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Acernaspis orestes
三葉虫の軟体部で一番残りやすいのが触覚ですが、脚に関しては触覚より太くて外骨格にも近いように思えますが、何故か残存する化石は少ないのです。外骨格と違い組織の組成が腐敗しやすい事もありますが、そもそも軟組織が残存する環境が余程整う必要があるのという事もあります。更に脚は大概は外骨格の下側にあるため、折角の完全体外骨格の殻を壊し捲ってまで確認はしないという理由もありそうです。質の高いシルル紀三葉虫が産出するカナダ、ジュピター層ですが、この標本を見るまで軟体部が残存する事は私は知らなかったですが、左の触覚と右前方の脚が、はっきりと分かります。
Lower Silurian(Telychian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-466-2 JupiterTrilobites
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Eccaparadoxides pusillus
チェコのJinceでは比較的見かける種類ですが、不完全な標本が多く、完全体での入手が難しい種類の一つです。同じ産地のParadoxididae(科)の近縁種であるParadoxides gracilisよりは小型で、Hydrocephalus minorと大きさ的には近いのですが、本種は尾部周辺のフリルが特徴的で風雅です。これらの種類に共通ですが、比較的初期の三葉虫のためか棘がそれ程は固くなく平坦な体形をしています。美しい姿をしていて産出が途絶えた現在でもコレクターに根強い人気があります。
Middle Cambrian Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-458 JinceTrilobites
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Pseudophillipsia (Carniphillipsia) liparoides
日本では知名度が無い産地ですが、オーストリアとスロベニアの国境に位置するカラヴァンクス山脈(南石灰岩アルプス)で産出する石炭紀の三葉虫です。この産地では、石炭紀だけでなくペルム紀の種類も産出し、その保存状態も良く注目すべき産地かと思います。この標本自体は、風化してしまっていますが、ほぼ完全体の状態であり、大きさも石炭紀の種類にしては大きい方であります。 【参考リンク】KARAVANKINA https://www.karavankina.com/home
Upper Carboniferous(Pennsylvanian) Phillipsiidae,Proetoidea,Proetida TRI-509 AuernigTrilobites