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絶望の奇盤 『貴様と俺』 社長たちの道楽歌唱自主製作アルバム
いろいろなレコードを手にしてきました。最高のも最低のもおびただしく。しかし古今東西、レコード溝に記録された歌唱で、聴く者をここまで脱力させ呆れさせ絶望の深淵に叩き落とすような録音は、他にちょっとないのではないか。正確にはわかりませんが、おそらく1971年ごろに有名・無名の当時の名物社長たちが集まって、存分に歌いまくる趣味で作ったレコードです。限定盤で2000部。それぞれ、社長たちは自慢の喉を披露しているのですが、71年、森山加代子のカムバック・ヒット「白い蝶のサンバ」を歌う方がいらっしゃいます。これがもう、ダントツの物凄さ、いくらなんでもこれはカッティングしちゃいけません。のレベル。Youtubeで探せば出てくるようですが。物事には「ホド」というものがあるだろうと、つくづくおもいます、たとえそれがシロートの自主盤にせよ。それほどの惨状なのです。しかし、だからこそ入手し爆笑せずにはいられないこの倒錯。笑。#森山加代子 #自主製作盤
歌謡曲 LP, Album 私家盤揖斐是方
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「リンゴ追分」と「金の指輪」 ニーナ・シモンの「リトル・ガール・ブルー」
1950,60年代には日本とアメリカのレコード会社で、互いの流行音楽の情報交換としてレコードを送りあっていたという話を聞いたことがあります。半世紀以上前ならばそれは容易に考えられるわけで、ただ、こちらは向こうのものを参考にしまくったはず笑なのに対し、向こうはこちらのものなどあまり役にたたなかったのではと思われますが。日本コロムビアから1952年5月に発売されたのが美空の「リンゴ追分」、対してニーナ・シモンのこの名作とされるファーストは、録音が1957年、リリースされたのが1959年。米国ベツレヘム・レーベルから。アール・バローズ(ジョージ・ストーン)作のPLAIN GOLD RING、邦題「金の指輪」が収録されています。この両曲が似ている。似ているというよりも、率直な印象は、やったなと笑。日本から送られてきたひばりの「追分」に大きくインスパイアされて書かれたのが「金の指輪」なのではないかと、日本の流行歌が先という、とても稀有な例として。但し、ベツレヘムというレーベルは当時の日本での配給はコロムビア系列じゃなくキングがどこかだったはずなので、その辺の経緯はわかりませんが。あるいは私の全くの見当違いかもしれず、事実関係も含めてこの二曲をめぐる話に詳しい方がいらしたら、ご教示願いたいと思っています。#Ninasimone #美空ひばり
ジャズ 音楽CD ソリッド揖斐是方
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オーネット・コールマンの世界 ジャズ・ミュージシャンによる現代音楽
このレコードは1968年に発売されたものなのですが、定価が2300円なのです。この時代の国内盤としては妙に高いと思うのですが、どうなんでしょうかね。日本ビクター株式会社からの国内初回盤で、70年代の再発ではないのですが。私はビートル再編の話題も盛り上がった『リンゴ』あたりから一気に2000円オーバーの値上がりが始まったと記憶しているのですが。それはともかく、このアルバムは現代音楽の作曲家としてのコールマン作品の紹介という趣きで、両面共木管五重奏団とか室内四重奏団が演奏、コールマン自身は片面にトランペットで参加しているだけなのです。その点が大変興味を惹きました、所謂フリージャズらしいコールマンとは違う一面がここにはあるからです。ジャズメンが製作した現代音楽のアルバムという点で、ロックと現代音楽との接点などを面白がる者としては、一応どんなものかと手をだした次第、ただし、正直に申し上げて、二回目に針を降ろす気になるのは、いったいいつになるのか(笑)。#freejazz #ornettecoleman #現代音楽
現代音楽 LP, Album 日本ビクター株式会社揖斐是方