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Pliomera fischeri
Pliomeraという種類は、派手な棘などありませんが、彫りが深く独特の存在感のある種です。私を含め三葉虫コレクターにもファンが多い種類の一つでないかと思います。オルドビス紀ロシア産では、アサフスが優勢でファコプスの仲間は少数派であり、実際に産出量も多くはありません。もう少し小型ですが欧州各地から産出するPlacopariaに良く似ております。真っすぐ伸びている個体も大きいと迫力がありますが、この個体の様に少し姿勢に動きがあると、生物らしくて、よりこの種の魅力が増す気がします。
Middle Ordovician Pliomeridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-60 Kunda LevelTrilobites
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Eccoptochile almadenensis
Eccoptochileという種類は、モロッコ産の立体的で大型の種類が知名度はあると思いますが、地中海を挟んだ欧州でも産出します。モロッコ産と同様に丸みを帯びた太くて短い棘が特徴です。モロッコ産もそうですが、産出量が少ないことで知られ、ポルトガル産で実物を見られる機会は限られます。
Middle Ordovician Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-413 ValongoTrilobites
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Eldredgeops rana rara
以前はPhacops ranaと呼ばれていましたが、属名がEldredgeopsになり、まだ馴染みが湧きません。オハイオ州産のものも保存状態が良いですが、ニューヨーク州産も保存レベルは高いです。ファコプスは三葉虫の中でも特殊な複眼を持っていたのですが、多くの三葉虫は現生の昆虫類と同様に6角形のレンズの集合である完全複眼(holochroal eye)でした。しかし本種を含むオーソドックスなPhacopsの仲間は、丸い単眼が組み合わさった集合複眼(schizochroal eye)という特殊な複眼を持っており、光学的に球面収差が補正される高レベルのレンズを古生代に獲得していたのでした。
Middle Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-326 MoscowTrilobites
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Kainops raymondi
Haragan累層で最も一般的な種類で、この標本は産出するKainopsの最大級の大きさす。比較的見た目が近い種類として、PaciphacopsやViaphacopsがいますが、これらの種は複眼が縦に3列ほどしか無いのに対し、Kainopsは平均7列ほどの大型の複眼があります。市場では、8割から9割はKainopsの方が多く見られます。Kainopsの方が圧倒的に多く産出するのは、眼が発達している方が、生存に有利だった環境であった可能性はあります。PaciphacopsとKainopsは若しかしたら雌雄差の可能性はあるのでは?と個人的には感じます。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-291 HaraganTrilobites
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Panderia beaumonti
見た目はIllaenusですが、Illaenusの10節の体節より2節少ない8節の体節なのがPanderiaです。(この標本は、頭鞍が押しつぶされて胸部に被ってしまってますので、7節にみえてしまいますが)比較的小柄の個体しかみられませんが、PanderiaはIllaenusの幼体ではないと考えられています。欧州各地のオルドビス紀の地層から見つかりますが、フランスからは、ロシアよりも大きなPanderiaが見つかります。
Ordovician Panderiidae,Illaenina,Corynexochida TRI-302 TraveusotTrilobites
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Ectillaenus perovalis
欧州のオルドビス紀から広く産出するEctillaenusの仲間ですが、英国産は比較的小型の種類のようです。特にこれといった特徴の無い地味な種類でありますし、英国産の中では入手はしやすい方ですが、手を出すコレクターは英国産を集めているか、種類を多く集めているなどの理由が無ければ所有しているコレクターは少ないのではと思います。Shropshireらしい黒色系の母岩と褐色の組合せで、見た目の不完全さが化石らしくて英国産の渋さがよく表れている標本です。
Lower Ordovician Illaenidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-487 Hop ShaleTrilobites