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『ゑゐり庵綺譚 / 梶尾真治』《徳間書店》
徳間書店より1986年に発行された『ゑゐり庵綺譚(えいりあんきたん)』です。梶尾真治/著、カバー本文イラスト/米田仁士、A5版260頁。徳間文庫版も刊行されています。 “遠い宇宙を結ぶ特異空間アトランダム・ジャンクションの近傍に位置する交通の要衝・惑星ズヴゥフルⅤの宇宙港の片隅に店を開いている蕎麦屋<ゑゐり庵>を経営する地球人の末裔アピ・北川。初代が惑星ズヴゥフルⅤに播いて根付かせたそばの実を材料として、<ゑゐり庵>はソバ饅頭、ソバかき、ソバ練り、ソバ焼酎とそばに関するものは何でも商い、中でも麺のソバは掛け蕎麦、ざる蕎麦と銀河系ミシュラン・ブックの編集者も絶賛する名物として繁盛していた。 <ゑゐり庵>に蕎麦を求めて訪れる、様々な宇宙の人々、絶望的な戦争に向かうクローン兵士や奇妙奇天烈な宇宙グルメ探訪者に、謎の遺跡発掘者、セールスマンに大道芸人等々、アピ・北川はさまざまな客を相手にして、果ては店ごと宇宙軍に接収されて壮大な出前さえやらされる。” 映画『黄泉がえり』『この胸いっぱいの愛を』などの原作でも知られる、熊本県在住のSF作家・梶尾真治先生のユーモアとSF発想に満ち溢れた短編集です。ちょっと「白鹿亭綺譚」(画像3)の影響もあります。 #日本SF #ユーモアSF #梶尾真治 #徳間文庫 #徳間書店
書籍 徳間書店 980円Jason1208
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『UFOの嘘』志水一夫《データハウス》
1990年に(株)データハウスより発行された『UFOの嘘』志水一夫/著です。A5版251頁、ISBN4-9244421-97-6です。副題に「マスコミ報道はどこまで本当か?」とあります。 科学解説家、超常現象研究家の志水一夫氏[1954-2009]が、UFO研究につきまとう嘘や虚構を告発する意図で、“と学会”参加以前に執筆した本です。志水氏は非常に遅筆だったので、数冊しかない単独著者名義の一冊でもあります。 内容としては、発行当時盛んだったTVのUFO番組に対する批判、UFOディレクター・矢追純一氏に対する批判、「MJ-12」「UFO墜落事件」等々、UFO事件に対する文章を書いていた、故・中岡俊哉氏[1926-2001]に対する批判もされています。中岡氏の「この25年間で集めた、科学で説明できない事実は2万件以上」という豪語について、“一日8時間研究するとしたら、一件あたり3.6時間程度”と痛快な皮肉が書かれています。また、“国際ジャーナリスト”落合信彦氏への批判もあります。 志水氏は基本、超常現象のビリーバーなので、嘘をついて金儲けをしようとする輩が許せないという心情があるようです。今となっては、内容は古くなっていますが、古典的な名著だと思います。 ただ一つ、この本は装丁=カバーアートという概念が無いに等しいほど、酷いのが欠点ですね。 #UFO #オカルト #超常現象 #奇説異説 #大予言
書籍 データハウス 980円Jason1208