• 音楽が終わったら

音楽が終わったら

初版 2022/12/03 12:50

改訂 2022/12/03 12:50

1945年4月、一人の男が自殺寸前に聴いていた音楽。
おそらくワグナーか誰かのレコードを聴いていたのでしょう、1945年4月、自殺寸前に
「音楽が終わったら、灯りを消せ」と言ったというアドルフ・ヒトラー。

真偽はわかりませんが。

11分に及ぶセカンドB面ラストの名曲
は、この一言から生まれたとみていいでしょう。欧州公演の時はナチスの敬礼を模した
アクションで顰蹙をかい、学生時代にはニーチェと並びヒトラーに傾倒していたフシも
あり、「お前たちは生で、お前たちは死だ。俺はふたつをまたいでいるからきんたまが痛む」
と詠った詩「アドルフ・ヒトラー」も録音していたモリスン。
「音楽が終わったら」の歌詞は、主観をヒトラー自身と、ユダヤ人と、当時のモリスン本人の
三つの視点が交錯する構成で出来ているように思えます。収容所のイメージ、「生きている」と絶叫
する女性、ナチスの蛮行の描写や世界に対する野望、断末魔の悲鳴、神への誓願など、
ナチスとヒトラーという文脈から読み解くとやはり辻褄が合う部分が散見されます。

ただし、このシンガーとヒトラーの親和性はあらゆる意味で周囲は隠しておきたかった。

それは間違いのないところでしょう。


そして、ファースト・アルバムのラスト・トラックを聴き終えた後、モリスン自身も
己のハートの灯を消したということになります。

1968年のファン。集めているものは主に60,70年代の(日本では)マイナーなあらゆる音楽です。

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