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Acadoparadoxides briareus
一般的に入手可能な三葉虫の内、最大級の大きさを誇るのが本種です。私の全コレクションの中でも最も大きな三葉虫です。片側10㎏を超える重さのため、撮影の為に標本箱を下ろしたり、移動したりするだけでクタクタになる程です。Paradoxididae(科)の仲間は、チェコ、カナダ等広い範囲で産出し、何れも大型になりますが、モロッコ産の巨大さは群を抜いている様に思えます。A.mureroensis(Sdzuy, 1958)が最も知名度がある種名ですが基本的には出回る標本の大きな個体は本種と思われます。2010年代以降に大きさによる細分化が行われ、A.nobilis(SDZUY,1958)やA.levisettii(Geyer and Vincent, 2015)など小型の種類も同定されるようになりました。本種は、見た目のインパクトが大きくインテリア等の一定の需要があるため、模造品や補修品が多く流通しています。個人的に真贋を見分けるポイントとして、綺麗すぎない事やAcadoparadoxides独特の側葉部の成長線がある事が挙げられます。長年市場を見ていますが、10万以下で買える様な標本にレベルの高い標本は先ず無いと感じます。 [Left side:Negative,Right side:Positive]
Middle Cambrian Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-146 Jbel WawrmastTrilobites
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Cambropallas telesto
カンブリア紀モロッコ産の二大大型三葉虫の小さい方というイメージでしょうか。大きい方のAcadoparadoxidesは30cmを超える巨体で、分類的にはParadoxididae(科)に対し、CambropallasはHolmiidae(科)でOlenellina (オレネルス亜目)に近い系統にあります。モロッコ産が市場に登場した初期から知られ、以前はAndalusianaと呼ばれている個体と混同する事もありましたが、流通している標本は基本的に同じ種類を指していると考えます。背部中央の特に後半に鋭く短い棘が立っているのが大きな特徴です。大型の種類は補修が入っている事が多く、時には完全に模造品も見かける程です。本種も一定以上のレベルの標本は特定の供給元からしか入手できなかったり高価になったりします。完全体は本当に少ない種類なのですが、模造品と見分けるには細部の状況の確認、ポジティブとネガティブが両方揃っていると信憑性は増します。 [Left side:Negative,Right side:Positive]
Middle Cambrian Holmiidae,Olenelloidea,Olenellina,Redlichiida TRI-45 Jbel WawrmastTrilobites