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ウイザム石 中山鉱山 2020-11-6
中山鉱山は、熱水性のマンガン鉱床。産出鉱物で有名だったのが、ウイザム石と言う、緑簾石と紅簾石との中間の組成を持った鉱物だった。 この石の産出した時は、コレクターさん達は、なんとしても手に入れたい鉱物の一つで垂涎の的だった。ところが、50%ルールで、固溶体の鉱物は、端成分の鉱物だけになってしまったので、ウイザム石は、鉱物の名前から消えてしまい、含マンガン緑簾石になってしまったのだ。 こうなると、この石は、コレクターさん達には、見向きもされなくなってしまい、用無しの鉱物でしかなくなった。苦労して採っても、ただの緑簾石で、所有鉱物種が増えないためだ。むしろ、逆に、一種減る方が大きな問題だったのだろう。 この標本は、緑簾石のマンガンを多く含む部分で、Mn>Feなら紅簾石になるかも知れないと期待している標本。無理とは思うけど。 明延鉱山でも、真っ赤な緑簾石があるので、機会があれば調べてみたい。
鉱物標本 兵庫県養父市 中山鉱山 2009年7月SilicifiedZone
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褐錫鉱 明延鉱山 2020-10-10
褐錫鉱と言えば、その前はヘキサ黄錫鉱と言われていた鉱物です。磁硫鉄鉱と紛らしい鉱物ですが、やはり産状が違うので、何とか見当が付くと思います。明延では、磁石で判別できると思います。 この標本も、坑夫が採取した物らしい。この小さな標本と、大きな鉱石切断研磨標本と交換して戴きました。 2枚目写真の視野は、径3㎝。3枚目写真の視野は、径5㎜。
鉱物標本 交換 明延SilicifiedZone
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磁硫鉄鉱と硫酸鉄の鉱物 2020-10-07
大山の採石場の上部に磁硫鉄鉱の小さな鉱脈が有りました。もうだいぶ前になりますが、大雨で崩落してしまい、それ以後、全く採れなくなりました。それまでは斜面に流れ落ちており、乾燥すると、この石の表面に、綺麗な水色の水溶性の鉱物が生じていました。この鉱物は、一般には「緑礬」と呼ばれています。 緑礬は雨が降ると溶けてしまい、天気になると乾燥して、緑礬が吹くと言う繰り返しです。おそらくは、白鉄鉱を含んでいる物と思われます。そして、何れ崩壊してしまいます。 ところで、ここの磁硫鉄鉱は、磁石が全く反応しないのです。これは、初めての経験でした。それとも、他の鉱物なのか。
鉱物標本 京都府舞鶴市大山 2015年頃SilicifiedZone
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兵庫県 大東鉱山の鉱物 2020-09-30
1枚目の写真 この鉱山では、本体の石英脈には、輝安鉱が見られた。黄色い鉱物は、黄安華ではなくコカンド石かも知れない。 2枚目の写真 石英中の銀鉱物? 3枚目の写真 Sb Ag 系鉱物に伴うクレベルスペルグ石かな? 4枚目の写真 石膏とは思えないので、希望的観測でペレタ石。 5.6枚目の写真は、これも希望的観測で、沸石? なら斜プチロル沸石、これしか知らないから。 7枚目の写真 坑内に置かれている先走りの岩石。今回の目的の石でしたが、薮で坑口に行けませんでした。 8枚目の写真 斜坑の天井。黄鉄鉱を含む粘土脈が走る。現在では埋められたようです。今回の訪問は、これが見たかったですね。 これらの標本は、2008年当時に採集した物です。当時でも、鉱石らしいものは、滅多に落ちていませんでした。その後の道路工事もあり、今回は、全く収穫は有りませんでした。
鉱物標本 兵庫県 大東鉱山 2008年SilicifiedZone
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銀黒似の「にたり」鉱石 大立鉱山 2020-09-30
銀黒に似てはいるが、ほとんど銀の入っていない鉱石を「にたり」と言う。 聞いた話によると、隣の高品位鉱を掘っていた大身谷鉱山が、ここは低品位鉱ばかりと判断して売却した鉱区を、三菱が買いとって開発したと言う鉱山らしい。大立の坑夫の話(と言っても、明延の坑夫) によると、低品位の悪い鉱石だったと言う。 この高品位に見える鉱石も、銀の含有量は少ないと思う。おそらくは閃亜鉛鉱が多い。
鉱物標本 兵庫県宍粟市 大立鉱山 2018年SilicifiedZone
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洋紅石 亜砒藍鉄鉱 京都府の鉱山 2020-09-30
京都府の小さな鉱山のズリから出ました。最初の5枚は、洋紅石です。5枚目はC面? のある水晶。6枚目は、亜砒藍鉄鉱。7枚目は、銀の鉱物かも知れません。 ほとんど手つかずの、小さなズリが残っていて、一人で何回も楽しく耕しました。他にも、毒鉄鉱やビューダン石等もありました。
鉱物標本 京都府の鉱山 2013年SilicifiedZone
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磁硫鉄鉱 河守鉱山産 2020-09-26
