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アントヒルガーネット(Anthill Garnet)
まさに深紅と呼ぶに相応しい、深い赤色のアントヒルガーネットです。 本当の名前はクロムパイロープガーネットで、アントヒルガーネットは通称となります。 蟻が蟻塚を作る際に、邪魔者として掘り出されたものがこのクロム入りパイロープガーネットだったことから、蟻塚ガーネット、つまりアントヒルガーネットと呼ばれるようになったそうです。 クロムが入っているためかかなり黒っぽい赤で、ライトで照らすと真っ赤に輝きます。 派手では無いからか、高貴な雰囲気で気品があります。 角度によってはロードライトガーネットともまた違う独特の赤紫が見られます。 見慣れるとその色でアントヒルだと分かります。 こちらの石には入っていませんが、針のような虹色のインクルージョン(レインボーニードル)が入ることがあり、それが入るものは値段が上がります。 他のガーネットに比べて希少性が高く、値段が高いため、あえて買おうという人は少ないみたいです。 ネットショップだと少々高かったので対面販売で安めのを見つけて購入したのですが、店主さんに「マニアックっすね」と言われました。 赤色のガーネットとしては一番希少なのではないでしょうか。
トリリアント 0.48ct クロム、マンガン、アルミニウム、ケイ酸弟切_鉱物
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ロードライトガーネット(赤)/Rhodolite Garnet
紫色が有名なロードライトガーネットの中でも、かなり赤みが強いものです。 ロードライトガーネットは、 ・アルマンディンガーネット(暗めの赤) ・パイロープガーネット(ロウソクの赤) の固溶体です。 2種が混ざり合うことによって何故か紫色を呈します。 混ざる比率によっても色が変わってくるので、一口にロードライトガーネットと言っても完全に紫色のものから赤に近いものまで様々です。 こちらの石はほぼアルマンディンガーネットという感じですが、肉眼で見ると微かに紫みがあります。 恐らくパイロープ成分が少ないのだと思います。 クラックが多く入っていて品質がいいとは言えませんが、大きさがあり、溶岩のような輝きが見える綺麗な石です。 気品のあるカットに仕上げてられています。 5ctありますが、クラックがあるのと、ガーネットだからか1000円台でした。
アンティーククッション 5.7ct マンガン、鉄、アルミニウム、ケイ酸弟切_鉱物
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ロードライトガーネット(濃赤)/Rhodolite Garnet
かなり濃い赤紫のロードライトガーネットです。 アルマンディンガーネットとパイロープガーネットの割合は8:2くらいでしょうか。 角度によっては赤紫も見えます。 大分黒っぽいため、写真に綺麗に写すのはそれなりに難しかったです。 宝石において、カラーが濃く鮮やかなものほど見栄えがよく価値が上がるため、こちらの石は宝石としては暗すぎるかもしれません。 そのため例によって安かったのですが、傷や欠けもなく透明度も高い綺麗な一石です。 微かな赤紫の感じがアントヒルガーネットに似ています。 安い石なので当然鑑別書が付いていないので、検査したら意外とアントヒルだった、ということもあるかもしれません。 産地がアフリカだそうなので可能性は低いですが。 (アントヒルガーネットは基本的にアメリカ産。) カットはブリリアントクッションカットかと思いますが、裏面はセイロンカットになっており正直よく分かりません。
ブリリアントクッションセイロン? 2.5ct マンガン、鉄、アルミニウム、ケイ酸弟切_鉱物
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アルマンディンガーネット(Almandine Garnet)
ガーネットの中でも最も有名な赤いガーネットです。 ただの「ガーネット」として売られているものは大体このアルマンディンか、それに鮮やかな赤色のパイロープが少し混ざったものになります。 特有の綺麗な赤色を呈し、透明石が見つかることも多い石です。 宝石質のものが取れやすく産出量自体も多いので、価格帯は低めで手に入りやすい石となっています。 安いためクォーツ同様軽視されがちですが、石好きたちの入門用に買いやすかったり安くても見栄えがしたり硬度が高めで加工しやすかったりと、実はかなり凄い石です。 ……手に入りやすさ故に、コレクションする上で定期的に売ってしまい、手元に残っていたアルマンディンはこれだけでした。 実は別の石を買った際におまけでいただいたものです。 このサイズのガーネットだと値付けに困ったのだと思います。 ガードルに小さな欠けもありますからね。 とはいえカットに歪みもなく、色は真っ赤で照りも強く、かなりの良個体だと思います。 これだけは何となく気に入って手放さなかったのも、どこか刺さる部分があったのでしょう。
バゲット 不明 鉄、アルミニウム、ケイ素弟切_鉱物
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スペサルティンガーネット(Spessartine Garnet)
