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Nangaops elongatus
凱里生物群(Kaili fauna)は、1980年代に入り発見された比較的新しい産地です。軟体部が残る産状であることから中国でも澄江などと同様に重要なカンブリア紀の地層として注目を集める様になりました。三葉虫では、北米しか産出しないと考えられたOlenoidesを産出することでも知られますが、三葉虫の多くは本種の様な地味な種類に限られます。この標本は、分離した自在頬がそばに残っています。一応Ptychoparioidea(科)となっていますが、類似点が分からないため、分類については少し調査が必要かと思っています。
Middle Cambrian Ptychoparioidea,Ptychopariida TRI-203 Kaili(凱里)Trilobites
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Bathynotus kueichouensis
Bathynotusという種類は、Wikipediaにも独立したページがある名の知れた属(三葉虫の世界では)ですが、近年は滅多に市場に出なくなった為か入手が難しい種類となりました。Redlichiida(レドリキア目)に属しているとされていますが、Corynexochida(コリネクソス目)やPtychopariida(プチコパリア目)の初期のタイプに似ていて、どのグループとも共通する中間的な姿をしていて、再び未分類とされてしまいました。産出は中国産に事実上限られ、本種も貴州省から種名が付けられています。カンブリア紀の重要な産地として知られるKaili累層(凱里生物群)で産出する事でも知られています。 中国名/貴州寛背虫
Cambrian Bathynotidae,Redlichioidea,Redlichiida TRI-507 Kaili(凱里)Trilobites
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Olenoides paraptus
カンブリア紀北米の代表種と思われているOlenoidesですが、アジアでも産出する貴重な例です。バージェスやユタ系より古い時代に当たる為、これらのOlenoidesの先祖である可能性もあります。尾部の太く鋭い棘はOlenoidesそのものですが、ユタ産の様な派手さは、まだ見られません。中国産三葉虫において最入手困難種と言ってよい程の希少種で、凱里の重要性が国際的に認識されている現在において、中国国内から持ち出すことは不可能に近いです。 (Left side:Positive/Right side:Negative)
Middle Cambrian Dorypygidae,Corynexochoidea,Corynexochina,Corynexochida TRI-701 Kaili(凱里)Trilobites
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Pagetia cf.taijiangensis
アグノスタスよりも三葉虫に近いPagetiaは、Burgess Shaleで産出するPagetia bootes(WALCOTT1916b)が有名で、名前だけは聞いたことがあるコレクターも多いと思います。分類的に中間型の立場で、近年は甲殻類の一種とされるAgnostida(目)ですが、この種類があるので、三葉虫側との境界が難しくなっていて、最新の説でもEodiscoidea(超科)が三葉虫として分離されているケースも見られます。バージェス以外で入手できる仲間としては、モロッコのCephalopygeなどがありますが、どの地域においても数が少なく、集めるのが難しいグループであります。
Middle Cambrian Eodiscidae,Eodiscoidea,Agnostida TRI-700 Kaili(凱里)Trilobites