最後の角竜

初版 2023/07/09 14:33

改訂 2023/09/27 22:36

子供の頃から好きだった恐竜。
それはティラノサウルスではなく、三本の角を持つ周飾頭亜目角竜類の完成形。
トリケラトプス・ホリダス


最後の角竜にして最大最重。
アメリカとカナダで大量の骨格が発見されており、群れで行動していたことが定説となっている。
同時期の白亜紀後期のニッチに君臨していたのはご存じティラノサウルス・レックス。
トリケラトプスはその好餌でありつつ、非常に剣呑な餌でもあった。
他の同類が同部位を軽量化することによって大きな襟飾りを支えたのとは異なり、彼は頭骨を重量化し、頑丈な頭部と太く、中身の詰まった骨格によってフリルを支えた。
彼らの壮年期のフリルには軽量化のための穴がなく、重厚である。

そして年老いて老年に近づき、体が頭部を支えられなくなるにしたがって襟飾りは薄く、大きくなり、重さを軽減するために他の角竜と同じく襟飾りに大きな穴を作った。後世の人類は最近までその姿をトロサウルスと呼んだりした。

失った戦闘能力は徐々に老獪な知恵に変わってゆく。

トリケラトプスの頭部の重量と、これを支える重厚な体躯の発達は

ティラノサウルスが重く頑丈な頭骨へと進化した有り様と軌を一にしている。

捕食する側も対象物のスケールに合わせ、ふさわしく変貌してゆく。まさにライバル。


そう。彼らはただ草を食べて生きているおとなしいだけの供物ではなかった。
12メートルの体長は壮年のティラノサウルスのそれと十分に拮抗し、いざとなれば暴君に致命傷を与えられる武器を用意していた。

その重い頭部と強靭な首、その先端に伸びる角質の鋭い3本の切っ先

その武器を自在に使いこなすべくエネルギーを叩きだす逞しい骨格に支えられた後肢。

幾世紀もの闘争でライバルの変貌に合わせ、激変する生存環境の変化に合わせ、

個体変異が様々異種同類を立てさせたが、いまではただ一種類のみとされている。

守備主体の生き物として、ついに守備のための種の進化を必要としなくなった恐竜。

彼らの本能は個の生存のためではなく、種の保存のために仲間同士過激な闘争に明け暮れた。

傷ついたものは暴君(ティラノサウルス)への供物。

それでも已むに止まれぬ本能が鉄壁の守備に互いにひびを入れる。

その先に開けた滅びから生まれた新しい生き物の世界までは届かなかった。。

その収斂進化の行き着く先にある現代。

次の命の兆しを宿すべき母なる地球の包容力はもう残り少ない。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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