画龍
初版 2023/07/01 11:26
![](https://muuseo-jp.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/2023/07/01/11/20/38/9e55717f-5223-4226-8b3f-afc0d8834923/79b517ee924ae2996dc9764b6c28b31c-converted.jpg)
年賀状に使おうと思っていたけれど、
画像の仕上げが間に合わず、そのうちに原画を手放してしまったので、そのまま縮小図をほったらかしにしていた。
それももったいないので一度ブログに載せてから仕事用のフォルダから削除し、手許にはデッサンだけを残すことにした。
数年前、ようやく仕上げてストックした。(2Fに展示したやつです。)
骨格はボア(陸棲の大蛇)と恐竜から取って、肉付けすることで空想動物をちょっとこっち側に引っ張りたかったのだけど、描いているうちにだんだんリアリティが失われてくる。
こういうのって描き込めば描き込むほど絵空事になってゆく。
絵筆の方がその点ぼかしやすくて選択肢が多い。
龍(辰)は十二支のうちで唯一想像上の動物。
雲とか水とかが住処でこの絵のように炎の中には滅多にいない。
この辺は西洋のドラゴンの影響である。
モンスター・ハンターに出てくるような完全な創作であればいくらだって出来るのだが、『竜』とかその装飾文字である『龍』とか東洋的枠が嵌ってしまうと俄にビースト的な視点から内省性を帯びてくる。
東洋的伝説には宗教的な吉兆や瑞兆の具体化があり、描くにも一定の約束事があるらしく、首から腕の付け根までとそこから腰(後脚の付け根)まで、さらにそこから尾までの長さは均しくなければならない。
南宋画の竜を見ていると頭部には馬のような共通のモチーフが使用されていると思っていたけれど、それは馬ではなく駱駝だそうだ。
角は鹿、目はウサギ(赤いのだろうね。)胴体部分ははもちろんヘビ。腹部は蜃(はまぐり)、これはよくわからないけれど、大蛤は気を吐いて蜃気楼を作ると言われている。でも蛤をお腹にどう描けばいいのかさっぱりわからん。貝殻の模様かな…とも思う。
背中部分はもちろん鯉のうろこ。爪は鷲鷹。掌は虎。そして意外に描くときに軽視されがちな耳は牛の耳である。これを『三停九似』というそうだ。
まあ、理屈は良いわな。
一度書いておきたいのだけど、東洋の幻想動物はく色の濃淡で描かれる墨の世界が一番ふさわしい。
それがわかっていながらいろいろやってるんだけど、難しいね。漆黒から限りなく、純白に近い白まで、描き手の妥協がどこかになければデジタルでは描けない。
墨絵はその筆の選択と描き手の水の扱い方から筆の角度、強さ、様々な技量で偶然性も味方にする。0と1の数値の羅列の中にはその偶然がない。
筆と墨を使って描いた絵をアニメーションや、モーフィングするものは発達したけれど、絵画の完成は決してそこで行われたものではない。AIを利用したGPTは可能性を広げるが、利用するものの品位と芸術性に対する成熟した畏敬がなければ、出来上がったものは視覚にとどまり、心までは届かない。数瞬で上書きされてゆく。
![Picture](https://d17x1wu3749i2y.cloudfront.net/2023/06/06/14/34/57/b6713b07-7bc3-45cb-abf2-ba8158346024/picture.jpg)
Mineosaurus
古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。
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