ガーネットの中ではオレンジ寄りの種類です。 色に幅があり、この石は赤強めです。 裏に天然由来のクラックがあるため、角度によっては複雑な輝きを見ることが出来ます。 スペサルティンは赤〜オレンジの結晶がよく産出されます。 いずれも彩度の高い鮮やかな色が特徴です。 こちらの石は裏面のカットが細かいため、暗めの赤から明るい赤がキラキラと光ってくれます。 産出量が多いので値段もお手頃でした。 (恐らくクラックの影響もある。) スペサルティンにしては暗めの色ですが、ガーネットは混ざるものによって色が微妙に違ってくるため、これも個性だと思います。 ガーネットを集め出すとキリがないのはこういうところもあるからでしょうか。
ラウンドブリリアント 2.6ct マンガン、アルミニウム、ケイ素弟切_鉱物
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アナテース(Anatase)※ソ付き
オールブルーで海のように青いアナテースです。 アナテースはルチル、ブルッカイトと同質異像で、成分は同じですが結晶形が違います。 ルチルは棒状、ブルッカイトは板状で、アナテースは八面体の尖ったところだけ切り落としたような形の結晶です。 和名もそれぞれ違い、『金紅石』『板チタン石』『鋭錐石』となります。 ルースのレア度的には高い方から、 ブルッカイト>アナテース>>>>ルチル といった感じでしょうか。 アナテースのルースは探せば割と手に入ります。 ただ、茶色や黄色っぽいものが多く、青いアナテースは希少です。 特にこちらのようなオールブルーのものは更に希少で、レア度はブルッカイトのルースに匹敵するくらいかと。 店主によれば、アナテース結晶の青い部分だけを切り取ってカットして貰ったとのことでした。 元々、色が濃いものが多い上、強い金属光沢の影響もあって黒く見えがちな石ですが、こちらの石は普通の状態でも青く見えます。 分散率があのダイヤモンドの5倍以上あるため、正面から光を当てると凄まじいファイアを見ることができます。 (スマホカメラでは限界があり、写真には少ししか写りませんでした。) 一筋、中にクラックのようなものがありますが、それ以外は欠けや傷もありません。 照りも良いです。 値は張りましたが、これだけの高品質と希少度を考えれば納得でした。 (ソーティングはサービスで付けてくれました。)
クッションミックス 0.176ct 日独宝石研究所弟切_鉱物
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ブルッカイト(brookite)※ソ付き
赤茶色の小さなブルッカイトです。 『板チタン石』の和名でも分かる通り、原石結晶自体が厚さ1mm程しかないものが多いため、ルースになっているものは非常に珍しいです。 逆にどうやって削ったのか職人に聞いてみたい一石です。 こちらのルースは厚さ0.8mmです。 ネットショップでは単結晶ルースはほとんどヒットしません。 こちらは知り合いのネットショップの石屋さんにお願いして、繋がりのある業者から探し出してもらったものです。 見つかった3石の中から一番いいものを一つ譲っていただきました。 本気で興味がないと手に入らないようなルースです。 そんなブルッカイトはルチルの同質異像です。 成分は全く同じですが、結晶形が違います。 同じなかまにアナテースがいます。 端に小さなチップがあります。 マイナス点はそれだけで、透明度が高く照りもあり、傷や内包物等もほとんどありません。 ルチルのなかまなので金属光沢も強いです。
クッションミックス 0.109ct 日独宝石研究所弟切_鉱物
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フォルステライト(Forsterite)※ソ付き
爽やか青リンゴカラー、薄青緑のフォルステライトです。 モスらしい内包物が良い味を出しています。 フォルステライトはペリドットのなかまで、ペリドットを構成する成分の一つです。 ペリドット=苦土橄欖石+鉄橄欖石 フォルステライト=苦土橄欖石 上記のような関係です。 鮮やかな緑を呈するペリドットとは違い、フォルステライトは無色のものがほとんどで、検索をかけてみてもカラーレスのものがヒットします。 こちらのように淡く緑色のものはむしろ珍しいかもしれません。 店主によれば、元々はパキスタン・スカルドゥ産のヘルデライトとして仕入れたようですが、鑑別に出した結果フォルステライトになったようです。 ペリドットと比べても希少性が高いということでそれなりの値段で売られていますが、こちらはソ付きにも関わらずお手ごろな値段で手に入れることができました。 何事もタイミングと縁ですね。
クッション 0.492ct 日本宝石科学協会弟切_鉱物
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ペリドット(Peridot)
宝石の王道、新緑グリーンのペリドットです。 大粒で照りが強く、ペリドットの良さが詰め込まれています。 内部反射で反対側が透けません。 光を当てるとネオンのように光ってくれます。 肉眼で一目で分かるほどの大きなクラックがあります。 クラック内には天然由来の汚れ(モス?)があり、正直に言うと宝石としては品質が良くありません。 しかし、その汚れが緑色で目立たないところと、クラックのおかげで虹が見えるところがプラスポイントです。 正面から見るとむしろ複雑な輝きに見えるので、クラックも悪いものではありません。 こちらは自分で選んで購入したものではなく、ランダム封入パックに入っていたものです。 ロット仕入れで安いものや売り物にならないものを詰めたのかなとは思いますが、この大きさのペリドットが単純計算で300円で手に入ったので、いい買い物だったと思います。 クラックがなかったらそこそこのお値段だったと思います。
