プレス・マーク(PM)の刻印と読み方 東芝4

初版 2023/01/04 06:35

改訂 2023/01/04 22:33

プレス・マーク(PM)のタイプと読み方

タイプ6(グラモフォン・プレス)

ソニー・プレス盤と良く似ていますが、「EG8」のように中央が「G」になっています。数が少ないのですが、グラモフォン・プレスだろうと考えています。赤盤はありません。

「EG8」、1969年8月プレスです。私が見た範囲では、E(1969年)しかありません。グラモフォン・プレスと考える決め手は、やはりレーベル形状です。

グラモフォン・プレスの形状

ここでも同一品番の東芝プレス盤とグラモフォン・プレス盤の違いを確認してみます。

上が通常の東芝プレス(溝直径35mm)、下がグラモフォン・プレス盤で、この時代のグラモフォンの標準である溝直径30mmとなっています。

なお、東芝盤でのグラモフォン・プレスは、1965年や1966年頃にも確認できていますが、そこではPMがなかったり、あっても東芝盤と同じタイプが刻印されていたりします。

OR-8026のリ・カッティング盤(Please Please Me の違い)(ちょっと脱線)

本題から逸れますが、ここに掲載したOR-8026に収録されている「Please Please Me」は、ステレオ・バージョンをモノ化したものです。(ジョンが歌詞を間違えて吹き出している方) ピーター・インガムの「日本盤ディスコグラフィ」によると、これはレーベルがAppleに変わったAR-8026からとなっていますが、そうではないことが判ります。オリジナルのOR-7041とのマトリクスを比較してみると、OR-8026の途中でリ・カッティングが行われていることが明らかです。

 上がオリジナルのOR-7041のマトリクスで、「2EJ-14 9」となっています。
末尾の「9」はスタンパーの番号だと思います。(プレス・マークは「D4」=1964年4月プレス)
下がOR-8026のマトリクスで、「2EJ-14 2S 2」となっています。
(スタンパーNoの「2」は画像では見えませんが)(プレス・マークは「8M」=1968年12月プレス)
この「2S」がリカッティング盤を表しています。また、その前の「2EJ-14」も書体が異なっていることが判ると思います。両者が同じカッティングであるならば(=メタル・マスターが同じ)、こういうことは「絶対に」起こり得ません。更に、ラン・オフ部(最後の無音部分)の様相も異なっており、送り溝とマトリクスとの位置関係の違いも、カッティングが異なることの決定的な証拠になります。
 1968年12月プレスというのは、OR-8026としては最後の方だと思われますが、この時点では既にリ・カッティングが行われており、その際に「Please Please Me」の別バージョンに差し替えられたことになります。これが、そのままAR-8026に継承されていったのでしょう。

国内盤アナログ・レコード(1950年代〜1960年代〜1970年頃)のデータ・ベース(リスト)を作成しています。
(国内盤レコードDB)
ジャンルはオール・ジャンルで、フォーマットはExcel ファイル(xlsx)です。
現在仮開示しているのは、
日本グラモフォン
東芝
日蓄工業
日本ウエストミンスター
日本ディスク(1950年代)
日本マーキュリー(1950年代)
ユニバーサル・レコード(1950年代)
日本コロムビア
キング・レコード
です。

今後、随時追加していく予定ですが、時間はかかります。

ダウンロードして自由に使って頂いて結構ですが、同時に開示している説明ファイル(ワード文書 or リッチ・テキスト)を
よくお読みになってください。また、現段階ではあくまでも仮開示であり、完成形ではないことにもご留意ください。

https://1drv.ms/u/s!ApINowI3ybkacrP3M_GV7wSe6j0?e=67lDy2

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    利右衛門

    2023/01/04 - 編集済み

    はじめまして。
    フォローありがとうございます。
    OR-8026の「Please Please Me」については、年末フォロワーさんと話題になりましたので、興味深く拝見させて頂きました。
    ランオフ部分の送り溝とマトリクスの位置関係とか気にした事が無かったので、とても勉強になりました✨

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      chirolin_band

      2023/01/04

      こちらこそ、ありがとうございます。

      こういったことは、人によって着眼点が違っていることがあり、話を聞いて「なるほどなァ」ということがありますね。
      私がレーベル形状を気にするようになったのも、知人が「ビートルズの黒盤ってなんか変です。モンキーズのレコードみたい。」と言うのを聞いたのがきっかけでした。最初は「何を言っているんだろう?」と思いましたが・・・

      今後とも、よろしくお願い致します。

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    ryu_5u4g.2a3.6z-dh3a

    2023/01/04 - 編集済み

    「2EJ-14」の書体の違い、ランオフの様子の違いは気が付きませんでした。

    アップル盤でも「Please Please Me」の本モノと偽モノが混在してる謎が気になっていたので興味深く読ませて頂きました。

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      chirolin_band

      2023/01/04

      コメントありがどうございます。

      私自身が「100%の確度」でカッティングの違いを見分けているのは、ラン・オフ部を中心とした溝の様相です。即ち、音溝部分と余白のバランスや、ラン・オフの部の「送り溝」が盤面を何周しているか、といったことです。OR-7041は2周で、OR-8026は3周しています。
      国内盤の場合、刻印がメタル・マスター由来なのかマザー由来なのかといったことが、実はもうひとつ確信が持てないところがあります。従って、正直に言うと、刻印だけで断定するのは「100%安全」ではないとも思っています。実際、刻印はどのタイミングでも出来ますから。
      「100%の確度」で断定出来るのは、溝の様相です。これは、ラッカー盤に刻まれた様相を、それ以降の工程で変えることは「絶対に」出来ないからです。

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    • なるほど!
      本当に勉強になります。

      当時の東芝の担当者に聞きたいところですが、もはや生存者は居ないでしょうね。

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