1994年ロンドン一人旅 (2004年のHPから)

初版 2020/05/24 12:12

 古いワープロの文書をプリントしたものがでてきました。10年ほど前のものなので どれだけ参考になるかわかりませんがここに掲載したいと打ち直します。

 

 海外旅行を予定されている クラシック カメラ 愛好家のために。

ロンドン一人旅 趣味のカメラを追って


 今年(1994年)のゴールデンウィークにロンドンを訪れました。目的はできるだけ多くのカメラ店(できればクラシックカメラを扱っている店)を見ることです。以下順を追って述べます。

 

 前日の宿泊地レディングからインターシティでロンドンのパディントン駅に到着。今日宿泊予定のドーチェスターホテルの場所を地図にて確認。ハイドパークコーナーあたりが一番近いのではないかと見当をつける。ハイドパークコーナーを通るバスのバス停を探す。バスを待っていた地元の人らしいおじいさんに料金を尋ねた。この時、バスの運賃のことを誤ってフィーと言ったらフェアと直してくれたうえで、アイティペンスと教えてくれた。一瞬おやっと思ったがすぐにエイティペンスのことと気付きエイティペンスのことかと聞き返したらそうだとうなずいた。バスに乗り込み運転手に「ハイドパークコーナー」と1ポンド硬貨を出しながら言うと、「プリーズ」と顔をしかめて言う。慌てて「プリーズ」と付け足すと、ゆっくりうなずきながら釣りをよこした。ロンドンで一人で初めてバスに乗ったとはいえ失礼な言い方をしたと反省した。乗ったはいいが降りるのが大変。バスの停留所の名前が付いていたり無かったり(すくなくとも私にはそう思えた)したものだから、どこで降りたらいいかわからない。しばらくするとドーチェスターホテルを通り過ぎたので次で止まるようにボタンを押した。幸運にもそこがハイドパークコーナーであった。チェックインを済ませ部屋まで案内してくれた女性に10ポンド渡した。丁寧に礼を言っていた。(今思えば たいそう丁寧に。後でわかったことだが1ポンドでよかったと言われた。) もしも あなたがパック旅行などで何の苦も無くホテルに到着したのならこんな思いはしなかったでしょう。


 さて これからの作戦ですが、あらかじめいくらか準備が必要です。ここまでの観光の合間に、カメラ雑誌、ロンドンAZ、あまり詳しくてなくていいから一枚でロンドン全体がわかる地図を用意します。ターミナル駅の売店、街の書店で簡単に手に入ります。簡単なバス、地下鉄の路線図は駅でくれます。これだけ揃えたら、カメラ雑誌の広告で興味のありそうな物を扱っている店の名前と所在地をメモします。つぎにAZの索引で通りの名前を調べ、どこに載っているかメモに加えます。詳細図にも載っていればそれもメモします。一通りメモし終わったら、AZの地図に印をつけ次に全体図にも印をつけます。この全体図につけた印によって効率よく店をまわることができます。では、出発です。まず最寄の地下鉄の駅でトラベルカード(一日乗車券)を買います。大抵はゾーン1、2で済むと思いますが心配ならオールゾーンの券を購入します。券は窓口でも自動販売機でも買えますが自動販売機で買うときにはまず一度でお札を受け入れてくれると思わない方が賢明です。機械に拒絶されても根気よく少しずつずらして入れなおしたり別の札を入れたりすれば買うことができるでしょう。(1994年当時の話です。)どうしても苛々してだめなら窓口でトラベルカード、ゾーンワントゥとかオールゾーンプリーズと言えばポンポンとスタンプを押して出してくれます。このカードでバスも地下鉄もOKです。時間に余裕があれば地図に印のついているところを通るバスを見つけ外を見ながら近くに来たら降りればよいし(印のついていない面白そうな店がみつかるかもしれません)、もっと確実に店の近くに行きたければ地下鉄で行けばよいし、一番確実に店まで行きたければタクシーで行くのもよいでしょう。タクシーには乗る前に運転手に行き先を告げ(あるいはメモの店名と住所を指で指し示す)着いたら料金は車の外に出てから1ポンド程度上乗せした額を払えばよいでしょう。次に今回私が訪れたカメラ店を紹介しましょう。

 

 KJP:この店は出発前にぜひ訪ねるようにと紹介されていた店でプロ用の機材などを中心としたちょうど銀一のような(?)感じの店でプロ機材、照明器具、書籍雑誌、中古カメラ、(ハッセルのボディ、レンズなどの実用品)、現像の受付、カメラ、アクセサリーなどなど部門ごとにコーナーがあります。ここでは雑誌で見たオプティクリーンというレンズの表面に塗布し乾燥した後剥がすと汚れが一緒にとれるという揮発性の液体レンズクリーナーを買いました。

