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輝安鉱(Stibnite)
輝安鉱(Stibnite) 組成:Sb2S3 産地:江西省(中国) 自動車のバッテリーなどに用いられるアンチモンの鉱石として最も重要な鉱物です。 一見すると強靭な刀や針のように見える結晶ですが、人間の爪で傷つき、蝋燭の火で溶けてしまいます。 かつては食器の材料として用いられたそうですが、この鉱物には毒性があり、使用していると食中毒を引き起こすシロモノだったそうです。 この標本は中国産ですが、日本でも各地で産出します。 特に愛媛県市ノ川鉱山は世界的に有名で、かつて日本刀のような見事な結晶を多く産出し、今でもコレクター垂涎の的となっています。しかし残念ながら、良品の標本はその多くが海外に流出しました。
乃木莞爾
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ベニトアイト(Benitoite)
ベニトアイト(Benitoite) 組成:BaTiSi3O9 産地:カリフォルニア(アメリカ) レッドベリルと並ぶアメリカ産レアストーンの代表格。 カリフォルニア州サン・ベニト鉱山ではじめて発見されたことからこの名前が付きました。 写真では少し分かりづらいですが、短波紫外線で蛍光がみられます。 美しい青色のものが多く、発見当初はサファイアと間違われたという話もあります。極稀にピンク色のものも産出するそうですが、未だお目にかかったことはありません。 日本でも新潟県糸魚川市で産出します。 この標本は原産地であるサン・ベニト鉱山のもの。 海王石(ネプネュナイト)を伴うことが多いそうですが、この標本には見られません。 #鉱物標本
乃木莞爾
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紅鉛鉱(Crocoite)
紅鉛鉱(Crocoite) 組成:PdCrO4 産地:タスマニア(オーストリア) 元素クロムの発見のきっかけとなった鉱物です。 鮮烈な赤が美しい結晶ですが、高い毒性で有名な六価クロムを含みます。 最初にロシアのウラル山脈で発見され、「シベリアの赤い鉛」と呼ばれました。 あまり耐久性のある鉱物とは言えないのですが、以前宝飾品の展示会でこの鉱物のファセットカットされたルースを見かけたことがあります。 写真の標本は6年ほど前にミネラルショーにて入手しました。劣化を防ぐため、遮光して保存しています。
乃木莞爾