタル・ジャンク演奏とバンド演奏をポスト・プロダクションしている所に興味を持てました。私自身もメタル・ジャンク演奏はしていましたが、案外、メタル・ジャンクの音をそれっぽく録音するのは難しいんですよ。そこら辺がちょっと残念だったかな?とも思いますが、このバンドの先進性を感じることができました。今度は、LPボックス、聴いてみようかな? [full single] https://youtu.be/0VuGja8nk1g?si=Nh5lJSftxuP_eMED #SadieSads #Angora #Id #WechselbalgSyndicate #TelegraphRecords #FirstSingle #7InchSingle #1982-1985年 #JapaneseUnderground #PositivePunk #GothRock #Experimental #時の葬列 #MetalJunks #創作言語 #SlideProjector #Sad #Igarashi #Kazumi #Kan #Sads #TomohikoMiyabe
Positive Punk / Experimental Wechselbalg Syndicate / Telegraph Records 不明Dr K2