退役した2代目ループバス

生まれも育ちも兵庫県姫路市である僕。

世界遺産にも認定された名城のある風景は、普段から見慣れた変わらぬ景色で非常に安心します。
そんな僕が幼い頃から利用し、ずっと眺めて来た存在が在ります。

それは、神姫バス です。

日常の1シーンにはいつも神姫バスが走っていました。

一般路線カラーである、オレンジと薄橙色の車体を見ると何処か落ち着きます(笑)

しかし今回の話題は一般路線車では無いのですが...

馴染み深い「小さくて茶色い子」

毎年大勢の観光客で溢れる姫路市。世界遺産の姫路城や由緒溢れる古い町並み。日本庭園の好古園は紅葉等が美しい事で知られています。日本の道100選に選ばれた大手前通りには、オレンジ色の路線バスが行き交います。

そのオレンジ色の路線車の中に、他の仲間達よりも小さな身体で頑張る2台のマイクロバスの姿が有りました。茶色い車体でボンネット型に改造された小さなバスで、いつも姫路市に訪れた観光客を乗せて走っていました。車輌は三菱ふそうのローザ。その必死な姿にいつも応援したくなっていました。

2台の茶色いローザは、姫路東出張所(現.阿保車庫)へ所属する東31970,東31971。姫路200か・250,姫路200か・251で登録されていました。かつて東出張所は日ノ出町と言う場所に位置しており、2010年に廃止となった姫路市交通局(市営バス)から継承した施設となっていました。しかし2022年3月31日。市営バス時代から約60年使用した旧車庫の老朽化や、近年の再開発事業により閉鎖。阿保町へ移転した新車庫へ移管されました。それに伴う車輌変動でこの2台も新車庫へ移動しました。

この2台は2009年に導入され、姫路市の観光へ大きく貢献しました。姫路城ループバスは1998年に姫路市に訪れる観光客の足の確保の為に運行が開始されました。この2台は2代目車輌で、2台の新製配置に伴って1998年より運行して来た初代車輌が退役。子会社の全但バスに移籍した後経年で廃車。恐らく解体された物と思われます。僕は2006年産まれなので、うっすらとですが初代車輌の記憶が在ります。

しかし2009年に新製され約14年活躍したこの2代目車輌も、老朽化に伴い退役してしまう事となります。恐らくマイクロバスをボンネット構造化した改造扱い車輌の為か、車体寿命が短いのかなと推測していますが定かでは有りません。

又、姫路市が進める脱炭素化事業。2050年までのCo2排出量ゼロ化事業の一環により、姫路城ループバスのEV(電動)化が決定。2代目の置き換えとなる車輌はBYD製のJ6。中国製の小型電気車輌で、何気に関西初導入の車輌でもあります。

東31970(・250)

東31971(・251)

お疲れ様、そしてありがとう

この2代目ループバスは僕が4才の頃に導入されたので、馴染みしか無い車輌です。殆ど今までの人生を共にしたと言っても過言では無いと思います。かつて姫路駅前に存在した神姫バスの旧バス待合所。OEM車種ばかりの昨今ですが、当時は様々な顔のバスが見られました。個性豊かな顔のバスが、同じオレンジ色の塗装で、旧待合所前で斜めに肩を並べて発車を待つ姿。旧待合所前にあるバス待機所(乗降場)は斜め駐車で待合所に顔を向けて停めていたので、様々な表情が見られました。その光景を見て僕は4才当時でバスの虜となったのですが、その頃から茶色いローザは走っていたのです。

思い入れが深いにも程がある2代目ループバス車輌は2024年2月付でその役目を終えました。寂しくて仕方が有りませんが、これは物でも生き物でも、全てに置いて訪れる最後と言う運命であります。

これだけは伝えて置きたい事ですが、今見ている当たり前は、いずれ消えます。当たり前が当たり前で無くなった時に漸くその存在のありがたみに気が付く物なのです。僕に今出来る事は、あの2台へ感謝をし苦労を労う事でしょう。だって、姫路市の観光に大きく貢献した英雄なのですから。

ありがとう。お疲れ様。

ゆっくり休んで下さい。

そして...

BYD J6。

これから宜しくね！