 ジェソップ・クラシック・フォトグラフィカ、レア・カメラ、クラシック・コレクション・カメラの3店は英国博物館のすぐそばのほぼ同じ場所にありいずれもクラシックカメラコレクターなら必見の店です。日本人の顧客も多いところです。クラシック・コレクション・カメラに行ったときにもちょうど大阪のOSカメラから帰ってきたばかりだという店員さんがいました。クラシック・コレクション・カメラではすぐそばに書籍専門店を今日5月3日にオープンしたと言ってまだ完全には商品を並べきっていない店に案内してくれました。ジェソップ、クラシック・コレクション の2店では書籍をいくらか買っただけでした。


 これらの店を出てすぐの所に古本、地図などと一緒に中古カメラを置いているレアブックスという店があります。カメラのコーナーは一度に2人までしかはいれませんがここにはロシアのフェドなどがあり37ポンドでゾルキー4Kジュピター50mmF2付きを買いました。面白かったのはこれを買ったときに店の主人がファイルをめくってカメラとレンズの説明をしてくれたことで、このレンズはズミクロンより優秀だと書いてあるとコピーを示していました。レンズキャップをもう一台のものに付いていたマーク付きのものと替えてくれないかと言ったら気軽に応じてくれました。ケースは要らないと言ったのですが内側に重要:必ずフィルムをまきあげてシャッターをチャージしてからシャッター速度ダイアルを合わせるようにと書いてあるから持っていくようにと3-4個あるうちから一番よさそうなものを選んでくれました。


 R.G.ルイス カメラ ではライカⅢfのブラックダイアルのトップカバーを110ポンドで売っていました。私は ライカ50イヤーズ(黒表紙の一番はじめのもの。持っているものは書き込みなどで随分いたんでいます。)を10ポンド、ポケットブック3版を2ポンド、プライスリスト1986-87年版を1ポンドで買いました。クラシックカメラ店ではありませんが この店の真向かいにシティカメラエクスチェンジがあります。私が行ったときには 入り口の左側に中古カメラ、右側に新品カメラ、イメージテックの使い捨て3Dカメラもありました。

 

 

 ヴィック・オドン・オブ・ロンドンブリッジ は地下鉄ロンドンブリッジ駅のすぐ近くにあり、入り口が クラシックカメラ、一般、DPEと3つに分かれています。

 

 ライカ ファンなら誰でも知っている、ハスブロックの店はサウス・ケンジントン駅の近くにあるはずだ。住所に行ってみると店らしきものも事務所らしきものも見当たらない。34のドアを叩くと若い婦人が出てきた。尋ねるとここが彼の事務所で治安の問題でカメラは別の場所に置いてあると言う。中には彼の著書が文字通り山積みされており、販売用のカメラのリストの準備をしていた。そこで、月に一度ファックスを受け取るが夜中に自宅に届くので仕事先に着くように変更して欲しいと頼んだ。以前ファックスでは頼んだのだが一度だけ仕事先にきたが また自宅にくるようになってしまっていた。(今日仕事先に最新のものが届いた。そのリストの中にR用ズミルックス28/1.4試作品3台生産?とある)秘書嬢に入れて貰ったコーヒーを飲みながら周りを見るとかなり古くからの(1900年代前半頃からのものだったように思う)写真雑誌の合本とか何台かのカメラが置かれていた。

 

 パディントン駅からすぐのところにクックの店があります。これはバスの中から見えたもので、質流れ用品屋(?)というかとにかく狭い店内に雑多な品物が、楽器、家電製品、猟銃(?)などが所狭しと置いてあり、入り口の右側、外から見えるところにカメラが並べられていました。ロモ・オートマチックというロシア製コンパクトカメラを欲しいと主人に言うと、新しいボタン電池を2個ハサミで包装を切って取り出しカメラに装填した。するとあと一個分のスペースがあったので もう一個新しい電池を持ってきてハサミと共に手渡し 出してくれないかと言う。電池の入っている上側の透明な薄いプラスチックを押して下の厚紙の方から電池を取り出して渡すと、まるで手品でも見たかのように目を丸くして驚き、どうやって電池を出したのかと聞く。へこんで空になったプラスチックの部分をジャストプレストヒアと押し裏の十字に破れたところを見せ、取り出すしぐさをしたら感心そうに見て、こんな方法もあったのかとハサミをしまった。さて、3個目の電池を入れてシャッターボタンを押したがシャッターが開かない。明るい方に向けたり、叩いたりしても全然動かない。かなりしつこくなんとか直そうとしている。ファインダーを覗くとシャッターボタンを押している間赤ランプが点灯するので電池は正常のようだ。主人は店先にずっと出したままになっていたからシャッターがくっついてしまったのかもしれないと何度も何度も叩いていた。そのままでいいから持ち帰りたいと言ったら おまえは技術者かと聞いてきた もちろん違う ただそれが欲しいだけだ と答えた。安くしようと考えていたようだが それにはおよばないと言って27ポンド払った。直らなかったら金を返すと言っていた。帰り際に電源プラグのコンバーターを見つけたので、日本から持ってきた電気カミソリの充電ができると買おうとした。こういうプラグが使えるかと図を書いて尋ねると使えるが それならこれがいいよと 引出しから初めに買おうとしていた物の半値以下の品物を勧めた。なんと欲のない主人だと思いながら出されたものを買って店を出た。パディントンからレディングに行く切符を窓口が長蛇の列だったので自動販売機で買った。列車の掲示板に乗車ホームの案内が出ると それまで思い思いのことをしながら外で待っていた人々がまるで磁石に吸い付けられるように一斉に動き出した。列車に乗って席につき切符を確かめようとポケットを探したが見当たらない。発車時刻まで5分しかない。不法乗車には高額の罰金とあちこちに書いてある。しかたなく、再び自動券売機で苛々しながらなんとか切符を買って列車に戻った。発射まで1分もなかった。もう一度よく探したら前に買った切符が出てきた。検札にきた人に二枚の切符を見せ事情を話すと下車駅の窓口で相談するようにと言う。レディングに着いて切符売り場のとなりのインフォメーションで話すと乗車駅で手数料を払い、払い戻しを受けるようにと言っていたが、私はもうロンドンに戻る予定はないし明日帰国予定だ。第一 ここからパディントンまでの切符を買って これからパディントンに戻って 手数料を払い 切符の料金を払い戻してもらって また ここまでの切符を買って 戻れと言うのか と言うと、二枚の切符をしげしげと見た後、なにやら規則書のようなファイルに目を通し、事情を書いた書類を作り、住所と氏名とサインを記入するように言われた。書類が出来上がると運賃を全額返してくれた。お礼にチップとして1ポンド出したら 笑って受け取らなかった。