ペアシェイプ 不明 マグネシウム、鉄弟切_鉱物
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ルチル(単結晶)/rutile
『ルチルインクォーツ』で有名なルチルの単結晶です。 水晶に入っている時は金色の針のような見た目をしています。 和名は金紅石。 金属光沢が強く、黒い照り返しがあるので一見黒っぽい石なのですが、光に透かすと真っ赤です。 シャープなファンシーカットに血のような赤がかっこいい一石です。 欠けや傷、内包物も肉眼では見つけられません。 ルチルの単結晶は希少な部類で、特に品質の良い物(黒ずんでいない、傷が少ないなど)は希少石として扱われています。 水晶に入っているものを見るととんでもなく繊細なので、単結晶としてカットできるほど太いものが少ないのは想像に難くないと思います。 しかし、根気よく探せば見つかるレベルであり、ここではレア度3にしました。
ファンシー 0.545ct 二酸化チタン弟切_鉱物
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ルドウィジャイトインペリドット(Ludwigite in Peridot)
かなり渋めのダークグリーンのペリドットです。 中に針状の鉱物ルドウィジャイトが内包されています。 別名はルードヴィッヒアイトインペリドット、もしくはルチルペリドット。 ルチルが内包されているペリドットかと思いきや、内包されているのはルドウィジャイトという別の鉱物です。 蛍光しているかのような明るいグリーンが魅力的なペリドットが、暗めの渋い和色になってしまうので、好みは分かれるところかもしれません。 しかしこの内包の仕方も面白いところで、尖った方から面の方へ放射状に針が入っています。 正面から見ると水草の生えた湖を真上から見た時のような感覚になります。 背後からペンライトを当てればこれまた奇妙な輝きを見ることが出来ます。 ルドウィジャイトが赤茶色に透けるため、緑と合わさって虹色のような不思議な色に見えるようです。 ルースとしては大きめで、照りや透明度も高いです。 欠点は裏にある天然由来の欠けで、原石の時にあった空間がそのまま表出してしまったと思われます。
オクタゴン 3.45ct ルース 宝石弟切_鉱物
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天青石(Celestine)
アフガニスタン、バギス州ダライ・ラマン(?)産です。 天青石はそこそこメジャーな石ですが、こちらは珍しい産地とのこと。 オレンジっぽい母岩にマリモのような形の結晶(アラゴナイト?)と透明度の高い天青石が点在しています。 全体的な色味がふんわりと優しい印象であり、絵画のようなイメージを受ける標本です。 モネの庭みたいな感じです。 全体のバランスが良く、自然が作り出した芸術品のような石です。見ていて飽きません。 結晶はパステルな水色で、角度によっては乳白色っぽい青も見られて鍾乳洞のような雰囲気を醸しています。 しかし曇っているわけでもなく、透明度は抜群です。 水晶に近いテリが見られます。 珍産地ということもあり、良質なものは高値で取引されているとのこと。 こちらは非常に良い標本だと思いますが、質の良さと値段の安さに定評のある地球研究室からお手頃価格で入手出来ました。 特に目的もなく来店した際に一目惚れし、その場で購入。 店員さんも「その結晶良いですよね」と声をかけてくれたので、店側としても良い商品だったのでは、と思っています。
鉱物標本 硫酸ストロンチウム 2024年7月28日弟切_鉱物
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辰砂&白雲石(Cinnabar on Dolomite)
中国貴州省碧江区銅仁鉱山の辰砂&白雲石。 最もお気に入りの鉱物標本です。 リッチな練乳かき氷の様なドロマイトに、短い六角柱形の辰砂が散りばめられています。 辰砂は脈状や粒状のものがほとんどの中で、この産地のものは綺麗な結晶が付きやすいです。 六角柱の形をしているものもたまに見かけます。 辰砂の結晶の中には黒ずんでしまっているものや透明度の低いものも多いですが、こちらは透明度も赤さもしっかりしています。 真っ赤に透ける結晶でありながら、金属光沢も顕著で表面がテカテカと輝きます。 真紅の美しい見た目からは想像できませんが、水銀の鉱物です。 実際の水銀より弱いながらも毒があります。 昔は顔料や不死の妙薬として使われたそうですが、水銀の毒性を考えると非常に恐ろしいことです。 かの始皇帝も不老不死を目指して水銀を摂取し続けた結果、水銀中毒で亡くなったといいますが、これがもしかしたら辰砂だったのではと思っています。 ……始皇帝の王墓に流れているのは純粋な水銀の川だそうなので違うかもしれませんが。 母岩となる白雲石は削った氷のような形の結晶が多く付いており、なかなか良い標本です。 中国産辰砂はこの白雲石が母岩になることが多いです。 こちらは少々黄味がかっていて雪のように真っ白とはいきませんが、十分綺麗だと思います。 この標本のメインは辰砂になるわけですが、全体的な美しさとして、真っ赤な辰砂を際立たせる白いドロマイトは必要不可欠です。
鉱物標本 硫化水銀&炭酸カルシウム・炭酸マグネシウム 2023年12月24日弟切_鉱物