磁硫鉄鉱と言う鉱物。そんなに珍しい物でも、美しい鉱物でもない。確かに採った時は、金属光沢で光っているけど、しばらくするとくすんで来て、汚くなる。 でも、せっかく採った鉱物が汚くなるのは、どうしてもコレクターとしては許せないはず。これを新鮮な状態で保存したい訳である。中には、白鉄鉱を含んで崩壊して行くものもある。 そこで、まず、白鉄鉱を含まない物の保存処置として、ガラス板を張り付けてみたのが、この標本。すでに10年位経つが、未だに新鮮な状態で、変化は無い。 白鉄鉱を微量含むものもやってみたが、この方法ではだめだった。やるとしたら、先ず白鉄鉱を分解させて、それから貼り付けたら、何とかなるかも知れない。少しずつ、経験を積んで、解決して行くしかない。 2枚目の写真は、最近採集し、割ったその場で写真を撮った磁硫鉄鉱。3枚目も同じ様に割った直ぐの状態の黄銅鉱を含む磁硫鉄鉱の標本。
鉱物標本 京都府 河守鉱山 2012年頃SilicifiedZone
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スイッツアー石 南丹市のマンガン鉱山 2020-09-23
スイッツアー石は、珍しいマンガン鉱物と言う事になって居る。でも、結構のマンガン鉱山で採集した事が有るから、多分、案外普通の鉱物。ただ、肉眼での判断だけで、確定はしていないが。 以前、弥栄鉱山のスイッツアー石を掲載した。あのようなごたごたが無かったら、僕が、日本新産鉱物の発見者となっていたはずの鉱物だ。 僕の口癖、「サセックス石とゲージ石は、何処にでもある。」に加えて、「サセックス石とゲージ石、それにスイッツアー石は何処にでもある。」にしようと思う。そう言えば、「滋賀石も何処にでもある」と言っていた事もあったような。
鉱物標本 1枚目写真の矢印マークの径が5㎜ 京都府 南丹市のマンガン鉱山SilicifiedZone
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リューコフェニクス石 弥栄鉱山 黒谷鉱床 2020-09-19
弥栄鉱山のリューコフェニクス石の模式標本。この半分は、つくばの地質標本館に寄贈したので、そこに在るはず。 リューコフェニクス石は、黒い帯状部分に多く含まれている。二枚目写真は、その鉱物の多く含まれている部分の拡大。三枚の褐色部分は、アレガニー鉱やハウスマン鉱、菱マンガン鉱の多い部分。 黒色部には、リューコフェニクス石、ケリー石、ヤコブス鉱、リッベ石、アレガニー鉱、ハウスマン鉱、菱マンガン鉱等が、多く含まれている。 この鉱物発見には、色々とエピソードが有る。ここには結構、良いチョコレート鉱が多く残存していた。おそらく、これを採掘した古い時代は、二酸化マンガン鉱だけが目的だったようで、この様な高品位鉱でも打ち捨てられていた為らしい。まあ、現代人への、お土産みたいな鉱山だった。 それらを見つけて、私は、結構の間、一人で長島石様の鉱物やスイッツアー石等を見つけたりして楽しんでいた。ある程度の調査を終えたので、このチョコレート鉱の鑑定を友人に依頼した。 その友人の分析中に鉱物業者がやって来たので、リューコフェニクス石が検出された事を教えたと言う。もちろん、その業者は売れると考え、産地を聞くに決まっている。友人は、全てをぺらぺらと喋ったと言う。それで、「なぜ、私個人が依頼した件を、私の許可も無く、他人に喋ったのか」との問いに、「僕は嘘をつくのは嫌だから、本当の事を喋った」との返事。でも、本当の事とは、「個人の依頼だから、教えられない」と言うのが常識だと思う。それで、この産地の事が公になり、多くの人が訪れる様になり、もう既に、荒れ果ててしまったと言う。ある友人は、「もう、あそこは行かない方が良い。あの状況を見たらショックだから」と忠告を受けた。この様な状況だから、私は、これらの石を抱えて、あの世に行くかもしれません。黒谷の石は、もう世に出ないかも。
鉱物標本 滋賀県 弥栄鉱山 黒谷鉱床 2009年頃SilicifiedZone
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斑銅鉱 明延鉱山 2020-09-16
まだ、明延鉱山が稼行していた時に、坑夫が持ち帰った鉱石です。ですから、斑銅鉱の標本としては、結構良い物と思います。 明延鉱山では、坑夫が鉱石を持ち出すのは、大目に認めていたと言う話です。中には、一抱えもある大きな石を持ち帰った者も居るとか。 鉱山は、ズリ等から拾い集めた鉱石を買い取っていたところ、坑内から持ち帰った石を集めて、鉱山に売り付けに来るものが現れ、買取を止めたと言う話もありました。 一枚目の標本は、鉱脈の走行方向に平行な面で、斑銅鉱が一面に付いた標本です。ただの斑銅鉱の標本としては、この方向が良いのかもしれません。 しかし、鉱脈標本として観る場合は、走行方向に垂直な面の方が、鉱脈の構造が良く分かります。二枚目の写真は、垂直方向から撮りました。
鉱物標本 明延 2018年SilicifiedZone
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錫石に伴う銅重石華 2020-09-13
明延鉱山では、錫石が鉄重石を交代している事が良くあります。その部分に銅重石華が生成している事が有ります。どちらも薄い板状結晶で産しますが、錫石は粒状、鉄重石は劈開があるため光って見えますから、区別は容易です。 1枚目の写真で左側のは、まだ錫石に交代されていませんので、中心部が光って見えてます。
鉱物標本 明延鉱山 2010年頃SilicifiedZone
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銅重石華 明延鉱山産 2020-9-13
独特の黄緑色を呈し、1枚目は、灰重石結晶の一部を交代した物。
鉱物標本 明延鉱山 2012年頃SilicifiedZone