東芝の赤盤(エバークリーン)物語 その12
初版 2023/03/23 06:07
改訂 2023/03/23 06:07
赤盤(エバークリーン)の終焉
- スタート時は目的も高らかに謳われ、華やかな宣伝と共に登場しましたが、「終わり」については理由も時期も何もアナウンスされていません。
- その終わり方も「ある月を境に突然姿を消す」というものではなく、「徐々にフェイド・アウトして行った」と言う方が正しいと思います。
- 赤盤を中止した理由は判りません。いくつか説がありますが、どれもエビデンスはないようです。
- 客観的な事実として、発表から10年以上も継続したことは凄いと思います。が、その間の技術革新もあるでしょうし、原材料の見直しなども行われない方が不自然です。例えば、東芝自身の開発した「PTS・クリヤーサウンド」盤などは、その副次的な対応として「材質・配合材料の改良を行った」と明記されています。
- こういったことも背景として、次の世代のレコードにバトン・タッチされて行ったのでしょう。
見本盤での黒盤LP登場
- 東芝プレスの黒盤は、本盤に先立って見本盤で見られるようになります。
- 画像は「ポップス・イン・ジャパン/ベンチャーズ」(LP-8161:1967.06.15発売)。
- 溝直径35mmで、東芝プレスの黒盤。これが最初かどうかは判りませんが、見本盤での黒盤は、これ以降もしばしば見られるようになります。
本盤での黒盤LP登場
- 画像は「ニュー・デラックス(HAWAII FIVE-O)/ベンチャーズ」(LP-8683:1969.07.10発売)で、プレス・マークは「9J」(1969年9月プレス)
- これも最初かどうかは判りませんが、溝直径35mmで東芝プレスの黒盤です。
- この頃から、「LPはすべてエバークリーン(赤盤)」というルールは崩れて行きます。
最終はいつか?
- これはアナウンスがないため、現物で確認する以外の方法はありません。
- ここでご紹介するのは、「あくまでも私の手持ちの中での最終」という意味です。
LP
- 画像は「明日に架ける橋/バック・オウエンズ」(CP-80226:1971.05.25発売)でプレス・マークは「1D」。(1971年4月プレス
- 裏ジャケットの「EverClean」ロゴはなくなっています。
- 現実にはもっと遅い時期にも確認されており、ビートルズのUS仕様盤(AP-80000番台)の中には、プレス・マーク「2J」(1972年9月プレス)を持つ赤盤があるようです。
シングル盤
- 画像は「愛しのヘレン/ポール・マッカートニー&ウイングス」(EAR-10464:1973.12.20発売)
- プレス・マークは「3−Y」(1973年11月プレス)
- 社名は既に「東芝EMI」に変わっています。
最後に
- 1970年代の終わり頃に、東芝EMIのセールスマンに「何故赤盤をやめたのか」と訊いたことがあります。その時の答えは「別になんでということもないのだが、『レコードはやはり黒い方がいい』というお客さんも多かったので……」といったものでした。
案外、こんなものなのかもしれませんね(!?) - (完)。
Author
chirolin_band
国内盤アナログ・レコード(1950年代〜1960年代〜1970年頃)のデータ・ベース(リスト)を作成しています。
(国内盤レコードDB)
ジャンルはオール・ジャンルで、フォーマットはExcel ファイル(xlsx)です。
現在仮開示しているのは、
日本グラモフォン
東芝
日蓄工業
日本ウエストミンスター
日本ディスク(1950年代)
日本マーキュリー(1950年代)
ユニバーサル・レコード(1950年代)
日本コロムビア
キング・レコード
です。
2024.07.08 テイチク・レコードを追加しました。
今後、随時追加していく予定ですが、時間はかかります。
ダウンロードして自由に使って頂いて結構ですが、同時に開示している説明ファイル(ワード文書 or リッチ・テキスト)を
よくお読みになってください。また、現段階ではあくまでも仮開示であり、完成形ではないことにもご留意ください。
https://1drv.ms/u/s!ApINowI3ybkacrP3M_GV7wSe6j0?e=67lDy2
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