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Dicranurus hamatus elegantus
Dicranurusは、三葉虫収集家が収集に引き込まれる引き金となったという人もいるほど特別の種だと思います。モロッコ産のD.monstrosusと米国オクラホマ州産のD.hamatus elegantusが代表的です。体格は、モロッコ産の方が骨太でがっしりしているのに対し、オクラホマ産は華奢で棘が長いのが特徴で名前の通りエレガンスです。どちらも多くは産出しませんが、オクラホマの方が圧倒的に数が少なく、近年はレベルの高い標本の価格は高止まりであります。
Lower Devonian Odontopleuridae,Lichida TRI-210 HaraganTrilobites
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Kainops raymondi
Haragan累層で最も一般的な種類で、この標本は産出するKainopsの最大級の大きさす。比較的見た目が近い種類として、PaciphacopsやViaphacopsがいますが、これらの種は複眼が縦に3列ほどしか無いのに対し、Kainopsは平均7列ほどの大型の複眼があります。市場では、8割から9割はKainopsの方が多く見られます。Kainopsの方が圧倒的に多く産出するのは、眼が発達している方が、生存に有利だった環境であった可能性はあります。PaciphacopsとKainopsは若しかしたら雌雄差の可能性はあるのでは?と個人的には感じます。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-291 HaraganTrilobites
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Paciphacops cambelli
同じ産地のKainopsと見かけの区別が付きにくいですが、比較するポイントは、複眼の数が異なります。Paciphacopsは、縦に3〜4列程度しか無く、小さな複眼の印象です。対してKainopsは平均7列ほどの複眼があり、大きな眼に見えるのが特徴です。産出量は圧倒的にKainopsのが多く、印象としてKainops9割としたらPaciphacopsが1割程度に思えます。この標本は、エンロールしている姿を母岩から取り出さずに上手くクローニングしてあり、センスの良さが気に入っています。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-129 HaraganTrilobites
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Acanthopyge consanguinea
この種類を保有しているコレクターは、さすがに少ないと思います。かつて「Bug X」と呼ばれ、実物を目にする機会が無い幻の三葉虫でありました。入手したくても、そもそも市場に姿を現わさず、コレクター間で取引される様な特殊な種類でした。見た目は、モロッコのAcanthopyge(Lobopyge)と大きさも変りませんが、やや華奢なのは、Dicramurusなどモロッコと共通する種類と同じ様にオクラホマ産の特徴です。この標本は、「Black Cat Mountain」ブランドでも伝説的プレパラーターのBob Carroll氏による絵入サインが底面にあります。
Lower Devonian Lichioidea,Lichida TRI-350 Bois D'ArcTrilobites