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東映株式会社映像事業部 角川映画 蔵の中 パンフレット
企画/発行・東映株式会社映像事業部 昭和56年(1981年)に公開された映画『蔵の中』のパンフレットです。 『悪霊島』と二本立てで公開された作品で、昭和50年(1975年)に公開された『本陣殺人事件』で横溝作品の映画化ラッシュの口火を切った高林陽一が、再び横溝正史の世界に挑んだ意欲作ですね。 原作の『蔵の中』は横溝正史が戦前に書いた短編小説で、この時代の横溝作品は戦後に書かれた一連の金田一ものとは趣が異なり、耽美趣味・草双紙趣味のテイストが濃厚に出ているのが特徴。中でも『蔵の中』は、戦前横溝を代表する名作『鬼火』と並ぶノンシリーズものの代表作の一つであり、純探偵小説ではありませんが、物語の構成に“仕掛け”が施されていて、ミステリーファンも唸らされる作品となっています。そんな『蔵の中』を、“怪奇・幻想・ミステリー”のジャンルに造詣の深い桂千穂が脚色、高林監督独特の映像美と相俟って、妖美な世界観を見事映像化しています。 胸を患い、薄暗い土蔵の中に暮らす姉役に当時、“ニューハーフ”として話題になった松原留美子。個人的には、当時買った角川文庫版(『蔵の中・鬼火』)の杉本一文の表紙イラストが真行寺君枝に似ているなぁと思ったので姉役は真行寺君枝のイメージだったのですが、このキャスティングも倒錯感が出ていてなかなか良かったと思います。ちなみに『本陣殺人事件』で金田一耕助役を務め、『蔵の中』では磯貝三四郎役で出演している中尾彬はなんと同時上映の『悪霊島』にも出演、それぞれで存在感を発揮しています。 #蔵の中 #高林陽一 #松原留美子 #横溝正史 #角川映画 #東映 #パンフレット
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東映株式会社映像事業部 角川映画 金田一耕助の冒険 パンフレット
昭和54年(1979年)に公開された映画『金田一耕助の冒険』のパンフレットです。 横溝正史の金田一耕助モノの短編小説『瞳の中の女』を原作とする映画で、一応、未解決のまま終わってしまった事件の謎に金田一が再び挑む、というストーリーはありますが、基本的には横溝作品や角川映画を始め、古今東西の映画などのパロディを全編にちりばめたコメディ映画ですね。ほぼ同時期に公開された山本晋也監督の『下落合焼とりムービー』同様、ジョン・ランディス監督の『ケンタッキー・フライド・ムービー』の影響下にあるとされる一本です。 監督は大林宣彦。当時、既に3本の商業映画を発表していたものの(『HOUSE』『瞳の中の訪問者』『ふりむけば愛』)、まだまだCM界出身の異色の映画監督、といったイメージが強かった頃ですが、この『金田一耕助の冒険』をきっかけにのちに角川映画で『ねらわれた学園』や『時をかける少女』を撮り、名実共に日本映画を代表する映画監督になりました。 横溝ファンの間でも大林ファンの間でも評価が低いとされる映画で、確かに横溝ブームの末期に咲いた徒花といった感じではありますが、今観直すと音楽は良いし、大林監督の映画愛には改めて感服させられるし、非常に見どころの多い作品だと思います。 #金田一耕助の冒険 #大林宣彦 #古谷一行 #横溝正史 #角川映画 #東映 #パンフレット
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東映株式会社映像事業部 角川映画 悪霊島 パンフレット
発行 東映株式会社映像事業部 昭和56年(1981年)に公開された映画『悪霊島』のパンフレットです。 『病院坂の首縊りの家』『金田一耕助の冒険』から2年、横溝ブームもすっかり沈静化している中での久しぶりの金田一映画ですね。「野性時代」で原作が連載がされている時点で映画化は予想出来ましたが、個人的には市川崑監督・石坂浩二主演の金田一耕助シリーズの流れで製作されなかったのが残念でした。せっかく角川映画第1作目の『犬神家の一族』と同じ「角川春樹事務所製作の金田一映画」なのに...と思ったものですが、それでもビートルズの「Let It Be」をバックに「鵺の鳴く夜は恐ろしい...」というキャッチコピーが踊るCMが大量に流れ、本屋でも再び横溝正史作品が目立つ位置に置かれるようになるなど、横溝ブーム絶頂期の頃を思わせる、角川書店挙げての久々の“横溝推し”にはワクワクしたものです。実際、映画の公開から約2か月後には横溝正史が逝去し、これが最後の“打ち上げ花火”になったように思えます。そして、横溝ブームは本当の意味で終焉を迎えました... 鹿賀丈史の金田一耕助はそんなに悪くなかったと思いますが、この映画でインパクトがあったのは巴御寮人役の岩下志麻。美しく貞淑な巴御寮人と、そのもう一つの人格で、病的な色情魔で狂女の「ふぶき」という両極端なキャラクターを凄まじい“怪演”で演じ分けています。巴御寮人と「ふぶき」の人格が入れ替わる際の自慰シーンは、もはや伝説ですね。 なお、劇中ではビートルズの「Get Back」「Let It Be」が効果的に使われていましたが、DVDでは権利の関係でビートルズのオリジナルが使用されておらず、「Get Back」がビリー・プレストン、「Let It Be」がレオ・セイヤーによるカバーバージョンとなってしまったのが残念です。 #悪霊島 #篠田正浩 #鹿賀丈史 #横溝正史 #角川映画 #東映 #パンフレット
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東映株式会社映像事業部 東映映画 悪魔が来りて笛を吹く パンフレット
東映株式会社映像事業部発行 昭和54年(1979年)に公開された映画『悪魔が来りて笛を吹く』のパンフレットです。 高倉健が金田一耕助を演じた、昭和36年(1961年)の『悪魔の手毬唄』以来となる東映製作の金田一映画。古くは前身の東横映画時代から時代劇の大スター、片岡千恵蔵を金田一に起用した映画を6本製作しており、実は金田一映画に関しては一番の老舗なんですよね。『悪魔が来りて笛を吹く』も昭和29年(1954年)に千恵蔵金田一で映画化されてたりします。 『悪魔が来りて笛を吹く』の映像作品としては、個人的には昭和52年(1977年)の『横溝正史シリーズ』版のほうが好きなのですが、今となっては貴重な西田敏行の金田一耕助や、『横溝正史シリーズ』版で三島東太郎を演じた沖雅也に対抗するかのような宮内淳の起用(『太陽にほえろ!』のスコッチとボンですね)など、これはこれで結構見どころが多い映画だと思います。意外なところでは中村雅俊と秋野太作がチョイ役で出ているのですが、これは斎藤監督のテレビドラマでの代表作の一つである『俺たちの旅』繋がり(カースケとグズ六)ですかね?そういえば当時、主役の西田敏行は日本テレビ系で放映されていた『西遊記』の猪八戒役で人気者でしたが、ヒロインの斉藤とも子にしても、やはり同時期に日本テレビ系で放映されていた『ゆうひが丘の総理大臣』の優等生役で売り出していましたし、何となく全体的に、あの時代の日テレドラマ的な匂いが強いキャスティングですね。 #悪魔が来りて笛を吹く #斎藤光正 #西田敏行 #横溝正史 #東映 #パンフレット
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