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Miraspis mira
本種は、世界の三葉虫を収集しているコレクターでは、知らぬ者が居ない様な有名古典種でありながら、完全体の実物が入手できない代表種です。チェコ産でも近縁のAcathalomina minutaやOdontopleura ovataは、市場で見かけることがありますが、本種は入手の機会が全くないと言ってよいレベルです。体長は20mmと小さい物の全身が棘に覆われ、棘に棘が生えた姿は、一目見たら忘れられない鮮烈な印象を持ち、Joachim Barrandeの図版から本種に惹き込まれたのは私だけではない筈です。
Silurian Odontopleuridae,Lichida TRI-557 LodeniceTrilobites
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Odontopleura ovata
この標本はNegativeだけの標本なのですが、細かい棘の位置など体表面の保存状態が極めて鮮明です。Negativeだけの標本は、一般的には価値が低いとされ比較的安価に入手できますが、小さな標本は肉眼で観察するより、ルーペや写真で観察して始めて細かい棘の状態が分りますので、十分に価値があると感じる例です。チェコからは、様々な種類のOdontopleuroidea(超科)の仲間が産出しますが、いずれも1cm程度の小型の種類ばかりで明確な違いが分りません。自在頬が欠損していたり不完全な状態の標本が多く、種の同定が難しい標本が多く感じます。体表の細かい陥没は棘の名残で、実際には繊毛のような細い棘が無数に生えていたのではと推測します。
Middle Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-428 LitenTrilobites