東芝のアルファベット記号　その１

東芝のアルファベット記号とは

• 1958年秋頃以降に発売された東芝のレコードには、アルファベット記号が印刷されています。
  アルファベット記号は、○で囲まれたアルファベット１文字のことで、主に裏ジャケットの定価の前に印刷されています。
• この記号について記述されている本は、私の知る限り「日本盤60年代ロックＬＰ図鑑（以下ＬＰ図鑑と称す）」（著者：菅田泰治氏，シンコー・ミュージック 2006年）だけだと思います。この時は、協力者として情報提供を行いました。ただこの本は、タイトルが示すように「60年代のロックＬＰ」という領域に限定しているので、アルファベット記号も全体を俯瞰するものにはなっていませんでした。
• そこで「ＬＰ図鑑」での成果物をベースとし、そこで触れられていなかったクラシックや邦楽、更にはシングル盤も含め、再度整理しようと考えました。個人研究であるが故の限界もあり、不明点も残されているのですが、「ＬＰ図鑑」で見ていた洋楽のポピュラーＬＰだけが実は例外的なもので、他ジャンルやシングルは違った様相を示している部分なども見つかって来たため、途中経過として残しておきたいと思います

アルファベット記号の種類

１．初期の無表記

• 初期のレコードには、アルファベット記号はありません。
• 最初期には、定価もジャケットには印刷されていなかったようです。
• 邦楽シングルが1957年8月臨発分からスタートしますが、これは未確認です。

２．「Ａ」

• 1958年に「Ａ」が登場します。
• 最初から印刷された「Ａ」（上）とスタンプ押しの「Ａ」（下）があります。下はHA-1053（1957年1月新譜）なので、初出時は無表記、再版時に「Ａ」が押されたものと思います。初期にはこういうスタンプ押しの修正がありますが、「Ｆ」以降はあまり見られなくなります。

３．「Ｂ」

• 「Ｂ」は1960年からです。

４．「Ｃ」

• 「Ｃ」は1961年からです。
• 尚、定価の違いはサンプルとした盤の規格の違いによるもので、値上げがあったわけではありません。
• 下の画像は、1962.04.15発売のリバティ第1回新譜のＬＰ（カラーフル・ヴェンチャーズ LBY-1007）ですが、まだ「Ｃ」です。（ドリル・ホールで見えない定価は¥1,500）

５．「Ｄ」，無表記（２度目）

• 1962年は混沌とした時代です。4月ないしは5月頃に「Ｄ」，「無表記（２度目）」になりますが、両者の時系列推移はよく判らず、混在しているようにも見えます。
• 1962.04.15発売のリバティ第1回新譜のシングル盤
  ※１　夢に見みる恋（ジョニー・バーネット）LIB-1　アルファベットも定価も表示なし
  　　　同タイミングのＬＰは「Ｃ」のままでしたが、シングルは全くの無表記です。
• 1962年6月臨発のＬＰ
  ※２　ヴェンチュアーズのツイスト・パーティ　LBY-1013　「Ｄ」¥1,500
• 1962年7月新譜の17cmＬＰ（発売は6月）
  ※３　スターダスト（ポール・フィリップス楽団）　YK-20「Ｄ」定価表示なし
• 1962年8月臨発のＬＰ
  ※４　ヴェンチャーズ・ヒット・アルバム　LBY-1019　アルファベットは無表記　定価¥1,500
• 1962年9月新譜
  ※５　パリのカナロ（フランシスコ・カナロ）OM9088　アルファベットは無表記　定価¥330
  となっています。
• 実は1962年6月1日から、シングル盤の価格改訂（値下げ）があり、洋楽¥350⇒¥330、邦楽¥300⇒¥290とそれぞれ値下げされています。シングル盤で価格表示がないのは、そのことが関連しているのではないかと思います。
• シングル盤の値下げは、1962年4月1日に行われた物品税率の改定によるものでしょう。