-
箒木 蓬生 「臓器農場」
親任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」ー。 病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か? 真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手・・・。 医療技術に最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。 現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。
サスペンス 箒木 蓬生 新潮文庫 H8.8.1誌稀京兵
-
太宰 治 「人間失格」
後半が自殺以降に発表された、太宰文学の総決算とも言うべき作品。 生きる能力を失い、なりゆきに任せ、癈人同様に生きる男の手記・・・それはこの世を去るに際してこれまでの胸底にひた隠しに隠していた自分の正体を書き残した陰惨な自画像ともいうべきものである。 「いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいはすぎて行きます」
中編小説 太宰 治 新潮文庫 S27.10.30誌稀京兵
-
畠中 恵 「しゃばけ」
江戸有数の廻船問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。 ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。 以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。 若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。 その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う・・・。 愉快で不思議な大江戸人情推理帖。 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
時代劇、ミステリー 畠中 恵 新潮文庫 H16.4.1誌稀京兵
-
井上 靖 「しろばんば」
自伝 井上 靖 新潮文庫 S40.3.30誌稀京兵
-
井伏 鱒二 「黒い雨」
一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。 原爆の広島ー罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、一被爆者と“黒い雨”にうたれただけで原爆症に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。 被曝という世紀の体験を日常性の中に文学として定着させた記念碑的名作。
戦争小説 井伏 鱒二 新潮文庫 S45.6.25誌稀京兵