 

  ホテルに着くとフロントで、あなたの姿を見かけて部屋の準備をした。たった2分前に終わったところだ。到着は明日の予定ではなかったのか、と 聞かれた。確かに今日戻ると話しておいたのだがと部屋で落ち着いて考えると、多分、一本やられたのだと思った。この男は 田舎者の日本人が まともに返事をしたので笑っているか呆れているに違いない。イギリス人だったらきっと、そうかい、3分前まで泊まるかどうか考えていたものだから などと答えていたのだろうと思いました。

 

 翌日、空港までのリムジンの予約は3時だったのに、2時半に外を見るともう来ていました。たずねると 予定より早く着いた と言っていましたがこちらが気が付かなければ 3時まで黙って待っていたのだ と思います。降りるとき10ポンドのチップを目立たないように渡しました。

 

  ご参考までに今回訪ねたカメラ店の名前と所在地とロンドンAZの場所を記します。 ただし 10年前(1994年)のものなのでどれほどお役に立つかはわかりません。 実際 すでになくなっている店もあります。


 KEITH JOHNSON PENNING: 83 DRUMMOND STREET p.61-4J

 JESSOP CLASSIC PHOTOGRAPHICA: GREAT RUSSEL STREET p.61-5J

 CLASSIC COLLECTION: 2 PIED BULL YARD, BURY PLACE p.61-5J

 RARE CAMERA COMPANY: 18-20 BURY PLACE p.61-5J

 VIC ODDEN'S OF LONDON BRIDGE: 5 LONDON BRIDGE WALK p.78-1D

 R.G.LEWIS: 217 HIGH HOLBORN p. -

 PUL-HENRY VAN HASBROECK: 34 BURY WALK p. -

 CITY CAMERA EXCHANGE: R.G.LEWISの向かいの店と

            46 FENCHURCH STREET p.77-3H

 

 このほかにメモはしておいたのですが裏側だったので見落としてしまったどうしても行きたかった店が

  GRAY OF WESTMINSTER: 40 CHURTON STREET, PIMLICO です。

 

 また 参考にしたカメラ雑誌は

  AMATEUR PHOTOGRAPHER

    PRACTICAL photography

    BUYING CAMERAS AND PHOTO ACCESSORIES

    PROFESSIONAL PHOTOGRAPHER

    photo ANSWERS の各誌です。

 

 

 

  今回のロンドン滞在は5月1日(日)、2日(バンクホリディ国民の休日)、3日(火)と最悪の条件でした。できれば 出発前に各店の営業日を確認(現在ならインターネットでできるかもしれません)するのがよいと思います。

 

  The Rare Camera Companyについて(1994年当時の)近着の LHSAの機関誌 VIEWFINDER は 1993年10月にロンドンに開店した新しいクラシックカメラ専門店で、ブリティッシュ ミュージアムから文字通り道を一本隔てた場所のパイド ブル ヤードにあり、ここは急速にロンドンのクラシックカメラセンターになりつつある と述べています。

  パイド ブル ヤードを囲んで、正面入り口右側に レア カメラ カンパニー(表の通りからショーウィンドウが見えます。)入ってすぐ左側にジェッソップ クラシック フォトグラフィカ、その奥にクラシック コレクションがあり、さらにこの5月にはクラシック コレクションの書籍部門が独立した店舗として開店しました。


#思い出

Author
Aiymnm53

ldnakkun

小児歯科医。いまだにメディカル-ニッコール120㎜を使っています。以前はライカと関連用品の希少な物を集めていました。現在は接写写真撮影に興味を持っています。

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